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最初の町

 気が付くと、サクラたちは大きな鉄の門の前にいた。目的地の町だ。聖域が崩壊した影響で、元の時空に放り出されたのだ。


 だが、帰還に安堵し喜ぶ暇はない。門の横に構えるプレハブ小屋から、一人の警備員が血相を変えて飛び出してきた。


 警備員はやせぎすの中年男性で、武器は持っていない。身に纏う水色の制服は清潔に保たれてはいるものの、長く使い込んでいるのが一目で分かった。



「な、なんだね君たちは! 突然現れて……」



 サクラとタオはとっさに武器に手をかけた。それを見たミヨが慌てて警備員に駆け寄る。



「突然すみません、病人がいるのです。町に入れていただけませんか」


「病人……? か、彼がそうか!」



 警備員は地面に横たわるセルードに気付いて声を上げた。白目をむき泡を吹いているその姿は、死体と間違われても仕方がない有様だ。



「こりゃいかん、急いで医者を……」


「お構いなく、少し休めば平気ですから。なるべく安価な宿を教えていただけますか」


「いや、しかし……」


「お構いなく」



 納得いかない様子の警備員だったが、ミヨが少し凄むと青ざめて一歩、また一歩と後ずさった。それから逃げるように小屋に走り、一枚の紙きれを持って戻ってきた。



「こ、この地図なら町の宿がすべて載っている」


「ご協力感謝いたします」


「い、今門を開けるから……お、お大事に!」



 警備員が再び小屋に逃げ帰る。ミヨは冷たい目でサクラとタオを見た。



「はあ、まったく……相手は一般人ですよ。いきなり武器を取るとは何事ですか」


「いやあ、面目ない。さっきの緊張がまだ抜けなくってさ」


「それにしてもミヨ、慣れてない?」


「……まあ、旅は初めてではありませんから」



 ミヨが小声で答えると同時、けたたましい音とともにゆっくりと門が開いた。老朽化のせいか、耳をふさぎたくなるほどの轟音だったが、セルードは目を覚ます気配もない。



「私が運びますので、タオ、先導していただけますか」


「了解ー、任せといて」



 ミヨはタオに地図を預け、片手でセルードを持ち上げて肩に抱えた。

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