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6.初心者用迷宮

 迷宮は階層によって洞窟や森などの地形に分かれている。


 初心者用の迷宮には1~10層まである。

 最下層の10層目には大部屋があって、ボス部屋と呼ばれている。


 ボス部屋にはオークの群れがいて、オークの群れを倒すと奥に進む扉が現れる。


 奥に進むと銅、銀、金、いずれかの宝箱がある。

 初心者用の迷宮ではほとんど銅の宝箱が現れる。


 その横には帰還用のクリスタルが設置されていて、各階層の入り口に設置されているクリスタルまで転移できる。


 ランクC以上が入れる迷宮の10層以下と、ランクA以上が入れる迷宮の1階層からは中間地点がある。

 安全地帯と呼ばれる部屋で、クリスタルが設置されている。


 クリスタルを使って帰還することでカードに攻略情報が記憶される。


 迷宮の入り口にあるクリスタルで一度行った階層に転移することができる。


「というわけで、今日は迷宮に行く」


 朝食を食べながら迷宮ことを2人に話す。


「迷宮は初心者用ですよね?」


「そうだ。2人のランクはDだからな。初心者用を攻略すればランクCになれる」


 12歳以上で戦う力のある者が冒険者の登録を行うとランクDからのスタートとなる。


 10歳から登録が可能であるが、ランクはEからのスタートになる。

 12歳になれば自然とランクDになることができる。


「ご主人様のランクはCなんですよね?」


「あぁ。一応、ランクC以上の迷宮は半分くらいは攻略している」


「では実質、ランクBくらいですか?」


 ランクC以上が入れる迷宮の15階層を突破することでBランクとなれる。


 俺が1人で攻略できたのは13層までだ。

 ランクBの魔物が出ていたとはいえ、ほとんど討伐せずにいる。


 やればできないこともないだろうが、冒険者は死なないことが大切なので、無茶はしないようにしている。


「そうとも言えない。ランクBの魔物は討伐できないからな」


「なるほど」


「迷宮で必要なことは、油断しないことだ」


「はい。頑張ります」


「頑張る!」


 2人の返事を聞いて迷宮へ向かう。


 王国から外に出る門とは反対にある門をくぐると、迷宮街(めいきゅうがい)と呼ばれる場所に出る。


 迷宮街に入るためには冒険者である証明としてカードの提示が必要になる。


 街と言っているが住んでいるのは者はいないし建物もない。

 壁に覆われた一本道だ。


 あるのは冒険者が冒険者に向けて販売している露店だけ。

 ごく稀に掘り出し物が売っているそうだ。


 迷宮街がある理由は迷宮から魔物が出てきた場合、王国に侵入させないことだ。


 大昔、魔王と呼ばれた人間がいた。


 魔王は迷宮を各地に作り出して魔物の大群で生きる者すべてを殺そうとした。


 なんて話があるのだが、ただの作り話だと思っている。


「ここが初心者用の迷宮だ」


 一本道の迷宮街を歩いて行くと1、2、3と数字が看板に書かれている扉が見えてくる。


 初心者用の迷宮は1の迷宮だ。


「入るぞ」


「「はい!」」


 2人の返事を聞いて扉を開ける。

 まず視界に入ってくるのはクリスタルだ。


 フィーがぼそりと「きれい」と呟く。


 そういえば、どこかの貴族がクリスタルを手に入れようと冒険者を雇って、冒険者がクリスタルを持ち運ぼうとしたところ、行方不明になったと言うのを聞いたことがある。


 冒険者に依頼した貴族は没落したらしいが、あれは本当のことだろうか?


「クリスタルは不用意に触るなよ?

 どこかに飛ばられるかもしれないからな」


「は、はい!」


 オーギスがクリスタルに手を伸ばしているのをフィーが慌てて止めに入る。


「1階層の敵はコボルトだ。

 ゴブリンよりも素早いぞ」


 1の迷宮の1階層は洞窟となっている。

 初心者用ということもあって罠は全くない。


 罠の存在が確認されるのは5層目からだ。


 すでにほとんどの探索が終わっている1の迷宮だが、今回は2人に攻略してもらうことが目的となるので地図は買っていない。


「昨日と同じようにオーギスが先頭だ。

 フィーが真ん中で俺が後ろにいる。

 昨日と同じように動けばゴブリンが出てくる2階層までは楽に行けるだろう。

 ただし3階層ではスライムが現れる。

 スライムは物理攻撃で倒すことが困難だ。

 オーギスの怪力であれば核を破壊することはできるだろうが、油断せずにな」


 慣れた者であればスライムの核を剣や短剣で破壊することもできる。


 初心者には難しい技術なので3層目で躓く冒険者が多いそうだ。


 攻略法としては魔法を使えるようになるか、何度もスライムと戦って核の場所を正確に攻撃することに慣れるしかない。


「わかりました。オーギス、離れすぎないでね」


「うん。わかってる」


 問題なく2階層を突破する。

 オーギスの力はランクCにも通用すると思われる。


 フィーはしっかりと周りを確認してオーギスや魔物の動きに合わせて、適切な魔法を使っている。


 相性のいい2人だ。

 これからどこまで強くなるのか。

 楽しみであると同時に、嫉妬してしまう。


 その力が、俺にあったなら。


 馬鹿な考えはよそう。


 2人は俺の奴隷だ。

 俺の力とも言える。


 2人に出会えたことを喜ぶとしよう


 スライムの討伐とコボルトリーダー率いるコボルトの群れを討伐して、4階層に入ったところで今日は終了とした。


 今日の稼ぎは大銅貨6枚となった。


 オーギスの殲滅力が高いことで数多くの魔物を討伐できた。


 2人に解体を教えた時間を考えても、1日の稼ぎとしては多い方だろう。


 明日は休みにする予定だ。

 フィーに疲れが見える。


 オーギスとフィーには自由にしてもらって俺は奴隷商店に行く予定だ。


 2人を安く買えたのでもう1人を買うことにした。


 ドルビド君には2人を買ったところとは違う奴隷商人の紹介状を書いてもらっている。


 忌み子だからとはいえ、オーギスを傷つけていた商人のところに行きたくない。


 それに数日で新しい奴隷が増えていることはないだろうということもある。


 いい買い物ができるといいのだが。

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