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白衣の容疑者

 ミヨが二歩、前に出る。必然、サクラとタオを庇ってセルードと対峙する形となった。


 サクラとタオはこの行動に、言葉を挟む余地を持たなかった。ミヨの涼しい横顔に、隠しきれないほどの熱量を感じたからだ。それが純粋な高揚なのか、怒りなのか、それ以外の何かなのかは分からなかった。


 

「セルード、と言いましたね。私も同意見です」


「それはいい、随分と話の分かるお嬢さんだ」



 セルードも同じものを感じたようで、明らかに顔が引きつっている。それでも、務めて冷静に振舞っている。


 いや、正確には同じではない。彼の動揺は、明らかに何か後ろめたさを感じてのものだった。


 ミヨはその瞳で、まるで心を透かして視ようとしているかのようにセルードの目を見つめている。



「時に、セルード。私の名はミヨといいますが……『SANCT-004』という識別個体名を持った『神造聖人』です。()()()()()()()?」


「…………なぜ、そう思う」


「質問しているのは私です」



 ミヨが食い気味に言葉をかぶせると、セルードは明らかに狼狽した。全身から噴き出す汗も、もはや誤魔化しようがない。


 何が起きているのか理解できないサクラとタオをよそに、ミヨが続ける。



「私の顔を見た時のあなたの動揺を、私は見逃しませんでしたよ。ポーカーフェイスに自信があったようですが、無駄なことです。あの反応、あなたがここにいること、そしてここから脱出できなくなっているという現状を考慮すれば、自ずと結論は出ます」


「……」



 セルードはもはや言葉を発することもできなくなっていた。恐れ戦いて、というわけではない。何を言うべきで、何を言わざるべきなのか。その判断が、できなくなっていた。


 ミヨは、それもお見通しだった。返事がないことなど気にも留めず、さらに続ける。



「あなたは、私の顔に見覚えがあった。そうですね? 同型の『神造聖人』はみな同じ姿をしていますから」


「でも、ミヨ。サンクトはあなた以外にいないんだよね?」


「ええ、その通りです。ですから彼は、聖人の墓を暴き、そこから遺物を持ち出した盗人なのですよ」

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