少女剣士の先導
サクラとタオは人波をかき分け、大通りのど真ん中を闊歩する。タオが感慨深そうに言う。
「いやあ、新鮮だ」
「なに、魚屋でもあった?」
「そこまで食い意地張ってないんですけど。いやね、普段一人だったら端っこ歩くからさ。こうやって我が物顔で風切って歩くことってないんだよね」
「お、皮肉か?」
「まさか、感謝してるんだよ。サクラといると、世界が違って見えるなって」
「へへ、照れる」
二人は顔を見合わせて笑う。
「それにしても、ミヨも来ればよかったのにね」
「まあ、見張りはいるよね。あの何とかって学者、窃盗犯らしいし」
「それなんだけどさ、なーんか腑に落ちないんだよね。ミヨはなんか分かった風な感じだったけど……結局、王都まで送ってあげる感じなんだよね?」
「そうだね。まあ、サクラの目的を考えてもひとまず王都を目指すのは理に適ってるし」
「うーん……」
「不服?」
タオが聞くと、サクラは困ったように眉をひそめた。
「いや、別に不満があるわけじゃないんだよね。ただ何か、違和感というか……」
「あー……それなら私、分かるかも」
サクラは思わず足を止めた。
「え、マジ? なんで?」
「ま、私もサクラと似たようなこと考えてたってことだよ」
「そっか……って、あれ。結構歩いてたね、気付かなかったや」
「この辺?」
「そ、こっちこっち。続きは食べながら話そう」
サクラは大通りを外れ、細く薄暗い路地に入る。タオが躊躇いがちに続いた。
「なーんか、いかにも隠れ家って感じ。よく見つけたね」
「でしょ? 私、美味しい店見つけるの得意なんだ」
「ひょっとして、勘? そんな個人的なことに、神様の力が反応するとは思えないけど」
「さあ、どうだろうね。それとは別の勘があったり……」
楽しげに笑い、軽い足取りで先導していたサクラが、突然足を止めた。タオが不思議そうにその顔を覗き込む。
「どうしたの?」
「……ううん、何でも。さ、この階段を下りたらお店だよ」




