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26.合流

 マサとフィーはネロの案内で妖精の国にたどり着いた。


「この先を行けば妖精の国に入れる。私はここまでだ」


「助かったよ。ありがとう」


「ありがとうございました」


「何かあったらすぐに呼んで。私にできることならなんでもするから」


 ネロの体が輝き、光と玉となってマサの方へ移動していき、黒い宝石に吸い込まれて行った。


 マサとフィーは手を繋いで先へ進み、妖精の国へ入った。


 視界に入ってきたのは、仲間であるオーギスとルナ、美しい少女が話している姿であった。


 マサとフィーは3人に近づいていき、声をかける。


「2人とも、無事だったか」


「ご主人様は?」


「兄さんとお姉ちゃんも無事でよかった」


「レノル様の話によると、マサの力がないとご主人様の所に行けないようです」


 4人が無事を確認している所にレノルが話しかける。


「私は妖精族の女王、レノル。君が勇者で間違い無いな?」


「俺は正也って言います。こっちは妻のフィーです。全く自覚はないですけど、そのようですね。レノル様、聖剣とフィーに加護をいただけますか?」


 マサから妻と呼ばれてフィーは顔を赤くしながらレノルに一礼をする。


 マサは聖剣を鞘から抜いて、レノルに見せる。

 聖剣には小さな妖精(光の玉)が集まっていく。


「了解した。聖剣と勇者の妻に私の加護を与えよう。さあこれでここから出られるが、私の話を聞くかな?」


「その前に助けたい人がいます。アドさんの居場所は?」


「知っておいて損はないというだけの話だ。聞きたくなったときにでもここにくればいい。君が聖剣を使いこなせれば、いつでもここに来れるからね。君が助けたい人のもとへは、聖剣が導いてくれるだろう」


 マサが聖剣に視線を移動させる。

 聖剣はマサの意思を読み取ったかのように七色の光を強くさせる。


「行こうか?」


「うん。ご主人様を助けよう」


「父さんは俺たちが助ける」


「マサが勇者なんて似合わないわね。さっさと行くわよ」


 4人が集まり、マサが聖剣を天に向ける。


「転移!」


 4人の体は妖精の国から消えて行く。

 4人が現れた場所は、森の中。


 周りを見れば戦闘の痕跡を見つけることができた。


「ご主人様は、あっちです」


 主人であるアドの匂いを嗅ぎつけて、ルナが指差した方向へ4人は駆けていく。


 近づけば近づくほどに濃くなっていく血の匂い。

 どれだけの戦闘が行われたのか、魔物だと思われる血を流す木を横目に駆けて行く。


「「「「ご主人様!」」」」


 森を抜けて草原のように広がる場所に出ると、鬼の姿をしているが、大木と戦っているアドの姿がそこにはあった。


「GAAAA!!」


 4人の声は届いていないのか、地面から次々に現れる木の根っこのようなものと戦っている。


「完全に鬼化してるけど、大丈夫だよな?」


「そんなこと言ってる暇ないでしょ!」


 アドの傷を癒すためにフィーは治癒魔法を使うためにアドへ駆けていく。

 フィーを守るようにマサがフィーの前を駆ける。


「あの木は俺が叩っ斬ってやる!」


 レノルからもらった大剣をオーギスは軽々と片手で持ってアドに駆けていく。


 ルナは一足先にアドの元へ駆けていた。

 迫り来る木の根を避けながらアドに抱きつく。


「ご主人様!」


「GAAAA!!」


 ルナに抱きつかれたアドは振り払うように身体を左右に振る。


 ルナは振り払われないようにしっかりと抱きついている。


 オーギスとマサが追いつき、ルナとアドに襲いかかる木の根を斬り倒していく。


 フィーはアドに治癒魔法を放ち、攻撃魔法の準備を始める。


「GA」


 傷がなくなり、オーギスとマサに守られたことで落ち着きを取り戻したのか、アドの動きが鈍くなった。


「ご主人様、私です。しっかりしてください!」


 動きが鈍くなったアドからルナは一度離れて、アドの正面に行き顔に手をやり見つめる。


「ル、ナ」


「「危ない!」」


 ルナの背後の地面から木の根が現れてルナに襲いかかる。

 オーギスとマサが木の根を斬り倒そうとするが、


「ワルイ。鬼に乗っ取られるところだった」


 アドがルナを抱き寄せて襲い来る木の根を片手で掴んで止めた。


「「「「ご主人様!」」」」


「フィー、司令塔を頼んだ。ぱっぱと片付けて、家に帰ろう」


「「「「はい!」」」」


 数時間しか離れていなかったのに、数日ぶりに聞いたような仲間の声で、アドは嬉しそうな笑みを浮かべていた。


「ありがとう、ルナ」


 アドは抱き寄せていたルナを離し、耳元で囁くようにお礼を言う。


「当然のことをしただけです」


 アドの邪魔にならないよう、アドから少し距離を取りながら一礼をして、ルナは武器を構える。


「何か、ご褒美を考えないとな」


 掴んでいた木の根っこを両手で引きちぎりながらポツリと呟く。


 フィーの攻撃魔法が合図となって、3人は大木に駆けていく。


 大木にとって攻撃魔法が致命的だと理解しているため、攻撃をフィーに集中させる。


 マサはフィーを守るために、フィーの前に立って迫り来る木の根を斬り倒していく。


「本体は守らなくてもいいのか?」


 フィーと攻撃が集中したことで大木に近づくことができた3人は、駆けた勢いのまま大木に駆け上がって行き、アドは太い枝を叩き折り、オーギスは大剣で斬り落とし、ルナは木の幹に無数と斬り傷をつけて行く。


 大木がガサガサと揺れる。


 フィーに向かっていた木の根は本体を守るために戻って行き、3人に襲いかかるが、


「フレア!」


 フィーの攻撃魔法が大木に向かって放たれ、大きな炎の玉が根っこを燃やしながら大木へ近づいて行く。


 大木を攻撃していた3人は大木から離れていた。


 大木を守るために地面から無数の根っこが現れて壁を作るが、炎の玉が止まることはなく根っこを炭に変えて、大木に当たった。


 燃える大木はガサガサと暴れるように左右に揺れていたが、炎が収まることには動かない、ただの大きな木炭となっていた。

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