毎度の事
「完全にお前が悪いだろう?」
「先に仕掛けてきたのはそっちだろ!」
「はぁ?言いがかりもいい加減にしろよ、青ガッパ。俺は何もしてない。」
「あぁ?何、偉そうに言ってんだよ!ボサボサ頭!」
「これはボサボサじゃない、天パだ。見て分からねぇのか?」
「どう見たってボサボサだろうが!」
グィーモと歩いていたら、カルとシュラがいつものように喧嘩していた。
カルとシュラは、とぉーっても仲が悪いんだー。
シュラも僕の大切な友達なのにカルは大っ嫌いって言うから、少し悲しいな。
「またですか。」
グィーモがため息を吐く。
「グィーモ、良いところに来た!今日こそ、こいつを退学にしてくれ!」
「ハァ……。そんなに俺が嫌なら、お前が退学すればいいだろう?」
「俺はここを卒業したら、カイン騎士団に入るんだ!だから、退学などしない!」
シュラは大きくなったら騎士さんになるんだー。すごいな。
「じゃあ、我慢しろ。俺も、退学する気など更々無い。」
「フン!E組の中でも一番の落ちこぼれが何をふざけた事を。てめぇはこの学校に向いていない!荷物を纏めて、とっとと出ていけ!」
「お前に何と言われようが、出ていく気は無い。」
「てめぇ、俺に模擬戦で一度も勝ったこと無ぇのに生意気だなぁ、オイ!」
「模擬戦で勝ったからって、威張っていいルールなど無い。」
「よし!じゃあ、模擬戦で負けた方がこの学校から出ていくってのはどうだ?」
「……うむ。魅力的な提案だが……、却下だ。」
「フン!てめぇが俺様に勝てるわけ無いもんなぁ?」
「ハイハイ。もういい加減にしてください。授業が始まります。」
「ちぇ。てめぇのせいで、せっかくの休み時間が無駄になっちまった。いいからさっさと失せやがれ!」
「それはこっちの台詞だ。いちいち俺に絡むな。」
「あん?てめぇが絡んで――」
「ハイハイ。シュラ、行きますよ。『使い魔召喚契約』はA組からです。」
「フン!落ちこぼれのボサボサ頭は精々雑魚でも召喚してろよなー。だが、ユン。お前は頑張って良い奴召喚しろよー!」
「うん。またねー!」
僕は、グィーモに引きずられていくシュラに手を振った。
「クソッ、青ガッパめ……。」
カルが地面を蹴る。地面は抉れ、辺りに土などが飛び散る。
「あ!カルぅ~。葉っぱさん、いじめないでよー。」
蹴られた所に生えていた葉っぱさんは散り散りになって、可哀想。
僕はしゃがみ込むと、葉っぱさん達を集めて穴にいれる。
「ごめんねー?元気になってね。」
声をかけて、上から土を被せてあげる。
「ユン、授業に遅れる。急ぐぞ!」
カルに引きずられながら、僕は土の中に寝かせた葉っぱさんに『バイバイ』と手を振った。