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執行連ディエンド  作者: 囚人
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執行録1 任務の帰り道

 空が綺麗だ。

 上を見上げると気持ちは晴れるのに、地上に目を向ければ、この気持ちが晴れることはない。

 むしろ、この現状に鬱憤が募るばかりだった。


 なぜ、悪事を働く人間が生まれてくるのか・・・。

 殺したり、騙したり、盗んだり。正直に言って、そんな人間は死んだ方がいい。

 そういう人間がいるからこそ、その後に続くような人間が出てくる。

 全員を抹殺しなければ、この腐った世界が取り戻されることはない。

 0から1を生み出すことと、1から100を生み出すことの難しさは違う。

 

 そして、なぜ国は悪事を働いた人間に情けをかけるのか・・・。

 これも理解できない事だった。

 人を殺しておいて、その人殺しは数年間牢獄で過ごしたら、反省しました顔で外に出てくる。

 本当に、あり得ない。国が犯罪者に甘いから、国が被害者に納得できる罰を下さないから・・・。

 平気で悪事を働いたり、その人間に逆恨みをする者が後を絶たないのだ。

 

 この世界は変わらなければならない。

 だから、俺は執行連ディエンドに入ったのだ。


 早朝から、三件も依頼を頼まれていたこともあり、朝食を食べる時間がなく、お腹が空いていた。

 今の所、依頼は頼まれていないので、ゆっくりできる。

 ちょうど拠点に帰る道の途中に、パン屋があったので寄る事にした。

 香ばしい良い匂い。空腹感が駆られてしまう。まだ昼前だが、もう昼食を済ませることにしよう。


 「すみません、クロワッサン七個ください」


 「クロワッサン七個ですね。代金は4銀貨となります」


 「ちょうどで」


 「ありがとうございます。では、少々お待ちくださいませ」


 「分かりました」


 雰囲気で伝わる。この店は良い店だと。

 受付の店員は笑顔で対応してくれるし、店中の店員たちも面倒くさそうな表情を全く見せていない。

 一見、そんなの出来て当然かもしれないが、これを日常的にできる人は多くない。

 それほど仕事に対し、日頃から真剣に向き合っていると分かる。

 たった一目しか見てないが、この店を気に入ってしまった。

 これから、暇さえあったら通うことにしよう。

 他人が頑張っている姿を見るのは、自分にもいい刺激になるからな。

 

 「こちらクロワッサン七個になります」


 女性の店員はそう言うと、紙袋にクロワッサンが七個入っているか確認するよう見せてきた。

 注文通り、七個入っている。


 「ありがとうございます」


 「では、またのご来店をお待ちしております」


 閉じているはずなのに、紙袋から鼻腔をくすぐる匂い。これは拠点に帰るまで我慢できなさそうだ。

 あまり宜しくはないが、一個だけクロワッサンを食べることにする。

 ずっしりとした重量感。きつね色の焼き目。

 これは絶対に美味しい、と味覚が反応したのか涎が出そうになる。

 パンくずが落ちないよう、俺は紙袋を自分の口元に寄せる。

 

 「いただきます」


 片手で手を合わせ、俺は口に運んだ。

 空腹は最高のスパイスということもあり、今まで食べてきたクロワッサンの中で一番美味しかった。

 一個で抑えるつもりだったけど、これは止まりそうにない。

 結局、拠点に到着した時には、クロワッサンはもう一個も残っていなかった。

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