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眠れない夜のための音楽  作者: 枯枝折子
2/28

小鳥とか杜の蝶とか、いわれても 1

 




 みんながみんな、舞い上がってしまうわけじゃないのよ?

 甘い誘いに動かされず、周囲の意見もちゃんと聞き入れた上で、あえてここに残る選択をする。保守的だって、いいじゃない。もともとは、そういう風土の学院なんだから。

 

  *


 少女たちの自尊心をくすぐる言葉や、勘所の突き方や、あるいはもっと単純に乙女心を掌握するすべを熟知した他校の教授が、やがて万雷に変わった拍手を浴びて鷹揚なウィンク一つでそれを引き取り、講堂を後にするのを、細かな彫りの施された木製ベンチのアームに、全身を不機嫌ごともたれさせて睨みつける。

 そして、そのあとに続いていく他校からの一団と、本校の教授陣。

 ピンと美しくて細い後ろ姿を見せていたロマンティックグレーの学院長が、騒ぎに呆れたようにこちらに視線を走らせて、しかしそれをとがめるでもなく、どこか投げやりな様子で振り切り、ため息を置いて去って行く。

 

 四人掛けのベンチは舞台に向ってほぼ隙間なく配されていた。

この日、提携校への編入説明会に参加したのは、イルーフ女学院の六年生から十二年生に学ぶおよそ四百名。みんな眩しいばかりに初々しい淑女たちだ。

 王都の郊外に広がる巨大な森で、真に深窓の乙女として醸造されている途中の、一級品の少女たち。

 それが、ばらばらと立ち上がり、歌手にアンコールをねだる町娘みたいに手を振ったり叩いたり、とにかくきゃーきゃーありえないほどかしましい、ただの女の子みたいになって大人たちを見送っている。

 

 こういえば、こうなる。

 すでに定型化したスキームによって、男はいまいましくも効率よく、自分の仕事を遂行していく。過去七回で、計四八名の編入生を獲得して行った手腕が恐ろしい。演説でぶち上げる内容は手を変え品を変え、掴みとタイミングと落としどころはそのままに、うまうまと相手の術中にはまっていく少女たちが、気の毒で悲しい。

 前回はついに十一名の流出を許した。今回はもっと多いかも知れない……。

 セシル・リヴィエラは不機嫌な渋面もあからさまに、歓声と嬌声のるつぼのような周囲、そして一際はしゃいでいる隣席の友人を見つめた。

「なあに、リーヴィー。その不機嫌そうなお顔」

 

 目が合うと、仲良しのエルは紅潮した笑顔のまま、不思議そうに首を傾げる。

「それに、その姿勢! いけないわよ、監督生に見つかったら、あなたまたお説教よ」

「……あなただって、美人が台無し。むやみにはしゃいでるでしょ、演劇でも見たあとみたいになっているわ」

 いつもは、いたって朗らかで落ち着いた子だ。同じ年なのに、時々自分よりおねえさんだと感じる子。それなのに。

「だって。だって! 素敵じゃない!」

 エルは、セシルの両肩をがっしり掴んで、揺さぶる勢いで訴える。くわっと近づいてきた目や口を、くわっと開いて。


「素敵よ! すごいことだわ! 政治や法律について勉強できたら、男の人みたいな職に就けるかもしれないってことでしょう!」

 こげ茶の長いおさげを、ぶんぶん振り回してすっかり心を奪われてしまった様子だ。

 王立学芸院と、伝統と格式あるあちらの教育プログラムに。

「教師や、王宮女官だけじゃなく、たとえば官庁や府省の事務官とか! ねえ、そうでしょ、ここでぬくぬくとしているだけではやっぱり駄目なんだわ」

 きらきらした黒の大きな瞳で、鼻息荒くエルが続ける。


「あなただって、リーヴィー、本当はここじゃ物足りないはずよ。十年生で一番優秀な人なんだもの、もっと向学心を持たなくちゃ!」

 エルは、彼女がしばしばセシルを友人としてたたえるときの褒め言葉、学年一優秀、を口にして、なおさらセシルを閉口させた。

 ごめん、ごめんね、エル。絶対に言えないけど、ズルなのよ、それ。わたしほんとはちっとも優秀じゃないのよ……。


「あなたと一緒に学芸院へ移れたらいいわ! ヘイリーも、あなたと仲の良かったオードラもリサ・マタルもあちらで待っていてくれているのかも。リーヴィーたちはいつになったら編入してくるのかしら、って。きっと楽しくて素敵よ。またみんなでおしゃべりできるわよ」

 普段はむき出しになんてしない綺麗な並びの歯を見せて、エルは明るく笑っている。

 もう、美人がもったいないわ。こんなくしゃくしゃに感激しきっちゃって……。

 セシルは仕方ないな、と苦笑を漏らした。

 目標を見つけた人の、誇らかな表情でもある。先に行ってしまったみんなと同じ。

 

 ここでもうきっとエルは、心を決めてしまっている。また、奪われてしまう、友達を。

 大興奮のエルは、セシルの困惑には気づかない。困惑、あるいは葛藤に。

「――ねえ、リーヴィー。あの先生も、南からいらしたのかしらね? 髪の色も瞳の色も濃かった」

「エル、人の容姿については――」

 言及しちゃだめよ、とセシルはエルをたしなめる。

「そうね。出自の詮索も、よね。でも、少しはほっとするでしょ? 王都に私たちだけじゃないって、思えるもの、ね?」

 

 そうね、と。エキゾチックで魅力的な自分の容姿を、しかし王都の女学院にあっては異質だ、と考えているらしいエルに、そう返して安心させてあげられたらよかった。

 

 学院に学ぶ多くの少女たちは、この北の王国に生まれついた人らしい、ブロンドや明るい褐色の髪で、中には銀糸を集めたような色の子もいる。

 瞳も青や緑、灰色や紫といった薄明るい宝石色、圧倒的多数がそうであるから、必然的に濃暗色の髪、瞳を持つエルは少数派としての痛みを感じているかもしれない。

 ――――そして、それはセシルだって同様だ。

 けっこう、切実な悩みだわ。

 栗色の髪と瞳の自分が、たとえばはちみつ色の髪とサファイアの瞳を持っていたら、と夢想することがある。

 

 有名なドレスメーカーのルックブックやデザイン画のモデルたちは、たいていブロンドで緑か青の瞳。

 街で見かける男性の制服さん、軍属の騎兵隊や守備隊、憲兵さんたちもそう。

 王都において、南方系の容姿である人たちと言えば、まずは数年前に併呑した南の荒廃国からの移住者だ。

 それから、やはり大陸の南側との貿易に従事する労務者。――もとは、うんと古い時代には奴隷の身分であった人。

 低所得者の多い街区に住む人は、髪も瞳も濃い色が多い。

 

 量は少ないけれど、セシルのパパは金色の髪だ。瞳は濃い青色。

 大きいおなかや臭い足はいらないけれど、どうせなら父方に似て生まれてこられれば良かったのに、とこっそりため息を吐くこともある。

 セシルはママに似た。

 ママや、その亡くなった妹にそっくりだといわれる。

 入学の際に定められた呼称以外に、お互いの出自や生家の身分や出生地を知らない、教え合ってはいけない決まりのイルーフの少女たちにしても、本当に心を許せるのは『自分の同類』だけという、無意識の意識の引き合いで、仲良しグループへの帰属を示しているかもしれない。

 あるいは、もっと純粋な部分で、この子は遺伝的に自分と似ているからという安心感、同族意識によって。


 寮の一室は、一年生から十五年生まで四人ずつ。国の固有の風貌の子も、明らかに他国からの留学生だろうとわかる子も、セシルたちのようにぱっと見て国籍のはっきりしない子も一年ごとの部屋替えでシャッフルされて親しくなるけれど、お手洗いに誘い合ったり、将来の秘密の夢を語り合ったりするのはセシルにとってはエルのような子だった。

 

 お互いの生まれや、背負うもの、正式な名前や家族構成、人生を形成する多くの要素を、イルーフの杜ではすべて忘れていなければならないから。

 ――――一見理想的でいて、すごくバランスが悪い慣習だとセシルは思いはじめている。

 人の心のみ、本質のみ、『心一つ』『身一つ』で――ここに生きて学び、大人になる、ということ。

 休暇や週末に過ごす後見家庭での暮らしは明かしてはならないこと。

 杜から出た後で、それぞれが歩む道は決して同じではないのに、心の奥に隠して埋めたものについては話してはいけないこと。

 

 セシルが、エルの故郷や家族の仕事や休日の過ごし方を知らないように、彼女もまた『リーヴィー』という愛称しか固有の記号を持たない友人の、出自や後見家庭の有様を知らない。

 幕で覆われて見えないものをあえて見ずに、それなしで親しくなったから、人間としての本質のみで結びついた純粋な友情だと、イルーフでは教える。

 そうであるために、自分の氏育ちについて語ることは絶対的な禁忌とされ、誰かの素性を探ろうとすることもまた、放校処分の対象だ。

 それによって生徒はすべて平等とされる。

 

 後見家庭、つまり自宅に戻れば実の姉妹という、上級生・下級生も中にはいるはず。

 血のつながった肉親であっても、杜の中ではおのれの『身一つ』で対峙しなければならない。

 ――――けれど、とセシルは思考を転がす。

 厳然として、階級の存在する社会で、それは通用するのかしら。それは杜の中でしか持続しえない感情なのではないかしら。

 

 たとえば。

 異国からの留学生の多くは、周辺国の王族や有力貴族の子女である、という下世話な真実をセシルは知っている。

 近隣諸国の上流家庭では、文化大国であるこのニーベルジュール、ことに王都ガルクの名門校への留学が流行している。

 男子であれば、陸・海軍府士官学校の幼年課程から大学院まで。あるいは王立学芸院へと選択肢がいくらかはある。

 女子の場合は、学芸院女子部の門をくぐるか、大陸における女子教育の源流、とその正統性に確かな評価を得ているこのイルーフ女学院か、ということになる。

 だから、杜の中で学ぶ留学生は、他国の高い身分の人。

 

 国内出身者で入学を許可されるのは、王都に後見家庭のある者のみだ。

 王族、国王の王女は現在おいでにならない。

 高位貴族、下級貴族、役人、軍人。商家。そんなところだろうと思う。

 花嫁養成学校としての需要の方が高かった昔からそれは変わらない。今は職業婦人への道も開かれているけれど、在学中に相応の相手との婚約が調い、卒業後に結婚という人も多い。

 都市労働者の家庭からイルーフ学院に学んで、その後に活かせる道はあまりない。

 ごく一般的な王都市民の間では職業訓練校が人気だと聞くし。

 

 王都にゆかりのない地方出身者でも、本人に向学心があれば、教区の学校から推薦を得て王都の聖堂や個人宅に滞在先を持てる。

 ――――詮索してはいけないとわかっているけれど、エルはおそらく地方貴族の令嬢なのではとセシルはぼんやりと把握していた。

 たまにぽろっとこぼれるお国ことばが、国の中南部穀倉地帯のものだから、という程度のぼんやりだ。

 黄金に色づいた麦や大麦の穂を渡る風が、おさげを解いたエルの長い髪を攫って行く様を想像したときに、ふっと大地や日の光の香りが立ちのぼるような気がしたから。

 そして彼女の笑顔にはよく似合いそうな気がしたから、あながち的外れな推理とも思えない。

 

 一つ身で一つ心でそこに立つ乙女、人としての本質のみでお互い友人として向き合えという。

 

 けれどセシルにしても、氏素性を相手に知られてはいけないとことに注意深くあるうちに、相手を決して近づけてはならない領域の周り、心の内面に近い場所に強固な壁を築いてしまっている。

 言葉や行動の奥に隠してしまう本来本質的な意味での自分の一部ではないものが、守るべき核のように身の内で脈動しているのがわかる。

 だとしたら、人間の本質、として表層に浮き上がりみんなと接している部分の方こそが、実は流動的で信用のおけない、油断ならない『私』なのではないかしら、という矛盾。

 

 セシルが禁じ手を犯して、エルの中の核のかけらがふと表に現れて香るたびに安堵してしまうのは、イルーフの教えがその一点において完全な円ではないという証しのように思えた。

 この、生きづらさ。

 杜の中では、まだいい。

 みな揃いの質素な制服をまとって、同じ神々や聖人に祈り、同じ教育を受けている間は。

 

 けれど、大人になったら。

 週末や休暇に帰省して、杜で押し隠している自分のほんらいの姿に戻るときの解放感と同時に突き付けられる現実の痛みが、日常になったら。

 その時のために、装甲のように強い自分にならなければいけない、ということ、なんだわ。

 杜の中の自由と平等に、だからセシルたちはきっと戦いを強いられている。

 鋳型で形成されたような女性と揶揄される、未来の私たちになるためには、どれだけの努力が必要なんだろう。

 脳裏で弄ぶ思考が、一区切りの収束を見せたとき、セシルは顔を上げた。


 ――――安易な逃亡よ。

 ここでの闘争を捨てて新しい場所へなんて、ただの逃げよ。

 冒険しなくたって、いいじゃない。保守的だって、いいじゃない。


「――夏も近いわね。新しいことを始めるのにはいい季節だわ。……私、ねえ、リーヴィー、私……真剣に考えてみようと思うの」

 気が付けば笑顔をなくしたエルが、呟くように漏らした。

「――そうね。あなたの将来のことだもの、あなたが考えて自分で決めればいいのよ」

 冷淡に聞こえたかもしれない、とセシルは思った。けれど、彼女を責める意図もない。

「私はまだ杜で学ぶことがあるわ」

 

 どこにいて、何を学ぶかは自分次第だ。学びながら、何を得るかも。

「……だから、エルの決断によっては、私たちは別々の場所に離れていくけれど、私は、あなたが歩いていく道を応援する」

 ふ、と。エルの黒炭の瞳が潤みを湛えているように見えて、セシルは口を噤んだ。

 きれいな色だ。そして、どこか淋しそうだ、と思う。――――目は口ほどに、という。

 伝えたい感情を、きっと彼女は内面からセシルに訴えかけたいと思ったのだろう。

 長い休暇明けには肌を小麦色にして戻ってくる、エル。

 今は夏を前に、なめらかなアイヴォリーの素肌を保っている。

 大人っぽい目鼻立ちなのに、頬のえくぼがかわいくて、口元のほくろは色っぽい。

 そして、きっぱりとして強い、眉。


 こうして、私もそうであるように、私たちは肌や髪や瞳の色を、つい気にしてしまいがちだけれど、あなた、誰がどう見たって絶対ものすごい美人よ?

 セシルは見とれるように、美しいエルの顔に見入った。

 ――――見当違いだと判っていた。


「楽しいことばかり、想像してみるのはどう? あちらの敷地の中には男性の数が圧倒的よ。ボーイフレンドがすぐにできるんじゃない?」

 だって、あなたは本当にきれいだもの。

 素っ頓狂な声をセシルが響かせると、彼女はふっ、と頬のこわばりを解いて、笑顔になった。

「だからよ。リーヴィーも一緒にいらっしゃいよ」

 唆すように、にやりとする。

「いやよ、男の子なんて。臭いもの! 私は馬や川魚や畑の方が好き」

「まぁ! なんてこと! 院内での放言は減点二よ、リーヴィーさん」

 セシルの生活態度の端々に目を光らせている、天敵の監督生の口調を真似たエルに、とっさに手のひらで覆った唇からこらえきれない大爆笑がこぼれる。

 

 ――――彼女の感傷を、受け止められなかった。

 ――――私の感傷に立ち入って欲しくないように、立ち入るべきではないと思った。

 笑いながら、親友の目から視線を外しているセシルを、いまだざわめいている周囲には目もくれずに、遠く離れた席から天敵が見つめている。



 院内での素行不良は、減点の累積が五十点で生活指導担当教官への申告、百点で学院長への申告を自省の意とともに自分で行わなければならない。

 同学年の監督生が、なぜかセシルの絶好のタイミングにばかり現われて、失点の指摘をしてくれる。

 累積点の指摘を、してくれる。

 まったく、親切な人なんだから。

 ――なんてこと! あなた、これで累積百一点よ、リーヴィーさん。

 

 前回捕まったときは、確か九四点じゃなかったかしら、とセシルは胡乱げに返した。

 ――まあ、記憶力は案外よろしいわね、リーヴィーさん。淑女らしくない座時姿勢が減点三、院内での放言と辺りをはばからない下品な大笑いが減点二ずつよ。

 ふっと、軽蔑の視線を投げかけて、彼女は去って行った。

「あの子、あなたにやきもち焼いてるのよ。意地悪されてるみたいだわ。座学じゃあなたに絶対に勝てないのに監督生なんですもの」

 

 セシルの肩を持って親友は彼女を咎めるように見送った。けれど。

 ふん、それがあなたの大事なお役目なんでしょうけど、私に利用されていると考えたことはないのかしらね?

 ……しめしめ、とセシルはこっそり思う。

 

 実を言えば、院長室を堂々と訪う理由がほしい。累積百点の反省なんて、その口実にぴったりだ。

 座学の優秀賞や、政庁舎の『今月の刺繍』や、教育省の『季節の詩・百選』の表彰と同じくらいに自然な。

 切実な陳情を、学院長に聞いて貰える機会なら、幾度あったって足りないくらい。

 乙女らしくない振る舞いがそんなチャンスに直結するから、素行不良とそしられたって、セシルには痛くもかゆくもない。

 というより、むしろその方がセシルにとって具合がよかった。

 品格に問題ありとレッテルを貼られておくことで、身に降りかかる可能性のあるいくつかの面倒事が回避できている。監督生に選ばれなかったり、ね。


 ……いいのよ。それに、私がガサツでどうしようもないのは、これは素だし。

 付き合うわ、と気の毒そうに言ってくれたエルと別れて、セシルは院長室へと歩き出した。

 時間の都合もよかった。

 説明集会は授業後の放課に行われていて、寮の夕食までは自由時間だった。

 外観は石で造られ、内装にはクルミや樫材が多く使われた教職員の実務棟の一階奥に、目指す学院長の執務室はある。

 広く長い廊下は経年でつやつやに磨かれたようにすり減った、かつては切り出したままの石材だ。創立以来五百年弱に渡り、幾多の乙女とその師が行き交った跡が、いびつな波打つような凹凸を作り上げている。

 ――――大陸における、女性教育の源流にして主流。

 セシルにとっては、自分一人の意志ではなく守りたい場所だ。

 

 ふう、と、最奥の大きな扉の前に立って一息、セシルは、そこだけニスの禿げかけて薄い箇所、みんながノックのために拳を当ててきたノブのそばを叩いた。



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