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執行連ディエンド  作者: 囚人
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執行録3 頼りないリーダー

 「入るぞ」


 連長室のドアを一定の間隔で三回ノックする。

 そして、俺は部屋にいるリーダーの許可を待たず、中に入った。


 「おい、拠点に帰ってくるなら、事前に連絡しろ」

 

 「それはごめんよー。ちょっと忘れ物しちゃってさ」


 足の踏み場がないほど物が散乱している。

 こいつが不在の間、俺とチンタで部屋を整理整頓したというのに・・・

 まさか、たったの一日で元通りになってしまうとは。唖然としてしまった。


 ディエンドのリーダーを務めているエレネ。

 彼女が執行連ディエンドの創設者であり、俺の幼馴染でもある。

 容姿端麗。高い位置で結んだ銀髪のポニーテール。圧巻のリーダーシップ。

 実力は言うまでもなく、まさに完璧人間である彼女だからこそ組織は成り立っているといえる。

 組織を立ち上げる理由となったのは、10年前に両親を殺されたことが大きい。

 未だに、その犯人は捕まっておらず、犯人の素性すら掴めていない。

 犯人を見つけ出すことも理由の一つにあるが・・・。

 二度と自分のような悲劇を味わってほしくない、大事な人が犠牲になってほしくない。

 それらの思いから、執行連ディエンドが創設されたのである。


 「手伝うよ。なにを探してるんだ?」


 「今まで、私たちが失効してきた日との情報がいるの」 


 人目がないからなのか。寝癖で髪はボサボサ。服の皺も見てられない。

 これが本来のエレネの姿である。人目がある場所と、人目がない場所とでは天と地ほどの差がある。

 しかし、この姿を俺は見慣れている。

 幼馴染ということもあり、そういった部分をよく見てきていたからだ。

 だらしなくて、面倒くさがりで、不器用。

 そんな彼女だが、組織のリーダーとして連員からは大きく信頼されている。

 人は見かけによらないとは、まさにこの事を指している。


 「それなら、この棚になかったか?」


 それぞれの棚に分かりやすいようまとめていたので、俺はその探し物をすぐに見つけることができた。

 まったく部屋を掃除しないから、いざという時に大事な物がどこにあるのか分からなくなるのだ。

 二度手間になってしまうが、あとでチンタにもう一度部屋を片付けるのを手伝ってもらおう。

 それで、どこに何を置いてあるのか、時間がある時に説明しておくとしよう。


 「ありがとー! 流石、レル!」


 「お礼はいいから、片付けをしてくれ」


 「あはは、耳が痛い痛い」


 エレネは俺の声が聞こえないよう、両手で両耳を抑える。

 こっちは冗談じゃなく、本気で言っているのだと理解してほしい。

 だが、今は怒るよりも気になることがあった。


 「それにしても、なんでその情報が必要になったんだ?」

 

 「それがね。|国察(こくさつ)《こくさつ》にいるサナたんから報告があって」


 ———国察(こくさつ)。国が正式に認可を下している国民が安全安心に暮らせるように悪を取り締まる組織。

 サナたんというのは、エレネの母親の友達の娘である。

 小さい頃、お互いの家で遊んでいたらしく、今でも二人で出かけるほど仲が良い。

 連員を除いて、サナたんはエレネが執行連のリーダーであることを知っている唯一の人でもある。

 

 「確証ではないけど、私たちが殺した人間が生きてたらしいの。それで、いつ、どこで、どうやって殺したのか詳しく知りたいんだって」


 「そうなのか」


 なんだろう。この言葉に言い表すことができないもどかしさは。

 基本的に、執行連ではターゲットの死体処理は国察(こくさつ)に任せている。

 あくまで、俺たちは悪人を裁かれる場面を見せしめにすることが目的であるからだ。

 執行のやり方も統一されているため、首から体を爆発させて、生きているということはあり得ない。

 つまり、組織の誰かが虚偽報告をした。あるいは、ターゲットに変装した何者かを殺した。

 現状、ここまでしか推測することはできない。

 

 「なにか進展があったら、教えてくれ」

 

 「了解であります!それじゃあ、サナたんに会いに行ってくるね」


 「その前にだ。身だしなみは整えろ。今、連員はエレネのことで話題になってるからな」


 こんな格好を見せるわけにはいかない。俺は机の中から櫛を取り出し、彼女の髪を整えてあげる。

 服の皺は今すぐに直せないので、念のために、予備として置いてあった服に着替えるよう指示した。

 髪を整え、用意した服に着替え終わると、エレネは笑顔で手を振って部屋を後にするのだった。

  

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