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サクラ VS ベル-7

 理解できなかった。理解したくなかった。理解するべきではないと思った。動かない的を相手に、必ず当たるはずの攻撃がすべて外れたことも。サクラが自分と同じ技を使ったことも。



「がっ、ぐうぅ……!」



 だから今は、サクラを殺すことだけを考える。苦悶に顔を歪めながらも、無傷の左手を突き出して指を折る。いや、折ろうとした。



「……!?」



 ベルは目を剥いた。サクラの姿が消えていたからだ。驚きで硬直してしまったのは、彼女の油断。サクラはもうあそこから動くことはないと、タカをくくったのだ。


 だから、背後に立った彼女の気配に気づくのが遅れた。



「なっ……!?」


「バイバイ、ベルちゃん」



 強者相手の一瞬の遅れは、あまりに致命的。サクラの凍てつくような死刑宣告に、ベルは本能で終わりを確信した。


 だが、その時は来なかった。代わりに刀が瓦の上に落ちる音、次いでサクラがその場に倒れこむ鈍い音が聞こえた。


 恐る恐る振り返ると、骸のように横たわるサクラの姿が目に入った。辛うじて息があるが、出血が激しくもはや時間の問題だ。痛みという、肉体が発する警告を無視して無理を通した結果がこの様か。



「はあ、はあ……」



 サクラが襲ってくることはもうない。そう自覚しても心臓は激しく脈打ち、呼吸は整わない。理由は明白、これは勝利などではないと理解しているからだ。ただサクラが、その手の中にあった勝利を取りこぼしただけ。



「……結局私は、あなたたちを超えられないのですね」



 その悲痛な表情は、腕の痛みのせいではなかった。


 だが、感傷に浸ってばかりもいられない。これだけ暴れたのだ、もうじき人も集まってくるだろう。その前に退散しなければならない。それに。



「連れていきますね、サクラさん。あなたは聖域に踏み込んだ人間という貴重なサンプル……連行途中で死ぬかもしれませんが、我々にとっては関係ないので」



 サクラを担ぎ上げようとしゃがみこんだ、その時。銃声とともに一発の弾丸が、ベルの左胸を背中から貫いた。

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