表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鍵はあなたが持ってる  作者: ミカンかぜ
第四章【夏に降る星編】
39/93

閑話「おかえりなさい」

今回は一人称です。それと、本編よりもだいぶ短いです。

「ただいま」


 私がそんな言葉を使うのは何十年ぶりだろう。悪魔と人間の時間の進み方は違う。何十年ぶりでも、私たちにとっては一瞬だ。だけど、サラと出会ってから、時間の進み方が遅く感じる。この時間をもっと感じていたいと思うからだろうか?私がそう思っていたら、扉が開いて、中から姉さんが出てきた。


「おかえり~!ギュー!」


 このちっちゃい子供みたいなのが私の育ての親だ。親のくせに、「お姉ちゃんと呼びなさい!」ってずっと言ってくるから、もうこの人を呼ぶときには、勝手に口から「姉さん」という単語が出てくる。


「うう……姉さん、子供みたいな見た目なのに、力強い……」


「む~!誰が子供ですか!私は立派なレディなんですよ!」


 そう言われても、撫でやすいこの身長に、撫でたくなる所作のせいで、まったくレディとは認識できない。実際、私よりも長く生きてるんだけど……

 まぁ、正確な年齢は知らない。生まれてから五百年で数えるのやめたみたいだし……


「姉さん。私がいない間元気にしてた?」


「もちろんよ!ほら見て!私ったら本の整理もできるようになったし、畑も作ったのよ!」


 そう言って姉さんは私を畑に連れていく。植えられているのはトマトと、キュウリ。かなりちゃんと育てているようだった。けど……


「姉さん、人間の食べ物育てて何するの?料理とかできる?」


「ギクッ!」


「いや、わかりやすすぎ。それに、ギクッ!って驚く生き物、姉さん以外いないよ」


「そ、そうなの?……うぅ……実はね、料理のレシピ本ってものを買ってみたんだけど、別の物ができちゃって……」


「できないんだ……」


「はい……そうです……って!そういうアネモネはどうなんですか!」


「私は人間の料理を食べるのは周りに馴染むためだもん。別に誰も見てないところで食べたって意味ないでしょ?」


「そ、そんな……って、待って待って待って……周りに馴染むためって……貴女、もしかして契約したの?!」


「え、う、うん」


「ほんとに?!…ああ、またアネモネが私の知らないところで大人になっていく……」


「いや、私、契約なんてこれで八回目だから!もう何年生きてると思ってるの!?」


「あら?そうなの?てっきり今回が初めてだと……」


 確かに私が会いに来てなかったから、今回が初めてだと思うのも不思議じゃないけど……それにしても私も五百年も生きたんだから、契約の一回や二回くらいあるでしょ!


「……で?で?今回はどんな人なの?というか、今までどんな人と契約してきたの?」


「あ~わかったわかった!話すからちょっと待ってて」


 そう言って私は紅茶を淹れる準備をする。ティーポットはこの家にあるから、茶葉を持ってくるだけでよかった。帰る途中に買っておいてよかった。


「わぁ……いつ紅茶も淹れられるようになったの?」


「三百年前くらいの人が貴族で、その使用人としていたから……」


「まぁ!詳しく聞かせて!」


 私の夏休みの最初は、ここから離れていた期間のことを姉さんに話すことから始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ