エピローグ
「「ここまでヘタレだとは思いませんでした!!」」
ルナとルーは飛竜の姿になったアルの背中に乗って出て行ってしまった。
奴隷から解放してから5年。
ルナとルーとは恋仲となったが体を重ねることはなく、ランクSになったと当時に2人から結婚を申し込まれたのだが、俺は断った。
普通に考えて欲しい。50を超えたおっさんと、20前半の女性が結婚だぞ? ないだろ。
「「「サイテー」」」
結婚を申し込まれたが断ったので2人が出て行ったことを話すと、フィーと双子からきつい一言をもらった。
双子は2年くらい前に奴隷から解放している。2人には立派な旦那さんがいる。
「まあまあ、父さんだって悩んで出した答えなんだし、そんなに責めないであげてよ。ルタ、リタ」
そう。オーギスだ。
5年前に俺へ迫ったのは、オーギスに嫉妬させたかったから、だそうだ。
双子の思惑は見事に成功して、5年前にオーギスから双子を賭けて決闘を申し込まれた時を思い出す。
死ぬかと思った。
「フィー。準備できたぞ」
「まま! 早く行こ! おじーちゃん、またね!」
「やだ! まだかえりたくない! おじーちゃんとあそぶ!」
「じぃじ、だっこ~」
マサとフィーの子供で女の子のフィト。
マサとネロの子供で男の子のユキト。
マサとドラの子供で女の子のマドカ。
マサとフィーは王国から出て、王国から少し離れた小さな村に住んでいる。
ランクSになったことで王族に目をつけられたのが原因だ。
勇者だとはバレていないので、王国から簡単に出ることができた。
オーギスと双子も、マサ達と一緒の村に住んでいる。
まだ双子には子供がいない。双子は気にしているようだが、オーギスはそれほど気にしていないようだ。
そのうちできるだろうとは思う。目の前でこんなに体をぴったりとくっつけているのだから。
妖精の女王に依頼された迷宮の攻略は終わっている。
つい先日のことだ。ルナとルー、アルがいない中で、よくやったと思う。
3の迷宮は100階層まであったのだが、勇者の力でしか入れない迷宮は20階層で終わった。
ボスさえ倒せれば、20階層なんてのは1年も使うことなく攻略することができた。
妖精や精霊の隠れ家となっていた迷宮を攻略したことで、この世界は救われるとのことだ。
妖精の女王と精霊の王の居場所はわからない。
女神様は、
「アドく~ん。お酒無くなっちゃったよ~。ひっく。おつまみまだ~?」
まだ俺の家にいる。
迷宮を攻略して世界を救ったということで3日前に宴会が行われたのだが、宴会が終わっても飲んでは食って寝てを繰り返すダメ神が俺の家に住み着いた。
「働かない者に飲ます酒も食わす飯もない。早く出て行ってくれよ」
「え~1人で寂しい思いをしないように、私がいてあげてるだけだよ~? ケチケチしないでお酒買ってきて~ご飯ちょうだ~い。ていう冗談は置いておいて。皆さんに伝えなくて、本当にいいのですか?」
「伝える必要はない」
「そうですか。もう、いいのですね?」
「あぁ、もう十分だ」
「わかりました。アリドバ。よくぞ、この世界を救ってくれました。本当に、感謝しています」
「俺の夢を叶えさせてもらえたんだ。世界くらい救ってみせるさ」
「貴方は、あの鬼に殺される運命だった。貴方が殺されることで勇者が覚醒し、魔物の王が生まれる未来がありました。それがなくなり、この世界は滅ぶ運命だったのです。その運命さえも変えた。本当に、ありがとうございます」
「俺は夢を叶えたかっただけだ。礼を言いたいのは俺の方だ。この呪いがあったから、ここまで来れた。ありがとうございます。女神様」
「最後に、願いはありますか?」
「そうだな。夢は叶った。願うとすれば、家族の。あの子達に幸せを。俺では、幸せにできないから」
「はい。私にできる限りの事は、させていただきます。ただし、貴方を生かすことはできない。ごめんなさい」
「あぁ。鬼にならないだけ、マシだよ」
「いままで、お疲れさまでした。おやすみなさい、アリドバ」
ここまでが、限界か。
立っていることができず、倒れそうになる俺を女神様は受け止めてくれる。
よくもった。人間は、寿命には勝てない。
夢を叶えた。家族ができた。孫の顔を見た。好きな人ができた。
心残りがあるとするならば、幸せにしてやりたかった。
幸せに、なってほしい。
もう、目を覚ますことはないだろうけど。
もし、目が覚めたら、好きと伝えにいくとしよう。
1年も会っていない。アルに乗ってどこへ行ったのかわからないけど、必ず見つける。
叶わぬ夢を見ながら、俺は眠った。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます
これにて『宝箱を開けたら』は終了です
次回作は、未定です
番外編というか、アドとオーギスの決闘とか、前勇者の話とかをもしかすると投稿するかもしれません
たくさんの感想。本当にありがとうございました
次回作があれば、またよろしくお願いします




