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34.悪魔化

 宝箱を開けた翌日。

 昨日のうちに今日の予定を決めて、ルーのギルド登録は済ませている。


 俺とルー以外は2の迷宮の攻略を開始。

 俺とルーは1の迷宮に入って、ルーに迷宮探索について教えることになっている。


 基本的なことを教えて、悪魔かと言う力がどのようなものなのか確認したら、フィー達と合流する予定だ。


「基本的なことはこれで以上だが、何か質問はあるか?」


「特にありません。次は、悪魔化ですか?」


「そうだな。ボス部屋に行くか。その槍が規格外すぎて、ここの魔物ではどれくらいの違いが出るのかわからないからな」


「そうですね。流石は女神様からいただいた槍です。ゴブリンがスライムのように斬れるのは最高です」


「ゴブリンを突いた瞬間にゴブリンがバラバラになったのは、驚きを通り越して恐怖だった」


 槍で叩くと斬れる。槍で突くとバラバラになる。恐ろしい武器である。


「ここがボス部屋だ。悪魔化は自分の意思で使えるのか?」


「はい。ミコトさんのところで何度か使ったことがあります。重たい物を運ぶのに便利でした」


「そうか。俺は見ているから、1人でやってこい」


「かしこまりました」


 結果から言うと、圧勝。

 背中に翼が生えたかと思えばオークの群れに飛び込んでいき、槍を振り回せばオークの腕や足、顔が胴体から離れていく。


 数分もしないうちに、オークの群れは肉塊へ変わっていた。


「ご主人様、終わりました」


「あ、うん。綺麗だったぞ?」


「うふふ。ありがとうございます」


 ルーは怒らせないようにしようと、心に誓った。


 1の迷宮を攻略した次の日。

 フィー達は2の迷宮から帰ってこなかった。迷宮探索は数日かけて行うのが普通なので、帰ってこなかったのはいいのだが、厄介ごとに巻き込まれていないことを祈るばかりだ。


 俺とルーは2の迷宮に入っている。

 フィー達がどこまで進んでいるのかわからないが、少しでも追いつくために探索はほどほどに攻略していく。


 昔の地図があてにならないことがわかった。1階層の広さは昔と同じくらいだと感じるが、道が変わっていた。


 新しい隠し部屋が発見できるかもしれないと思うが、あの鬼の部屋がどうなっているのか気になるところだ。


「今日はここまでにするか。流石にフィー達も帰ってきているだろう」


「はい」


 3階層まで攻略して2の迷宮を出た。

 空は夕焼けに染まっている。


 家に帰ると、予想通りフィー達が帰ってきていた。


『『『おかえりなさいませ、ご主人様』』』


「ただいま。フィー達はどこまで攻略できたんだ?」


「5階層です。ご主人様がいないと、罠を見つけるのに時間がかかってしまって」


「そうか。俺がいなくても大丈夫なように、今のうちに慣れておけ」


「はい。ご主人様とルーさんはどこまで行かれたのですか?」


「3階層までだ。昔の地図が役に立たないことがわかったから、1人で探索してみようかと思っている。なので、悪いんだがルーと一緒に3階層からまた始めてくれないか?」


「はい。大丈夫です。ルーさん、よろしくお願いします」


「足を引っ張らないように頑張りますので、よろしくお願いします」


 フィー達にルーを加えて2の迷宮を攻略させることにした。

 俺は久しぶりの1人攻略だ。今の力を知るいい機会だ。


「ルタ、リタ。数日帰らないと思うから、家のことを頼むぞ?」


「「かしこまりました」」


 大部屋へ移動中にマサから声が掛けられる。


「アドさん1人で大丈夫ですか? 俺たちだけで2の迷宮を攻略しちゃいますよ?」


「そうだな。15階層まで競争にするか。俺とお前達の」


「5対1ですよ? いいんですか?」


「いいぞ。俺に勝てたら、なんでも1つ言うことを聞いてやる。みんなにそう伝えておけ」


「本気でやらせていただきます!」


 マサは俺に何かやって欲しいことでもあるのだろうか?


 次の日の朝。

 起きたらフィー達がいなかった。

 双子によると朝早くから迷宮に向かったらしい。


 そこまでして勝ちたいか!?

 負けたら何をやらされるのだろう…。


 勝てばいいのだ。勝って、ご主人様すごいと言わせてやる!


 双子が用意してくれた朝食を食べて迷宮に向かう。フィー達は3階層から始めているはずだから、俺も3階層から始めることにした。


 結果は俺の負けだった。

 あいつらの背中が見えていたのに、追いつくことができなかった。


「で、何をやって欲しいんだ?」


 2の迷宮を出て家に向かう途中でマサに問いかける。1人1つだとは言っていないので、全員で決めた1つを聞くことにしている。


「みんなで相談するので、今は保留ということで」


「すごいやる気だったから決まっているものだと思ったが、まだだったのか。お手柔らかにな」


「わかってますよ。無理は言いませんって。それにしても、ギリギリでしたね」


「全くだ。勝てると思ってたんだがな」


「アドさん1人ですし、それはないでしょ」


「それにしても、ご主人様の姿が見えた時は焦りました」


「そうですね。流石はご主人様です」


「流石は私の、ご主人様です」


 ルナとルーが睨み合っているように見えるのは、気のせいだろう。


「父さん、本当に1人だったの?」


「わかる。15階層までのことを思い出すと1人でとか無理でしょ」


「1人だったぞ。まあ、裏道の存在を知ってたから勝てると思ってたんだがな」


「「裏道?」」


「お前達は隠し部屋を何個見つけた?」


「いえ、見つけてません」


「だろうな。俺は5つ見つけた。そのうちの1つに裏道へ入る部屋があってな。パーティーで入るのはきつい細い道なんだけど、1人専用の裏道だ」


「そんなのがあるんですね」


「1人で迷宮に入る冒険者はほとんどいないから、裏道が知られてるかはわからないけどな」


「なんかずるいっすね」


「1人で迷宮探索してみるか?」


「嫌です。というか無理です」


 数日ぶりの我が家が見えてきた。

 双子の上を飛んでいる飛竜が大きくなっている気がするが、気のせいではないだろう。


 子供なら乗せられそうな大きさまで成長している。飛竜の成長は早いな。


 ドラはマサと契約すれば、黒い宝石に入れるとして、アルとルリをどうするか考えないとな。


 流石に疲れたので、2日は休息にした。

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