国王?に挨拶します
王都に着いた私は早速国王様に挨拶させてもらう事にしたのだが……。
「兄上は今農作業をしています」
「えっ!? 国王自ら畑を耕しているんですか?」
「えぇ、あ、あそこの畑です」
カウル様が指差した先には稲穂が揺れる田んぼだった。
「兄上! イレイザ様を連れてまいりました!」
「あぁ、そうか」
そう言ってひょっこりと顔を出したのは国王としてはまだ若い面影がある20代の好青年だ。
「こんな格好で悪いね、はじめましてイレイザ・テューラント嬢、グワイナー国代表のミカエル・グワイナーだ」
「はじめまして、オーランド王国テューラント公爵が娘イレイザ・テューラントと申します」
「オーランドの王女から大体の話を聞いている。 向こうの事は暫し忘れてのんびりと過ごすと良いよ」
そう言って笑うミカエル様。
(作業着で泥だらけでもカッコよく見えるのは流石ね)
変な所で私は感心してしまった。
「こちらこそよろしくお願いします、ここの畑は王家が所有しているのでしょうか?」
「いや、王家が所有している土地とかは無いよ、あくまで手伝いをしているんだ」
「お手伝い、ですか」
「表向きの身分はあるけど実際は平等にしているんだ。 だから頼まれたら雑用でもなんでもやるのがこの国のルールなんだ」
ミカエル様の説明に私はなんだか理解出来たような無いようななんとも言えないふわふわしたような気分だった。
ただ嫌悪感とかは全く無く逆に新しい価値観を見せられて好奇心を湧き立たさせてくれる、そんな感じだ。
「今夜は歓迎の食事会を用意しています。 全て我が国で取れた物を使っているのでお口に合うかはわかりませんが」
「いえいえ、楽しみにしております」
なんせここに来るまでで食事は食べさせて貰ったがどれも美味しかったので私の中での期待感は増している。