第特別話 その1 また会った日に
今回は白夜様の猫パニックという作品とのクロスを書かせてもらいました。白夜様ありがとうございます。
この話は白夜様の書いた私とのクロス作品の後のお話ですので見ていない人は猫パニックを見てから見た方が良いです。
「ふあああぁぁぁ……」
退屈だ。実に退屈である。あまりに退屈で眠くもないのに欠伸が出てしまった。
何かやることがないか考えてみたが、結局は何も浮かばず再び意味もなくベッドの上でごろごろする。
それもそのはずだ。なぜなら今は学校は夏季休養中……つまりは夏休みなわけだから、授業などといったやらなければならないことがいつもより圧倒的に少なくなっている。
「うー……あー……」
やはり、退屈で意味もなくうめき声をあげてみるが、それも何の意味もなくただ無駄に時間を消費するだけだった。
とにかく本当にやることがないのだ。
昼食はついさっき食べ終わったばかりだし、今日やるべき家事についても全て終わっている。
最初は舞達や士郎達と何かしようかと思っていたが、今日に限ってみんな用事があるらしく断念。
部活などしてはないし、この体ではろくなことはできない。勉強などやる気の欠片も出てこない。
とにかく退屈だった。
外に出ればこの退屈も解消できるかもしれないが、この前の一件の事もあるため今回は自重を……
「あ……そうだ」
「ねぇ、今日のお昼何にしたい?」
ところ変わってここはとある場所のとある一軒家。そこには三人の人がいた。
その内の一人、真っ白な髪をポニーテールにしたエプロンをつけている左目が真紅、右目が蒼の少女―天野由宇が一緒にいた二人に問いかける。
「俺は何でもいいぞ」
そう答えたのは彼女と同じ瞳の色をしているが、髪の色・性別共に対称である天野神威。
「私も何でもいいよ」
同じく答えたのは、由宇と同じポニーテールだが、黒髪で瞳の色も黒であるここにいる他の二人の妹である天野由香。
「そう言われると困るんだけどな……」
二人の返答に対して少し困った表情をする由宇。だが、二人も、そう言われても……と困った表情をしてしまう。
―ピンポーン―
「あー、はいはーい。すぐにいきまーす」
突然の訪問者に会話を一時中断して玄関に向かう。
靴に足をかけてドアを開くとそこにいたのは
「…昴?」
見事な黒髪を腰の辺りまで伸ばし、左目が蒼で右目が真紅の美少女にして、由宇達の友人―黒神昴が立っていた。
「いったいどうしたの? もしかして遊びに来てくれたとか?」
「ああ、いや……私はここを偶然通りかかっただけなのだが……」
少し顔を赤くしながら、そこでなぜか言葉を区切る昴。なんだろうか? と由宇は首をかしげていると昴は突然後ろ指さして
「こいつが由宇の家の前で倒れていてな」
そこには大きな麦わら帽と大きなリュックを背負って、男の子ものの格好をした白髪の女の子が玄関の前で倒れていた。
「それで優斗君? いったい何であんなところに倒れていたのかしら?」
現在リビングには5人の人物が集まっている。その中の一人、由宇が優斗を除いた他の人物と同様の疑問を口にする。
「ええまぁ……オレとしてもそこを話したいのは山々なんですが……」
と、ここで一旦言葉を区切りだす優斗。だが、この場にいる全員はわかっていた。優斗がなぜ言葉を区切ったのかを。
「その……まずは由香ちゃんを何とかしてくれませんか?」
苦笑いをしながら答える優斗であったが、その姿は到着当初とはまったく違っていた。
ラフな男物であったはずの服装は、どこで手に入れたのかどこかで見たことのある真っ黒なゴスロリに変わっており(由香ちゃん曰く『この前意気投合した不思議なおじさんにもらったとかなんとか』)髪型のほうも今現在座っているソファーの後ろに立っている由香ちゃんにイジクリまわされており、見事なツインテールが出来上がりつつある。
「ゆ、由香!! 優斗君が嫌がってんだからやめなさい!!」
「ええ~だって優斗さんってかわいいからもっと着せたいよ~」
由宇さんのお叱りに対して頬を膨らまして拒絶の意思を示す由香ちゃん。
「由宇」
「うう……わかったよ」
だが、そこに神威さんのお叱りが加わったことで由香ちゃんはしぶしぶ席に戻って行った。
「なぁ由宇。またも話を途切れさせるようで悪いのだが、いったい彼女……というべきだろうか? 何者なんだ?」
いきなり先ほどまで黙って一部始終を見ていた黒髪の美人さんがいきなり由宇さんに質問をする。気のせいかその人は雰囲気がどこか由宇さんに似ている感じがした。
「ええと、彼は……なんていうべきかしらね……」
「彼? だが、こいつはどう見ても……」
「いえ、由宇の言うとおりよ昴!」
「うお!? なんか出てきた!?」
突如として昴さん? の横にいつぞやの神様のように黒猫が現れた為、驚いてしまう。
「あはは!! 驚かしてごめんなさい。私は月っていうの! よろしくね!!」
「は、はぁ……よろしく」
その場でくるくると回ったり、自分の周りを飛びながら楽しげに視線を向けてきたりと、どうやらかなりおてんばな子のようだ。
「それより月。いったいどういうことなの?」
そこで声をあげたのは昴さん。どうやら優斗の正体がよほど気になっているようだ。
「ええとね。彼、今はこんな姿をしてるけど、れっきとした男性なのよ」
「……は?」
リビングには、昴さんの間の抜けた声だけが響きわたった。
クロ「どーも、正直口調とか一人称とかもんのすごい不安なクロです」
健人「白夜さんありがとうございました!!」
クロ「それもう俺が言ったぞ」
健人「何を言う!! 礼はしっかりと述べなくてはいけないだろう!!」
クロ「まぁ……確かにそうなんだが……」
健人「それでだ……もしかして今回俺達は出番なしなのか?」
クロ「さ~てどうでしょう? 優斗sideの方は他にも出演予定がいるけど……」
健人「いるけど……?」
クロ「そこは後のお楽しみってことで」
健人「お、おい!! 俺と士郎はレギュラーなのに向こうですらはぶられたんだぞ!! さすがに出してもらわないと……!」
クロ「ちょっと黙ってなさい。……あ、あと人物紹介は特別話ではお休みさせてもらいます。申し訳ない。次回に続きます」
健人「おい! まだ話は…」