言われてみれば
「どうかしましたか? イレイザ様」
カウル様が私の顔に近づきドキッとなった。
「あっ!? いえ……、その婚約者だった方と今の私の境遇が似てるなぁ、と思いまして」
「言われてみれば確かに……、オーランド国の王太子は聖女と仲が良い、と聞きましたが」
「えぇ、ふたりきりで甘い空気を出して……、私が注意しても聞く耳を持ってくれなくて……」
私はそう言ってため息を吐いた。
「……その聖女、本当に聖女なのでしょうか?」
「えっ!? 教会が認めていたので……」
「あくまで教会が認めた『だけ』ですよね? 明確な証拠はありますか? 証拠が無ければその少女が聖女なのかどうかは疑問に思います」
言われてみればその通りだ、聖女は『奇跡』を起こす存在と言われているがマーニャ嬢が奇跡を起こした、なんて話は聞いた事がない。
「それにそもそも聖女は恋愛や結婚は出来ないんですよ」
「そうなんですかっ!?」
「えぇ、あくまで国全体に無償の愛を捧げるのが聖女の役目、特定の人物に恋した時点で聖女の力は失う、と聞いた事があります」
だとしたらマーニャ嬢はもしかして聖女の力を既に失っているのではないだろうか?
「一番良いのはその少女の属性がわかればいいんですがね……」
「調べる事が出来るんですか?」
「魔力を測る水晶があるんです。 それに触れば魔力量や属性がわかりますよ」
流石は魔法発展国、そんな物があるのか。
私は王女様に手紙を出しこの疑問を問いてみる事にした。




