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第49話 かっこいいと厨弐病は紙一重 その2

少年は困惑していた。

目の前にあるものは別に珍しくもなんともない良く知っているものだ。

だが、目の前にあるものは普通目の前にはないものである。


「…………あのー」

「ん? どうした少年」

「えっと……これはなんなんですか?」

「これか? これはな初めて会ったやつらに贈る俺の気持ち……言うなればプレゼントみたいなものだ…………そういえば、こうやって俺の気持ちを配るきっかけになった夜もお前さんみたいな客がいたな……あれは確か……」

「マスターその話八回目です」


そんな隣にいる少女の冷静なツッコミもむなしくマスターが何かを語り始めているがそれはスルーをして先ほど出されたものに再び視線を戻す。


そこにあるものは……味噌汁。


そう味噌汁だ。目の前にあるものはどこからどう見ても出来たてホヤホヤのうまそうな味噌汁なのである。


「…………」


念のためもう一度だけ言っておこう、ここはバーである。どっかの隠れた定食屋でもなければ居酒屋でもない、バーである…………はずである。ちょっとだけ少年は自信を失くしつつある。


「ちょっといいかいお客さん」


目の前の事に気を取られそんなことを考えていると突然声をかけられる。

声のする方に顔を向けるとそこにいたのは先ほどからマスターにツッコミを入れ続けていた少女だった。


「え……あっ、どうしたのかな?」


なぜだか良く分からないが少女は不機嫌そうな顔をしているため出来るだけ刺激をしないように優しく言った。


「いきなりで悪いんだが目の前にあるそれをさっさと飲んでくれないか。そうしないとマスターが後でうるさいからな。……あとそういうしゃべり方は好きじゃない。普通に喋ってくれ」


少女は言いたい事をすべて言ったのか相変わらず不機嫌そうな顔をしながら再び少年から視線をそらした。


改めて考えてみるとこの少女もいろいろとおかしなところが多い。


まずはその容姿と性格。


容姿の方はなぜか頭にネコ耳やしっぽ、メイド服を身に付けていることを除けば、まだ幼いながらも形の整った顔のつくりをしており全身からどこか妖しげな雰囲気を醸し出している少女で正直とてもかわいい、それもその姿を同年代の男の子たちが見れば一目で恋に落ちてしまうのではないかと思えてしまうほど極上だ。


だが、性格の方はそれと全くと言っていい程不釣り合いになっており、一人称が「オレ」ということを始め、元気という欠片も見られない程疲れ切った様子、マスターという年上相手でも関係ないと言わんばかりのため口ツッコミ…などなど同年代の少女が持っていそうな無邪気さやかわいらしさといったものはまったく持ち合わせていなかった。


そしてマスターとの関係。

最初の方はマスターの娘か何かかと思いあまり気にならなかったが、今までの会話や態度などから考えてその可能性は薄いだろう。もし仮にそうだとしたらきっと彼女は突然変異のミュータントか何かなのだろう。そうでなくては説明がつかない。


「…………」


謎のお店、変人としか言いようのないマスター、そして謎のネコ耳美少女……冷静になって今までの情報を整理するとわからないことだらけである。

はたしてこれは本当に現実なのだろうか? 実は自分は今夢を見ているだけではないのだろうか? そんな馬鹿げた想像すら頭を過ぎり始めた時、店のドアが大きな音を立てながら勢いよく開いた。

そこにいたのはおそらく少年と同じ男子高校生と思われる少年でそれは店のマスターを指さし宣言するように叫んだ。


「マスター!!今日こそはその子は俺がもらうぜ!!」

「…………」


いきなり現れた少年の「その子は俺がもらう」発言。

それを見た少女はいつもの三割増しで疲れた表情をしながら頭を抱え、その中で唯一の部外者である少年はあまりの事に思考が追いついておらず、指名されたマスターは不敵な笑みを浮かべていた。


「ふっ…青二才が……その言葉は俺を屍にしてから…言え!」

「上等だ!!あんたに勝ってみせる!今日!ここで!!」


バキバキ!と拳を鳴らしながらカウンターを後にするマスターとファイティングポーズをとりながらそれを待ち受ける少年。

もはやそれを止められる人間はもともと……もといどこにもいなかった。

クロ「どーも、書いては消して書いては消して……を繰り返してたクロです」

部長「結局あまり変わり映えはしなかったけどね」

クロ「うるせぇ!ちょっと変わったからいいんだよ!!」

部長「まぁあんたがいいってんなら別に私はどうでもいいけどねー」

クロ「そうそうそれで……」

部長「困るのはあんたなわけだし」

クロ「…………」

部長「ま、ともかくこれから頑張っていくことね~」

クロ「やっぱ…そう…だよな……感想、批評、指摘、アドバイス、などなどを書いてもらえるとかなり嬉しいです。…いや、そんなこと言える立場でないのはわかってるんですが…」

部長「ぶは!ちょっと誰よごみを投げつけてきたのは!私は関係ないわよ!!」

クロ「もしかしたら俺以外の誰かが相手をしてくれるかもしれませんよ?次回に続きます」

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