信じる理由
「……さて、話を進めても構いませんか?」
「なんで私が駄々こねたみたいになってんの。あんたがサンドイッチ横取りしたのがいけないんでしょ」
「横取りとは心外ですね。サンドイッチが勝手に侵入してきたのですから、管理者として適切に処理したまでです」
「管理者?」
タオが聞き返すと、少女は小さく頷いた。
「私は二千五百年前、神の時代よりこの場所を管理しているのです。使命を果たすための、ついでではありますが」
「神の時代……!」
サクラが息を呑み、タオと顔を見合わせる。彼女も同じように驚いているようだった。
二人の様子に、少女もまた驚いていた。目を僅かに見開くだけという小さな反応ではあったが、それは彼女が初めて見せた感情の動きだった。
それを見逃がさなかったタオが言う。
「どうしてあなたも驚くの?」
「いえ、疑われるだろうと予想していたものですから。すんなり信じていただけたのが意外で」
少女の言葉に、サクラは首を横に振った。
「別に、あなたを信じた訳じゃないよ。あなたは信じていいって、私の勘を信じただけ」
「で、私はサクラの判断を信じただけ」
「……ふむ、なるほど。信じたのは見ず知らずの私ではなく、自身の勘と友の判断……非合理的でありながら筋は通っている。興味深いことです」
少女はサクラとタオを交互に見た。
「随分と固い絆で結ばれているのですね。お二人ともまだお若いようですが、付き合いは長いのですか?」
サクラとタオは顔を見合わせて、困ったようにはにかんだ。
「いやあ、それが」
「会って数日なんだよね、まだ」
少女はこれまでの感情表現の乏しさが嘘であったかのように、呆気に取られてあんぐりと口を開いた。




