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第52話 やっぱりこんな日々

さて…突然であるがこの状況を見てみなさんはどう思うだろうか?


場所は男子学生寮、優斗の部屋の台所。


そこに三人の人物がいる。


一人は姫神。なにがあったのかその両頬には大粒の涙が流れていた。


もう二人は優斗と舞。舞は鬼のような形相を浮かべ、優斗にシャイニングウィザードをきれいに決めており、優斗はそれを顔面にもろにくらって、のけぞっている最中だ。


なぜこんなことになってしまったのか? 少し時間をさかのぼらせてみよう。




-数十分前-


「姫神、こんな感じでいいか?」

「あ…はい、それはそんな感じでいいです…」


「姫神、ここはどうすればいいんだ?」

「えっと…ここはこうすればいいんです…次は……」


「姫神、それとってくれないか?」

「あ、はい…これでいいんですよね?」

「ああ、サンキュ」


バイトを終えた次の日の昼は大体こんな感じであった。


「その……食べ物を少し多く買いすぎちゃいまして……作るのと…食べるのを手伝ってくれませんか…?」


すべての始まりは朝にかかってきたそんな電話から。

確かに最近は湿度・気温ともに急上昇をし始めており食べ物に優しくない時期になっている。

早め早めに食べないとなにが起きるかわかったものでもないのでこの判断は間違いじゃないだろう。

もちろん断るどころか、実質おごってもらうのと同じようなものなのだ。優斗は喜んで誘いに乗らせてもらい…今に至っている。


「あの優斗さん……他の器ってどこにありますか…? これじゃちょっと大きすぎて……」


猫舌に苦戦しながらも料理の味を確かめようとしていると姫神がそんなことを聞いてきた。


「ああ、それだったら下の方を見てくれ。たぶんちょうどいいのがその辺りにあるはずだから」

「はい…」


姫神は言われたとおり食器棚の下の方にある他の器を取るために屈みこむ。


−ビリ!−


「「…………」」


その瞬間、ある意味絶対に聞いてはいけない…ある意味この世で最も恐ろしい音がキッチンに響きわたってしまった。


「「…………」」


痛い沈黙が台所を支配する。


「あーと……あは、あはははは。い、いやー最近服がきついと思ってたんだよなー。これはまた新しいの買わないといけないかなー。あはははー」


ついに耐えきれなくなった優斗はかなりわざとらしく大声を上げるがそれは明らかに逆効果でしかなかった。


「あ、あの!優斗さ……」


−ビリビリ!!−


「…………」


慌てて動いた姫神の方から先ほどのものよりも大きな何かのやぶれる音が台所に響きわたった。


「う、うぅ……」

「う、うわわぁー!!待て姫神!こんなところで泣くな!頼む!!な!!」


それに耐えきれなくなった姫神は、崩れ落ちるようにその場で泣き出してしまい、優斗はそれを必死に止めようとする。


「う、うぅ……ごめんなさい……ほんのちょっとだけ……ほんのちょっとだけですから……」


しかし、姫神は目の前に突き付けられた現実から立ち直ることができずに泣き続けていた。


「いや!そ、そういう問題じゃないんだ!!…ああ、もう!どうしたらいいんだよ……」


優斗はあまりの事態に頭を抱えてしまう。

今は自分達の他にだれもいないが他の誰かから見れば、どう見たって悪者は自分の方である。

それに、自分のせいではないとはいえ目の前で女の子が泣いているのだ。放っておくわけにはいかないが、この状況をどうにかする策があるわけでもない。

それでも優斗はどうにかしようと必死に考えようとした。


だが、神様はそんな哀れで優しい子羊にさらなる試練を与えようとしていた。


-ガチャ-


「優斗ー勝手に入らせてもらうわよー。答えは聞かないけど」


その時、実にタイミング悪く、舞がそれも無断で家にあがりこんできたのだ。


「う、嘘!!待て!舞!こっちに来んじゃねぇ!!」


もちろん優斗は状況が状況であるため必死になってそれを阻止とする。


「うるっさいわね…いいからそろそろ姫ちゃんを解放してあげな……」


だが、舞はそんな優斗の警告も無視してズカズカと家に入り込んで来て……見てしまった。


「優斗……あんた……」

「ま、待て!舞!!これにはわけが……!!」

「問答無用ぉぉぉ!!!」

「ミギャアアアアァァァァ!!?」






「…っとそんな感じで愉快な悲鳴が聞こえてここに来てみたら案の定愉快な展開になっていたわけだね〜」

「…うるさい黙れさっさと消えろお前ら」


場所は変わって優斗の部屋のリビング。そこにはいつもの五人組がそろっていた。

士郎は相変わらずとても楽しそうな笑みを浮かべており。

健人は優斗を心配そうな表情で見ており。

姫神は顔をうつむかせてものすごい落ち込んでおり。

舞は未だに不服そうな表情で優斗を見ている。

そして優斗は顔中青あざだらけになっており、ものすごい不機嫌な表情をしている。


「う~んひどいな~。これでも僕たちは命の恩人なんだけどな~」

「くっ…」


確かに士郎の言うとうりである。

もし騒ぎを聞きつけずにここに来て舞を止めてくれなければ、優斗はさらにひどい目にあっていただろう。


「まさか優斗がここまで冷たい奴だなんて思いもよらなったよ。いや残念だな~、でも……」

「ああもう!!わかった!わかったよ!!オレの負けだ。好きにしろ!!」


いい加減イヤミったらしく言ってくる士郎に嫌気がさしてきた優斗は折れてしまった。


「ああもう!こんなことになったのも全部お前のせいじゃねえかよ!!」

「なによ!!だいたいあんたが姫ちゃんを連れていかなかったからこんなことになったんじゃない!!」


いらいらして舞に八つ当たりに近いことする優斗と先ほどのことに未だ不服だった舞の二人がギャーギャーと騒ぎだす。


「うるせぇな!だいたいお前少しぐらい料理できるようになればいいんだよ!そんなんだからお前は舞雷(マイン)ちゃんなんて言われてんだよ!!」

「んなこと言ってんのはあんただけよ!ねぇ姫ちゃん!!」

「…………」

「えーと……あれ? どうしてみなさん私から目をそらすのかしら?」


同意を求めようと視線を右に左にと動かす舞であったが誰一人として目が逢わない……否、逢わせてくれる人がいなかった。


「い……いやいやいやいや……いくらなんでもそんなことないわよね……ね姫ちゃん!」

「ソウデスヨユウトサンソンナコトナイデスヨマイチャンダッテスコシハデキマスヨ」

「姫神……お前が良い子だってことはよーくわかった……だがな、嘘は良くないぞ」


だんだんと声が尻すぼみになっていきながらも姫神に同意を求めようとしたが姫神はその期待にこたえることはできなかった。


「そんなことよりさ優斗~いったい何があったのかそろそろ話してくれないかな?」

「え? あー…えーと…そのー…」


突如として今回起こったことの説明を求められる優斗。

だが、それは答えることはできない。当然だ、まさか姫神が太っ〇なんて本人が目の前にいて言えるわけがない。


「ん?どうしたんだ優斗。早く説明してくれよ」

「いやその…説明が難しくてな。…姫神に変化があったってゆうか…布が勝手に避け始めたとゆうか…」

「ああ〜、なるほどね。つまりShe gained weightってことだね〜」

「士郎それフォローしているようでフォローになってない」


遠まわしながらストレートに〇った宣言をする士郎に対して姫神の方も意味がわかったらしくひどく落ち込んでいるところだ。

ちなみに舞と健人の二人は意味がわからずに首をかしげていた。


「お前なぁ……もうちょっと空気ってものを読めよな…」

「いやいや、僕はただ現実を直視させただけだよ」

「それが悪いって言ってんだよ。まったくお前は…」

「ああ!なるほど!つまり姫神がふと…「やめてください!!」

「うぎゃああああああああ!!」


空気を読まない士郎に説教をしている時にこれまた空気を読まずに先ほどの意味を理解してしまった健人が姫神にぶん殴られるシーンが展開される。


「なぁ……士郎……」

「なにかな優斗……」

「今の一撃…オレには見えなかったような気がしたんだが……気のせいだよな……」

「スピードメーターでも測定不能の文字が出てるよ~」

「……もうどうでもいいや」


色々ツッコミたい所はあったがすでに頭が限界を迎えつつある優斗は思考を放棄してしまった。


「優斗(優ちゃん)飯食わせなさい(食べさせて〜)」

「だから!なんでこんな糞面倒な時にタイミング良く来るんだよこの馬鹿コンビは!!」


だが今日一日、そんな優斗に安息の時間は存在しないのであった。

クロ「どーも、ここ最近買っている漫画雑誌のお気に入りの連載が次々と終了して結構落ち込んでいるクロです」

舞「長い。あとその前に言うことがあるでしょ」

クロ「いや、えらい遅れてすいません…試験があったのもあるんですが、やっぱうまく書けないのが一番の理由で……」

舞「遅いうえに文章が下手…どうにかならないものかしらね。私達が一番迷惑なんだけど?」

クロ「迷惑なのはお前らじゃなくてこれ読んでくれてる人達だろうが」

舞「それはそうだけど結局あんたのせいで迷惑してるのには変わりないでしょうに。ホントなんであんたみたいなやつが見捨てられないのかしらね…不思議でしょうがないわ」

クロ「それについては同意だな。こんな私ですがほんの少しでもお付き合いいただければ幸いです」

舞「無理だと思うのならあっさり切り捨ててもいいですよ」

クロ「あまりそういうことは言うな!次回に続きます」

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