再生機構
「さて、前提と疑問はあらかた共有できたが……どこから解体する?」
「そうですね、まずは……」
セルードの問題提起に、ミヨはサクラに視線を向けた。穏やかな寝顔は、笑っているようにさえ見える。
「サクラの回復、もとい異変について考えましょう。ほかの話は今後の旅の方針にかかわることですから、彼女が目覚めるのを待つべきです」
「そうだな、異論はない」
「同じくー」
二人の賛意にミヨは小さく頷いて、視線をタオに移した。
「確認します、タオ。あなたが駆け付けた時点でサクラはすでに瀕死だった、間違いありませんか」
「うん、間違いないよ。血の量もすごくて、脈は今にもなくなりそうで……」
話しているうちにその光景が、それを目の当たりにした時の動揺が蘇ったのか、タオは身震いした。
ミヨが屈んで、タオと視線を合わせて優しく言った。
「辛いことをさせて申し訳ありません。やめておきますか」
「……ありがとう、でも大丈夫。この子のためにも、やれることをしたいんだ」
「想いは汲みます、ですが無理なさらないよう」
ミヨはそのままの体勢で続ける。
「あなたはその後、特殊な軟膏を用いて応急処置を行い、彼女を担いでここまで戻った。そうですね?」
「それなんだけど、無我夢中だったから正直よく覚えてなくて……ただ、軟膏がだいぶ減っちゃってるから、そうなんだと思う」
言いながら取り出した軟膏は、瓶の三分一を下回る程度しか残っていなかった。セルードが小さく唸る。
「本物か……! さっきの話を聞いた時、もしやとは思ったが」
「知ってるの?」
「噂に聞く程度だ。とはいえ……」
セルードはサクラを、正確にはその衣服に残された大きな斬撃の跡を見て言った。
「致命傷をたちどころに完治させるほどの効能はなかったはずだ。延命にはなるだろうが……」
「うん、そうなんだよね。だからサクラの傷が治ったのは薬のおかげじゃないんだけど……」
頭を悩ませる二人とは別に、ミヨは思案に耽っていた。たまらずタオが尋ねる。
「ミヨはどう思う? 『神造聖人』的に、心当たりはない?」
「…………ないことはありません。確証もありませんが」
明らかに発言を躊躇って難しい顔をしているミヨに、セルードは肩をすくめて見せる。
「今すぐ結論を出そうというんじゃないんだ、試しに言ってみるのも手だぞ」
「……ふむ、そうですね。あなたたちなら、私の言葉に固執したりもしないでしょうし」
ミヨは少し間を置いて、難しい顔のままで口を開いた。
「私が思うに……サクラの中にある神の力が、より強くなっている可能性があります」




