表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鍵はあなたが持ってる  作者: ミカンかぜ
第三章【宝石を探して編】
24/93

二話「先輩たちと」

 アネモネがシャーロットの財布を探しに行ってから約一時間が経った。そろそろお昼ごはんの時間だ。


「アネモネさん、遅いなぁ……」


 犯人を捜しているにしても、さすがに遅すぎる。もしかしたらずっと探しているのかもしれないが、これだけ時間をかけているのなら、一旦帰ってくるものではないのだろうか?

 ひとまず、シャーロットはアネモネのことを探しに行こうと思い、座っていたベンチから立った。


「えっと……アネモネさんはこっちにいったよね」


 そうしてシャーロットはアネモネが走っていった方向に歩いていく。今日は休日で人通りが多く、小柄なシャーロットではその人ごみに流されてしまいそうだ。


「あぅ……」


 さらにシャーロットはアネモネみたく堂々と人混みの中を歩くことができない。これは昔からの癖だ。どうしても人前では緊張してうまく行動できない。そうして縮こまっていると猫背になってしまい、元々あまり大きくない背丈が、更に小さくなってしまうのだ。だから、誰もかれもシャーロットがそこにいることに気が付かず、ぶつかって行ってしまう。


「うへぇ……」


 ようやくシャーロットは人混みを抜けたかと思えば、さっきのベンチからさほど離れていなかった。その事実にうなだれていると、誰かから声を掛けられる。


「あれ?カリーナ、この子ってみたことない?」


 その声にシャーロットは顔を上げると、そこには赤毛の少女と、銀髪の少女が立っていた。


「だ、誰ですか?」


「あ、ごめん。私はメアリー・イフェスティオ。ラヒューエル学園の二年生だよ」


「私も同じく二年生の、カリーナ・ミラーです」


「わ、わ、私は、シャーロット・フェリーチェで、です。一年生です!」


 そう自己紹介をするシャーロットを、メアリーはまじまじとシャーロットのことを見ていた。しばらくして、メアリーは何かを思い出し、カリーナに言う。


「この子、アネモネちゃんと一緒にいる子じゃない?サラちゃん以外の子と友達だなんて……私、嬉しい!」


「メアリー。あなたはアネモネさんの保護者じゃないでしょう?」


「でも~……せっかくの後輩なのに~!」


 そんなやり取りを見て、シャーロットはクスリと笑う。


「あ、ご、ごめんなさい。笑うつもりはなかったんですけど……」


「大丈夫ですよ。確かにメアリーは面白さの塊みたいなものですから」


「ねぇ、それってほめてる?けなしてる?」


「もちろん……」


「褒めてるよね?」


「けなしてるに決まってるじゃないですか。逆にそれ以外ありえません」


「ひどくない?!」


 そんなやり取りを見て、またシャーロットは笑ってしまう。それを見て、メアリーとカリーナもほほ笑んだ。それを見て、シャーロットは察した。今自分は心配されていたのだと。思い込みかもしれないが、さっきの自分はきっと心配が顔に出ていたのだろう。


「あ、えっと……ありがとう、ございます」


「ん?何のこと~?」


「ええ、何のことでしょうか?」


 そんなことを言いつつも、二人はほほ笑んだままだ。そんな二人に感謝の念を抱く。それと同時に、申し訳なさも抱いた。そんな時ふと、アネモネの言葉が頭をよぎった。


 『貴女はもうちょっと人を頼ることを覚えなさい』


「っ!……あっ、あの!……先輩方に手伝ってほしいことが……」


 そう言うと、メアリーは目をキラキラさせて、シャーロットの方を見ていた。


「カリーナ聞いた?聞いた?!先輩だって!嬉しい~!」


 そう言ってメアリーはシャーロットに抱き着く。メアリーは女性の中でも背丈がかなり大きいので、背丈が小さいシャーロットに抱き着くと、シャーロットがメアリーの体に隠れてほどんど見えなくなってしまった。


「く、苦しいです……」


「あっ、ごめんね。つい……」


「い、いえ、大丈夫です……って、それよりも!助けてほしいんです!」


 必死そうにそう言うシャーロットを見て、二人は真面目に話を聞く。シャーロットはそんな二人に、今起こっている状況を説明する。アネモネはシャーロットの財布を探しているのかもしれない。しかし、なぜかわからないが、胸が無性にざわつくのだ。


「分かった。私はこっちを探すから、シャーロットちゃんとカリーナはあっちを。見つけたらアネモネちゃんを連れてきて」


「はい!」

「ええ、わかった」


「……でももし、アネモネちゃんが面倒なことに巻き込まれてたら、助けてあげよう。何か見つけたらまたここに集合!」


 そう言ってメアリーはシャーロットとカリーナと別れた。そうしてアネモネの捜索を始める。最初は今まで歩いてきた道、その次にギルド、通ってきた道の周りにある店。様々なところを探し回った。そして、裏路地を探し回っていた時、シャーロットはとあるものを見つける。


「これって……」


「何か見つけたの?」


「これ、私が財布に付けてた魔道具です。ひんやりして夏にはちょうどいいんですよ」


「ちょっと見せてみて」


 そうしてカリーナはシャーロットの魔道具を観察する。なんてことのない、ただの魔道具だ。魔力を込めてもシャーロットが言っていた効果しか発揮しない。


「本当にどこに行ったの?」


 少しの手がかりを見つけたが、あまり進展はしなかった。


* * *


 一方メアリーの方も、何の証拠もない状況で探し出すしかない。手当たり次第に走り回って探すしかないのだ。


「魔力探知……は、私苦手だし、もう走って探すしかない……」


 そうしてメアリーは町中の人にも声をかけていく。しかし、ほとんど目撃情報がない。あったとしても、全く意味のない物ばかりだ。


「あの、すみません。灰色の髪で、金色の目の女の子見ませんでした?背丈は私と同じくらいで……」


「えっと、見ていませんね」


「そうですか。ごめんなさい、時間を取ってしまって」


 そうしてメアリーがその場から離れようとした瞬間、"それ"は起こった。


――ドオォオンン!!!!!


 遠くで爆発が起きた。だいぶ離れているのにも関わらず、辺りに爆発で発生した風がこちらにも吹いてきた。黒煙が上がり、その場所は恐らく悲惨なことになっているだろう。


「なんで爆発?!」


 周りの人たちは爆発の方向を向いたり、爆発した方向と反対方向に逃げたり、街を警備している騎士たちは現場に向かったりしている。


「何があったの……?ま、まぁいいや、とりあえず二人と集合しよう」


 そう言ってメアリーは集合場所へと走っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ