グワイナー王国の過去と反省
エリンの話が気になった私はカウル様に話を聞いてみる事にした。
「魅了、ですか?」
「えぇ、この国でかつて魅了のせいで危機があった、と聞いたので」
「それは僕の祖父の代の話ですね、確か国史に書かれている筈です」
「正式に歴史として残っているんですね」
「後々に同じ事が起こらない様に、という戒めですよ」
カウル様によると、学園の卒業記念パーティーにて当時の王太子が突然婚約者に対して婚約破棄を宣言したのだ。
なんでも『真実の愛』に目覚めた、という。
学園に通っていた男爵令嬢に熱を上げていたそうなのだが……。
「その男爵令嬢が魅了の持ち主だったそうです、しかも敵国のスパイだったみたいで国の重要機密を漏らしていたみたいで……」
「それは大変な事ですね……、でもなんで男爵令嬢が魅了持ちとわかったんですか?」
「たまたま我が国に優秀な魔道士がいて見抜いたんですよ。 すぐに男爵令嬢は拘束され厳しい取り調べの結果、事情がわかったんですよ。 その男爵令嬢は即日処刑、王太子は幽閉の後、病死となりました。 関係者もそれなりに厳しい処分を受けて我が国としてはかなりのダメージを受けたそうです。 それが教訓になって我が国は魔法に力を入れるようになりました」
「なるほど……」
カウル様の話を聞いて私はなんだか他人事に思えなかった、どうも今の私に境遇が似ているような感じがしたのだ。




