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鍵はあなたが持ってる  作者: ミカンかぜ
第一章【食料として編】
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二話「留守番中に」

サラは朝起きるときが一番嫌いだ。なぜなら夢を見るから。そしてほとんど夢の中には幼馴染のケイトがいるからだ。夢から覚めた時、一緒に遊んでいたケイトはいないんだと思わせられる。それがとてもつらいのだ。


「うぅ……また……」


 サラが最悪の目覚めをしたところで、サラの部屋がノックされ、父が入ってきた。


「サラ。父さんと母さんは街の人に薬を売りに行ってくるから、お留守番頼んだぞ」


「うん。」


 サラの両親は自ら歩いていけない客に薬を届けているのだ。二人とも少しだけ医療の知識もあるので、たまに診察もするので、帰りが遅くなる時も多々あった。


「それじゃあ、行ってくるからな。あ、外出するときはメモを残しておいてくれよ。母さんが心配するからな」


「も~。お母さんも心配性だなぁ……私、今年で16だよ?」


「確かにそうだが、心配なのもわかるからな。だって、自分の子供がどこに行ったか分からないなんて不安だろう?」


「まぁ、確かにそうかもしれないけど……」


「ははっ、まぁとにかく外出するときはメモを残していくように。それじゃあ父さんたちは行ってくるから」


 そうして父はサラの部屋から出ていった。それからサラはさっさと顔を洗って、ぼさぼさの髪をとかし、朝ごはんを食べるとメモを残して森へと向かった。昨日と同じ道をたどっていくと、やがて少し開けたところに出る。サラは驚いた。この辺りに開けた場所なんてなかったはずだ。


「驚いた?私が作ったの!」


 後ろから昨日の悪魔の声が聞こえてきた。それに驚いて一歩後ずさってしまった。それともう一つ、サラが気になることは……


「この場所を作った!?」


 昨日から今日の朝まで約半日。悪魔は半日で大人が十人分くらい横たわれそうなほどの開けた場所を作ったというのだ。しかも凸凹だった地面もちゃんと整えられている。


「すごい……」


「すごいでしょ!だって私はあなた達とは違うからね」


 フフンとどや顔を披露する悪魔。サラは心の中であきれながら、自分の腕を差し出した。


「ん?どうしたの?」


「魔力。やるなら早くして!私はこんなところにずっといたくないの!」


 悪魔は人間の敵だ。どんな小さな善意も悪魔に与えようものなら、国家反逆罪とみなされて即処刑だろう。なので、この状況がばれればサラは悪魔に食料を提供しているとみなされて、即処刑になるだろう。


「ふ~ん……」


「何?早くして!」


 サラはこの世界に存在している多くの人間と同じく、悪魔のことを嫌っている人間だ。悪魔に手を貸すことも、悪魔に触れられることさえ嫌なのだ。

 それなのにこの悪魔はサラのことをベタベタと触る。そうしてこんなことを囁いてきた。


「お友達、大変だったね」


「なっ?!なんで?!そんな、こと……」


「私、人の魔力からちょっとだけ記憶の断片が見えるんだよね。それで見えた記憶の断片がたまたまそれだったってわけ」


「……」


「あ、今ね。『こんなやつに見られて最悪!』って顔してるよ~。ほら、スマイルスマイル!」


「うるさい!」


「も~……そんな貴女にはこんなプレゼントを上げるね」


 そう言って悪魔は自分の顔を両手で覆い隠す。そして、しばらくしてから両手を取ると、そこには数年ぶりに見た幼馴染の顔があった。記憶にある顔よりも大人びていて、ちょうど幼馴染のケイトが生きていれば、こんな感じなのだろうと思えるような顔だった。違うとすればヤギのような角が生えているというところだけだ。


「や、やめて!そんなことしないで!」


「え~。嫌なんだ。親友の顔をしてる人がここにいるのに~……」


 そうして悪魔はまた両手で顔を覆い隠した。その後に手を離すと、元の顔に戻っていた。

 それを見てサラはその場にへたり込んでしまう。もう早くこの場所から去ってしまいたい。その考えしか頭になかった。そのせいで、サラは接近する悪魔の顔に気付いていなかったのだ。


「んッ?!んん!!!」


 そうして数秒、サラは抵抗し続けたが酸素が足りなくなってきたので、段々と意識がもうろうとしてきた。というところで肺の中に酸素が送り込まれた。


「プハッ……はぁ、はぁ……けほっ……い、いきなりな、なにするの!?」


「ん?食事だよ食事。手から魔力を取るより口から魔力を取る方が効率いいし。貴女も昨日みたいに魔力切れギリギリの状態になりたくないでしょ?」


「な、な、な……!あ、あなた、私にさっき……!」


 顔を真っ赤にして口をパクパクとさせているサラをよそに、悪魔は森の中の開けた場所を快適にするために工夫を始める。そこら辺に積んであった木を風の魔法で削り、ベンチを作ったり、机を作ったりしていた。技術の無駄遣いをしばらく見ていたサラだが、ハッと我に返り、そこに背を向けて自宅へと帰っていった。


* * *


「さ、最悪だ……」


 これ以上ない屈辱を味わったサラは、頭を抱えて机に突っ伏していた。魔力を取られて一日目にしてもう耐えられそうにない。早く騎士に報告してしまった方が良さそうだ。


「……だけど……」


 もしかしたらあの悪魔が騎士よりも強い可能性がある。これは本の中の話なのだが、一体で一つの国を滅ぼしたことがあるのだという。数百年前のことなので人間にとってはあまり信じられるようなことではない。


「はぁ……どうしよう……」


 そんなことを考えながら、サラは両親が帰ってくるまでずっと頭を抱えていた。

暇な時間にテキトーに書いていきます。文章が拙いところもあると思いますが、温かい目で見てください。

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