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これまで娘が描いた絵を
猟師は全て売りました。
やっぱり娘の描いた絵は
町中みんなの大人気
かなりのお金になりました。
猟師はその金使いきり
娘の為に誰よりも
立派なお墓を建てました。
今では猟師と奥さんの
手元に残っているものは
娘が最期に描いた絵が
たった一枚きりでした。
しかし猟師も奥さんも
何にも不満はありません。
娘が最期に残した絵
壁に飾っていつまで
二人で眺めておりました。
だけれど町の人々は
猟師の家までやって来て
娘の最期の一枚を
眺めて小首を傾げます。
「まるで子供の落書きだ!
見事な絵画を全て売り
あんな絵だけを残すとは
娘を亡くした悲しみで
いよいよ猟師と奥さんは
おかしくなっているのでは?」
もちろん猟師と奥さんは
何を言われても気にしません。
壁に掛かってる絵と共に
いつもの暮らしに戻ります。
猟に出かけて料理して
二人の暮らしに戻ります。
そんな二人を壁の絵は
静かに見守ってるのです。
猟師の家に飾られた
娘が描いた最期の絵。
小さな小さなキャンバスに
そこに描かれていたものは・・・
大きな大きな森の中
ずうっとずうっと奥の方
小さな泉のそのほとり
暴れん坊のオオカミと
心優しい老木が
並んで立っておりました。
仲良い訳ではないけれど
分かり合えてはいないけど
小さな小さな絵の中で
並んで立っておりました。
おしまい




