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第53話 疲れたっていいじゃないネコなんだもん

「懐〜かしき〜日々よ〜♪タララタッタ〜♪」


なにやら謎の鼻歌をノリノリで歌いながら朝の学校の廊下を踊るように歩いている優斗。

傍から見れば変人にしか見えない行動であるが今の優斗はそんなこと気にならないくらい気分がハイになっていた。

そんな感じでテンション最高潮のまま、廊下を歩いていると…


「お! おはよう、姫神!舞の奴はどうしたんだ?」

「…え? お、おはようございます…優斗さん…舞ちゃんは朝ごはんをゆっくり食べるから先に行っててくれって…えっと…何か機嫌がよさそうですけど…何かあったんですか?」


いつもの優斗とのギャップに少し戸惑いながらも姫神はあいさつを返す。

もちろん、なぜそんなに機嫌が良いのか理由を聞くのも忘れてはいない。


「いんや。なにもなかったぞ」


だが、それに対して優斗が答えたことはよくわからないことだった。

普通、人間の機嫌が良くなるのは何かいいことがあった時である。しかし、なにもないというのに機嫌が良くなるとはいったいどういうことなのだろうか。


「? でしたら、なんでそんなに機嫌が…いいんですか?」

「いやいや、なにもないかったからこそ機嫌がいいんだよ!」


それを聞いた姫神はますます混乱していった。


そう、確かに先ほどから繰り返しているとおり、優斗は今日何か特別なことがあったわけではない。そして、なにもなかったからこそ機嫌が良いのだ。


今日は料理を熱くしすぎて食べにくくなってしまったり、ドアに間違って尻尾をはさませてしまったり、生徒達の待ち伏せに会って学校に着くのが遅れたり、などそういったことが一つもなかったのだ。


…他の人から見れば何かおかしい感じもするが優斗にとっては機嫌が良くなるには十分な出来事なのである。





「なぁ姫神」

「な、なんですか?」


教室向かって二人でしばらく歩いていると突如として優斗が質問をしてきた。

その声には先ほどのようなふざけた感じは一切なくいつもどうりの声に戻っていた。


「いや、なんかさ、お前さんさっきから少し様子がおかしいような感じがしてな…気のせいならいいんだけど…何かあったか?」

「えっと……その……」

「ん? もしかして言いにくいことなのか?」

「あ、いえ、そういうわけではなくて……これを見てくれませんか?」


そう言って姫神は自分のカバンからあるものを取り出す。

それは、ピンク色の紙で出来た平べったい長方形の物体で、真ん中にはハートのシールが付いていた。

それを見た優斗は驚き、目を見開いてしまう。


「ままま、まさか姫神…これってもしかしてラブ…ラヴ…ラブ…」

「ああ、いえ、その、それは、なんていうか…」


あまりの事にかみかみになってしまう優斗であったが、一方で何やら良く分からないことをごにょごにょと呟いて口ごもる姫神。その表情の方もいきなりラブレターをもらって戸惑っている、というよりも毎回毎回起きる面倒事の時のような、どうすればいいかわからなくて困っている、そんな顔をしていた。

そんな妙な反応をする姫神に優斗は首をかしげてしまう。


「? さっきからいったいどうしたんだ? いったいこの手紙になにがあるんだ?」

「ええと…その…この手紙の裏の方を見てくれませんか?」

「裏?」


言われたとおりその手紙の裏の方を見てみると…


『果 た し 状』


「…………」


そんなことが書いてあった。それも太筆で力強く。




「…で、これがその問題の手紙ってわけね」

「ああ、そうだ」

「いいねぇ…今どき果たし状なんて珍しいことをしてくる奴がいるなんて…いったいどんな奴なんだろう…!」

「この字…一片の迷いもなく、自信に満ち溢れている…! これはたぶん強敵だぞ!」

「ちょっと黙ってろお前ら。話が進まん」


ところ変わって、ここは優斗達の教室。

今は授業と授業の合間の休みで、いつもの五人組が姫神の机を取り囲むように集まっている。

そこでは色々と面倒な状況であるにも関わらず、みんな相変わらずの調子であった。


「しっかし、いったいどこの馬鹿よ。姫ちゃんにこんなもの送りつけてくる○○○野郎は!」

「お前な…言いたいことはわかるが、もうチョイ言い方ってもんがあるだろ」


まるで自分の事のように激昂をしている舞に対してその口の悪さにあきれる優斗。

ある意味彼女らしいことと見えるが、一応彼女は女の子をしているのだ、昔っからの付き合いとしてどうにかしてほしいと思っている。


「ところでさ、聞いておきたいんだけど。これどうすんの?」


そんなことを考えていると、突然士郎が姫神に質問をしてくる。


「え? えっと……」

「お前何聞いてんだ? どうするってこんなの無視するに決まってんじゃん」


いきなりの質問に戸惑っている姫神に代わって優斗がわかりきった答えを言う。

当たり前だ。こんな心当たりのないことにいちいち行く馬鹿などいるわけがない。

しかし、それを聞いた士郎は少し困ったような表情をする。


「うーん…それはまずいかもしれないかな~」

「は? さっきからどうゆうことだよ士郎?」

「いやいや、相手はこんな果たし状を送ってきた相手だよ? もし無視なんてしたら後で何かされる恐れがあるんじゃないかと思ってね」

「…んーさすがそれは考えすぎじゃないか?」


確かに士郎の言うことには一理あるものの、優斗には少し考えすぎのように見えた。

だが、しかし…


「優斗、ここはいったいどんな所なのかもう一度思い出してごらん」


その一言で優斗は、はっ!、とする。

そう、そんな考えが通用するのは『普通』の奴が相手だった時だけである。

だが、ここは変人の巣窟……何が起きてもおかしくはないところである。


「…………そうだったな。ええ、そうですとも。ここはそういうところでしたね。ええ、そうでしたね。…でも、今度からはオレの方が正しいようになって欲しいよ…」


心底疲れ切った表情でしぼりとるように声を発する優斗であった。


「けど士郎よ、だからと言ってどうすんだよ? この問題はお前や優斗がいるにしても少し荷が重そうだぞ?」

「そんなことわかってるよ。だから……」






時間は流れお昼時、優斗達は廊下を歩いていた。


「なるほどね。確かに考えてみたらこういう問題は生徒会にまかせるような奴だったわな」


そう、優斗の言うように今生徒会室に向かって歩いているところなのである。

自分達ではうまく対処できない……ならばそのスペシャリストに任せればいい。

それがいきついた結論であった。


「困った時の生徒会…てね。やっぱ利用できるものは全部利用しなくっちゃね~」

「…そういうところは相変わらずだな、お前って」

「ほらほら、そんなことしてないでさっさと行きなさいよ!!」

「わかったわかった。そう急かすなって」


そうして優斗達は生徒会室の前まで到着した。


「失礼しまーす」


生徒会の扉を開け、優斗達を待っていたのは…


「あんたね! いいからこの縄をほどきなさいよ!! いい加減にしないとこのことも記事に書くわよ!!」

「黙らっしゃい! 今日という今日は副会長の名にかけてあんたの暴挙を食い止めてみせるわ!!」


そこにいたのは縄で全身をふん縛られてギャーギャーと騒いでいる部長さんとそれをさらにきつく締めつけようと縄のあまりを部長さんを抑えつけながら引っ張っている副会長であった。


それを見た優斗達のとった行動は…?


「失礼しましたー」


逃げた


「え? ちょ…? ま、待って! これは違うのよぉぉぉ!!」

クロ「どーも、後書きの有効活用のなさに定評のあるクロです」

姫神「えっと…色々と定評が多すぎるような気がするんですけど…」

クロ「そこは気にすんな。そこで…今回からあまりにも説明が不十分な人物紹介を書いていこうと思います」

姫神「…すでに53話にまで到達しているんですけど…」

クロ「……気にすんな!! まずは我らが主人公、優斗(男)から!!」



名前 大島優斗 年齢17歳 高校二年生 風由学園所属 帰宅部


身長 170cm 体重60kg 


髪の毛の色と瞳の色は黒で髪はいつもぼさぼさとしている。一人称は俺 


・十歳のころに両親を亡くしており、高校に入学するまでは親戚の人に姉と共に預けられていた。


・親戚の人は優斗達を実の子供のように接してくれたためまっすぐな青年に育っている。ちなみにその親戚の家で手伝いを続けた結果、今のように家事全般が得意になっていったという話もある。


・性格は先ほど書いたことの影響でしっかりとしており、自然と物事の中心になって動いていることが多い。

だが、ところどころ抜けており、肝心なところで大ポカをやらかすこともしばしば。


・優斗自身は気が付いていないが容姿の方はなかなかでクラス内での女子の評価は結構高い方である。


・知能、体力共に平均的であるが、数々の実験の影響で耐久力と治癒力については常人をはるかに超えている(らしい)。


・趣味は特にこれといってなしで毎日、その時にやりたいことをやっている。


・そして代名詞である不幸の方は年々上昇しており優斗曰く「ここ最近の不幸は普通の人の一か月分の不幸に値する」とのこと。


・そげぶはできません。


クロ「出来ればもう少し書きたいと思っているんですがこれ以上書くとややこしくなりそうなのでこのぐらいにしておきます」

姫神「もう少しわかりやすく書きましょうよ…」

クロ「そーですねー。次回は優斗(女)の紹介です。次回に続きます」

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