表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/106

勇者の愛したおにぎり

「はい、おまちどう」



 ヨンガはサクラとタオの前に大皿を置いた。皿には巨人が握ったように大きな握り飯が五つ乗っている。


 呆気にとられているタオをよそに、サクラは両手で握り飯をつかんで勢いよく頬張った。



「ん-! やっぱり美味しい!」



 幸せそうに眼を細めるサクラを見て、意図せず腹の虫が鳴く。タオはおずおずと手を伸ばし、握り飯を手に取る。



「お、もっ……!?」



 大きさもさることながら、その重さにタオは驚かされた。鉄球を持ち上げているような錯覚。強い力で圧縮されているのか、あるいは中の具が特殊なのか。いずれにしても、軽々と持ち上げて一心不乱にかぶりついているサクラが異常なのは確かだ。


 口を小さく開けて、恐る恐る口を付ける。



「……!」



 歯を立てた瞬間、二つの驚愕がタオに襲い掛かった。一つは食感。高密度の、岩のような硬さを覚悟していたが、実際には綿のように柔らかく、米の一粒一粒が程よく主張している。


 二つ目は、味。味付けが塩のみであることはすぐに分かったが、それでもほかに何かあるのではと疑ってしまうほどの奥深さ。その衝撃と美味しさに、さほど健啖家でないはずのタオが、大きな握り飯を瞬く間に平らげてしまった。



「……ねえ、サクラ。もうひとつ」



 遠慮がちに言ったタオだったが、すでに皿には米粒一つ残っていなかった。サクラが指を舐めながらタオに視線をやる。



「ごめん、食べちゃった」


「見れば分かるよ。ヨンガさん、お替わりもらっていい?」



 ヨンガが満面の笑みで答える。



「もちろんさ、若い子は食ってなんぼだからね」


「おばちゃん、私も!」


「サクラは食べすぎでしょ、太るよ?」


「美少女は太りませーん」


「んなわけあるか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ