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剣と魔石と転生勇者(仮)  作者: 北村水晶
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プロローグ2

……ここは??


何も無い、ただ白いだけの空間に俺はいた。


「おーーい……」


静まりかえった空間で、しん、と静謐が流れている。


先ほどまでの痛みはない。もしや死後の世界だろうか…。


……まさか〇億年空間とかいう絶対にでられない無限空間とかじゃあないよな。


などと考えていたところ、突如頭の中に声が響いてきた。


『あなたは死にました』


!!!?


『聞こえていますね。あなたは死にました』


「おぉ……」


驚いて言葉が出ない。が、安心できる優しい声で響いてくるため、素直に聞くことができた。


「……やっぱり死んだのか、俺」


『その通り。ですが魂は無事です。これから現状の説明と、なぜここにいるのか、について説明をさせていただこうと思いますがよろしいでしょうか』


頭に響く声は続く。


「はい」


俺は素直に従うことにした。姿は見えないが、悪い奴には思えないしな。


『ありがとうございます。聞いていただけて何よりです。』


 頭に響く声は続く。


『まず、あなたは【地球】において、人を庇い、ナイフで刺されて死にました。その時別世界【ユグドラシル】において異世界から勇者を召喚する儀式魔法が行われ、あなたの魂が召喚条件に適合したことから、魂のみ世界を渡る【界渡り】が行われることとなりました。ここまでは良いですか?』


「…ええと、どこに答えてよいのか分かりかねますが、とりあえず正面に答えますね。神様もしくはそれに準じる方でしょうから丁寧な言葉を使いたいのですが、あいにく私は高度な教育を受けたわけではありませんので、失礼にあたる言葉があるとご承知ください。……とりあえず私は死亡して、魂だけ別の世界に行く、という事は分かりました」


『……姿が見えないと何かと不都合そうですね、少々お待ちください』


シュン!


!!、目の前に黒髪長髪の絶対的美人が現れた!これは女神さまで間違いないですわ!


「初めまして、私は冥属性を司る神ゼロと申します」


「は、はい。俺、、私は佐藤和真です」


シルクの様な艶やかな髪となめらかな肌、その美しさからあふれ出る優し気な女神ボイス、と圧倒されてはいるが、俺も元警察官、「どんな状況でも冷静に」が基本であるため、こんな状況でもなんとか平静を装って答えることができた。動揺は伝わっているとは思うけれど。


「テレパスが便利なもので失礼を致しました。これより姿を見せて説明の続きを行いますね」


「は、はい!よろしくお願いします」


 俺の返事に納得したのか、女神ゼロ様より内容が語られる。


「ありがとうございます。それでは改めて、私はゼロ、冥属性を司る神です。【地球】から【ユグドラシル】へ移るまでのわずかな時間、貴方に使命と基本的な概要を私からお伝えするのが目的として、あなたにこの神の空間において目覚めていただく運びとなりました」


 ……なるほど。通常ならいきなり召喚!訳も分からずスタート!もありえたわけだ。


「その通りです。……ああ、私は心を読むこともできますので驚かないでくださいね。私に伝えたい事も、声を出そうとしなくとも伝わりますので、思い伝えるも、声を出して伝えるもどちらでも構いません。」


 さすが神様、双方向通信ならテレパスだけで、と考えるのも無理はないのかもしれない。


「それで、なぜあなたがここにいるのか、そして何をするために召喚されるのか、について説明します。まず、先ほどもお伝えした通り、【地球】でのあなたは殺害され、魂のみ無傷の状態で保護しています。そして現在も【界渡り】中ではございますが、移動までの間この神の空間で私と会話する、という流れでございます。」


……殺害、と言われると、先ほどの痛みが思い出されて心臓がきゅっとなるな。


「そして、何をするために召喚されるのか、というところですが、これから行く世界は【ユグドラシル】という世界。【地球】とは位相が異なり、マナと言われる物質が満ち溢れています。そこから発生する魔物や、マナを使用した魔法が存在します。そのユグドラシルで異変が起こりました。

あなたには、起こった異変についての調査、そして可能であれば解決まで導いていただきたいのです。」


 ……魔物だって!?そして魔法も存在すると……。

 所謂ファンタジーというものか……、命の保証はないけれど。


「なるほどです。そして異変とは?」


「はい、世界各地に隕石が落ち、それと共に魔物が活性化、合わせて人が消える現象などが確認されております。隕石との直接的な因果関係については現状では説明できません。偶然とも思えないことも確かです。私たち神々は、一部を除き、古よりの契約により、直接調査及び解決をして差し上げることは叶いません。あくまでも天上界から見守るしかできないのです。そこで【地球】から召喚されるカズマさんに、私たちの代わりに調査及び解決していただけないか、という事なのです」


 ……なるほど。でも拳銃もなければ魔物がどんな奴かもわからない、俺なんかで大丈夫なのか?とは思う。


「絶対に大丈夫です!とは申しません。【地球】では人族に対して明確に敵意を持った魔物、というものは存在しませんから、【ユグドラシル】では相応に危険も伴います。命についても保証はできません。召喚についても、過去の預言書において【異変起きるとき、異世界より勇者を召喚す】という文言があったのみで、それに則って召喚の儀式を行ったに過ぎず、強制できるような使命もありませんし、実際に何をするか、という行動指針については、カズマさんにゆだねられていますので、調査を拒否することも可能です。」


 拒否のくだり、少し寂しげな声というのは気のせいだろうか

 俺は答える。


「いえ、少なくとも魂を保護し、別世界とは言え転生?させて助けていただける御恩もありますし、調査などは引き受けさせていただこうと思います。どこまでできるかは分かりませんが。」


 俺が引き受ける意思を示したところ、笑顔になる激美人のゼロ様。


「ありがとうございます!信じておりました」


 とても喜んでいる女神様、全身で喜んでくれているのがわかるので、俺も嬉しくなるな。


「それで、前世での体は地球の神々がよきに計らってくださいますのでご安心ください。カズマさんは、召喚時に作成される転生体に魂を移し、その体で一生を過ごすことになります。

 およそ16歳くらいの少年の体です。

 魔法から生まれたホムンクルス体で、寿命も長い種族ですので、ユグドラシルをゆっくり知っていただけるのではないでしょうか。

 また、頑丈にできているので戦闘などでも不便はないかと存じます。見た目はとても可愛らしい少年のはずですよ」


 ……俺30歳なんだけどなあ。

 16歳の可愛らしい少年か、前世とは似ても似つかないんだろう。

 俺こと佐藤和真は中庸な顔体だったからな。ハンサムでも不細工でもなかったから、可愛らしくなる分には大歓迎だ。


「言葉や魔法などは転生体における16年分がインストールされているので、不都合を感じることはないかと思われます。ここまでは大丈夫ですか?」


「はい、それで、旅のスタートはどのようなところから始まるのでしょうか?」


「ファウスト国という、召喚の儀式魔法を実行した国の儀式場ですね。」


「今も儀式が行われているのですか?」


「ああ、説明を省いてしまいましたね、今この話は、常人の感じる何倍ものスピードで行われているのですよ。所謂【思考加速】状態とでも申しましょうか。ですので、現実に今まさに召喚が行われているのです。ここでの時間もあとわずかしかありません」


 ……なるほど、思考加速か、悠長に話している時間があるわけではないことも理解した。

 使命も、おおまかに言うと世界を旅して異変を調査、可能なら解決させる、ということだな。俺にどこまでできるのかは分からないが、死して?得た新しい命だ。大事に使って生をやり抜こうと思う。


「ありがとうございます。偶然の神様に感謝いたします。それでは準備はよろしですか?」


「はい、よろしくお願いします」


「こちらこそ、何かあれば私の眷族である冥神官を訪ねなさい。きっと力になってくれるでしょう。」


「冥神官ですね」


「ええ、それじゃあ良い人生を!」


「はい!」


 すう、と意識が無くなってゆく。今度こそ新しい物語が始まるんだな。


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