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第特別話 その3 心と思い

「「ご馳走様でした!!」」

「いえいえ、おそまつさまでした」


ご馳走様、その当たり前で心のこもった感謝の言葉に思わず笑みをこぼしてしまう優斗。

テーブルの上に視線を移すと大小様々な大きさのお皿が大量に積み重ねられており、それとセットで存在していた大量の料理はきれいさっぱりすべてお腹の中に収まってしまった。

食事中に「ブロッコリー爆発しろ!!」とか「ピーマンはこの世から消滅しろ!!」みたいなことが聞こえたような気がしたが、そこはさっさと忘れることにした。


「あ〜おいしかった! すっごい良かったよ! …ブロッコリーが爆発さえしてくれれば……」

「さりげなく怖いことを混ぜるな。あと、ブロッコリーはどうやっても爆発しないぞ。うまかったのは確かだけどな」

「…………」

「昴〜やっぱり食べ過ぎたからお腹周りが気になるのね〜!」

「な!? べ、別に私は……」


食事も終わりその場で談笑をし始める面々に対して優斗と由宇はそこから少し離れた位置にあるソファーに隣り合うように座っていた。


「今日は本当にありがとうね優斗君。とても楽しかったわ」

「いえ、こちらも今日は久しぶりにのんびりと楽しく食事をすることができましたので礼には及びませんよ」

「そうなんだー……って、え? 久しぶり?」

「ええ……ほんと久しぶりですよ……」


その言葉に驚く由宇を横目に優斗は思い出せる範囲でここ最近の出来事を思い出していく。

ある時は食事中に突如として理不尽な理由で殴られ、ある時は突然わけのわからん理由で泣き出す友人を慰め、またある時は友人にはめられ罰ゲームで食べるようなゲデモノを食べさせられたり……とここ最近の食事時には平穏の二文字は存在しなかった。


「あー……そういえばあんなこともあったなー……」

「え、えーと……と、ところで優斗君っていったいどこで料理を覚えたのかな! お母さんに教えてもらったとか?」


なんだか話していく内にどんどんと瞳から光が失っていく優斗を見て、慌てて話題を変える由宇。

それを聞いた優斗は一瞬、ほんの一瞬だけ驚いたような表情をするが、すぐにいつもの顔にもどる。


「そうですね……だいたいおばさんの手伝いをしている時に教えてもらっていたことが多くて……」

「おばさん? お母さんではなくて?」

「ええ……その……」

「……? まさか!?」

「…………」


目をつぶり、無言でうなずく優斗。何を伝えようとしているのかはすぐにわかった。


「……その……ごめんなさい……無神経なこと言って……」

「いえいえ、気にしないでください。大分前のことだし、もうそんなに気になりませんから。それにいつまでもへこたれてるわけにもいきませんしね! ……さて、そろそろ後片づけでもしますか!」


明るい笑みを浮かべながら元気よくキッチンに消えていく優斗。

だが、由宇は気づいてしまった。優斗は話をしている時、顔は笑っていたが、その眼はどこかさびしそうな眼をしていたことに。

他の人にも同様の笑みを振りまく、その後ろ姿を見て由宇は何とも言えない気持ちになってしまった。





「よし……これで終わり……っと」


洗剤の付いた皿の汚れを洗い流して、蛇口から流れ出る水を止める。

先ほどまで山のように積み上げられていた食器の数々は全て棚に戻されて、これが最後となっていた。

洗い流したものは水をよくきってから、隣に立っていた由宇に手渡す。

出来ることなら棚に戻すところまで自分でやっておきたかったのだが、食器を棚のどのあたりに戻せばいいのかわからない上に、第一身長のせいで高いところに戻すことができないなどの理由で由宇には手伝ってもらっていた。


「……はい、お疲れ様優斗君。ごめんなさいね、こんなことまでやらせちゃって……」

「いえいえ、オレがやりたいって言って、勝手にやったことですから気にしないでください」


全ての作業が終わり、リビングに戻るとそこにはもう真っ暗で誰もおらず、時計を見てみるとすでに針は逆L字をさしているところだった。


「由宇さん。ところでみなさんは?」

「ああ、この時間ならみんなはたぶんそれぞれの部屋に戻っていったんだと思うわ」

「そうなんですか。それじゃオレもそろそろ……」

「ねぇ……優斗君?」

「はい、なんで……」


優斗は何事かと質問しようとしたが、その先の言葉は続かなかった。なぜなら、突然、由宇が優斗を抱き寄せてきたからだ。


「な……ななななななな……!? ちょ、ちょ、ちょっと由宇さん!?」


突然の事にさすがに焦る優斗であったが、由宇はどこか悲しげに、そして包み込むように優しく言った。


「優斗君……こんなことをしても私は何の役に立てないと思う……けど……それでも、私はあなたに何か出来ないかな……?」

「由宇……さん……?」

「こんなの私の我がままなのかもしれないけど……お願いだからもう少しだけ……このままにして」

「…………」


優しく、ぎゅう、と抱きしめられる。布越しからでもしっかりと感じとることのできる柔らかく、そして暖かなぬくもり。

それはまるで、とっくの昔に忘却したはずの――母のぬくもりのようだった……。






「由宇……まだ寝ないのか……っていったいどうしたんだ?」

「うん、ちょっとね」


なかなか部屋に戻ってこない由宇たちを心配した神威はリビングにまで行ってみると、そこで待っていたのは由宇の膝の上ですやすやと眠る優斗と柔らかい微笑を浮かべながら、それの頭を優しく撫でている由宇の姿であった。

窓の外から降り注ぐ月の光に彩られたその二人の姿はどこか幻想的な雰囲気を醸し出していた。


「……そうか。もう遅いからな、さっさと寝ろよ」


家族である少女の様子を見て何かを察したのか、神威は言葉少なめに注意をして部屋に戻っていくと、その場には二人の少女だけが残された。






めがさめるとめのまえにゆうさんのかおがありましたまる おわり


「うおわああああああああああああああああああ!?!?」

「ん……んん……」

「ゆゆゆゆゆゆゆゆ由宇さんん!?」


その叫び声で目を覚ましたのか、眠そうに眼をこすりながら、のそりと起き上がる由宇。

そんな中、優斗はいきなりの突然の出来事に頭が追いつかず、ただただ混乱をしていた。


「あ、いや、その、これは……その!」

「くす! ゆ、優斗君、とにかく落ち着いて……くすくす」


わたわたと慌てながら必死に弁明をしようとするその優斗の姿が可笑しかったのか由宇は笑いを抑えきれないでいた。


「驚かせてごめんなさい。あなたがここにいるのは私が連れてきたからなの」

「ゆ、由宇さんが?」

「ええ、昨日の優斗君、寝ている時でもなんだか寂そうな顔をしていてね……つい連れてきちゃったのよ」

「……あ」


その言葉を聞いて、やっと昨日のことを思い出す。

由宇に抱き寄せられたこと、ほんのちょっとした油断と疲れでそのまま身をゆだねてしまったこと、そしてそのまま何も考えずに眠ってしまったこと。

その全てを思い出し、優斗は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしてしまう。


「あああああああののののの……そのののののの……」

「……やっぱり余計なことしちゃったかな……」

「……え?」

「ごめんなさい……迷惑……だったわよね」

「そ、そんな迷惑だなんて!!」


なぜ自分が謝られているのか? むしろ迷惑をかけて謝らなければいけないのは自分の方なのに。


「由宇さん。オレは迷惑だなんてこれっぽっちも思っていませんよ!!」

「そ、そうなの?」

「そうですよ!! それに……その……う、嬉しかったです……し……」


やはり恥ずかしいのか最後の方では蚊の鳴くような声になってしまったがこれはまぎれもない優斗の本心であった。


「……っぷ! くすくすくす……」

「ど、どうしたんですか? 何かオレ変なことでも……?」

「いえ、なんだか優斗君って意外とかわいいんだなーって思っちゃって……」


なぜ由宇は笑っているのかわからずに頭に疑問符を浮かべながら首をかしげてしまう優斗。

その姿もツボに入ったのか由宇は遂に涙まで浮かべて笑い出してしまった。


「ゆ、由宇さん?」

「ご、ごめんなさい。なんだか可笑しくって……」

「……なんだかよくわかりませんけど、昨日のことで嬉しかったのは本当ですよ!」

「うふふ、ありがと。そういってもらえると私も嬉しいわ」


そういって由宇は優斗の頭を優しく撫で始める。

最初は驚いた様子の優斗であったが、すぐにどこか嬉しそうな顔をして、しばらくの間そのままでいた。


そんな優しい時間の中を過ごしていると……


―ピンポーン―


「あら? 誰だろうこんな時間に」


突然のチャイムに不審げな顔をする由宇。

確かに今は平日のそれも早朝と言える時間だ。郵便だとかそういったものはまずあり得ないだろう。

だが、そうなってくるといったい誰だろうかという問題になってくる。


―ピンポーンピンポーン―


「……ん?」


なんとなくだがとてつもなくいやな予感がしてきた……


―ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン―


「…………」


予感というより的中だな、という言葉が頭をよぎるが今はそれどころではなかった。


―ピンピンピンピン、ベキ!!―


「優斗ーあんたがいることはすでにわかってんのよーさっさと出てこないと抹消させるわよー」

「ゆうちゃーん早くしないと本当に消滅させられちゃうわよ〜」

「……頼むから日本語でしゃべってくれ……」


先ほどまで気持ちよくなっていた頭が嘘のように痛くなってきた優斗であった。

クロ「どーも、私は亀になりたい……なクロです」

副会長「本人曰く『今の私は地を這う虫』なんだとか。私から言えばそれよりも遅いと思うけどね」

クロ「文章がうまく書けない!→他の所から参考+ネタになるようなものを探そう!→色々あって忘れて時間がたつ→やっぱり書けn(ry 無限ループって怖くね?」

副会長「まったく……後書きだからってここであなたの愚痴を言っても誰も得なんてしないでしょうに」

クロ「わかっちゃいるけどやめられねーって言葉があるんだぜ?」

副会長「そんなものはただの言い訳でしょうに。そんなことを書いている暇があったら勉強をするなりこれの続きを書くなりしなさい!!」

クロ「おっしゃるとおりで……一応次回で終了……の予定です。白夜様本当にすいません……次回に続きます」

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