婚約破棄されそうになったので失踪したら……

いざ出発！

　留学を決めてから荷物を纏めたりしたり関係各所に手続きをしたりと色々忙しい日々を過ごし留学出発当日となった。　

　旅行カバンを馬車に積み、乗り込むと出発した。

　グワイナー王国はオーランド王国から１週間ぐらいかかるらしい。

（グワイナー王国って山の中にある小国って聞いているけど……、まぁ頭をスッキリさせるには自然豊かな所がいいわね）

　勢いで決めた留学だったが一応調べておいたが、特に変わった所は無い普通の国だ。

（でも留学先に選ばれている、という事は何らかの理由がある筈なのよね）

　うん、なんだかワクワクしてきた、思えば王都を離れるのも一人旅をするのも初めてだ。

（まぁ、卒業単位は履修済みだし問題はない筈よね、王女様には言ってあるし）

　留学する為には審査が必要だったり推薦があったりするんだけど、留学の事を王女様に話したら推薦してくれたのだ、そして留学に行く事は王女様にしか言っていない、というか王女様から口止めされたのだ。

『どうせだったら誰にも言わずに行ってみたら？　もし何か言ってきたら私が〆ておくから心配しないで♪』

　〆る、て誰を〆るつもりなんだろうか……、偶に王女様は王家らしくない発言をして周囲を慌てさせるが、それがあの人らしさだろう。

（まぁ王女様に任せておけば問題無いか、確実に王太子様はボッコボコにされるだろうし）

　王太子様の発言は勿論王女様に報告済み、で見事に激怒していた。

『アレに関しては心身共に叩き直すから』という王太子様にとっては死刑宣告、私にとってはありがたい言葉を頂いた。

　留学期間は１年ある、その間に環境が変わるかはわからない。

　とりあえずは王太子様の事は忘れて楽しませて貰おう。