開錠
「ダ、メ、じゃん!」
床に大の字に寝そべり、サクラが吠えた。タオはその傍らで弁当を広げている。
「まあまあ、まだ全滅したわけじゃないから」
「だって五十か所以上調べて成果なしだよ? もう無理じゃない?」
「大丈夫。私、好きなものは最後にとっておくタイプだから」
「……? ああ、最後が本命ってことね」
「そういうこと。どっちにしても次がラストだし、まあ、ダメならダメで次の作戦を考えるよ。と、いうわけで」
タオは弁当箱からハムと野菜を挟んだサンドイッチを取り出し、サクラに差し出す。サクラは寝転がったまま受け取り、そのまま口に運んだ。
「ん、おいしい」
「行儀悪いぞー?」
「許してよ、なんかすっごい疲れちゃってさ。神経遣うというか、精神削れてるというか」
タオは頬張っていたパンを飲み込んでから答えた。
「まあ病み上がりだし、それでなくても無茶な要求はしてるしねえ」
「結局ビビッとキたものはなし、私の勘も万能じゃないってことだよね」
「今も特にない?」
「今? ないけど……え、ひょっとして」
「うん、ここが最後のポイントだよ」
二人は図書館の中央、丸い絨毯が敷かれた部分にいた。サクラが寝転がったまま周囲を見回す。
「さっきまでと違って壁も、動かせる物もない……ってことは、下?」
「予想ではね。あ、斬っちゃだめだよ? こういうのは、不用意に衝撃を与えると崩れたり罠が発動したりするのがセオリーだから」
「しないよ、そんなこと。でも、やっぱり何も……」
サクラが口を噤んだ。勘ではない。異音を聞いた気がしたのだ。
次の瞬間、二人は大きな揺れを感じた。地震、ではない。明らかに二人のいる床だけが振動していた。
「タオッ!」
飛び起きたサクラが鋭く床を蹴り、タオを抱えて壁際に跳ぶ。たった今まで二人が座っていた床には大きな穴が開いていた。巨大な魚が、口を開けて獲物が落ちてくるのを待っているかのようだった。




