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第46話 嗚呼、騒がしき日々よ その3

「ぶぇっくしょなれい!!」

「!?・・・ど、どうしたんですか?」

「ああ~ゴメンちょっとくしゃみが出ちゃって・・」

「どんなくしゃみですか」


あの後の掃除は(主に部長さんのせいで)熾烈を極めたものの姫神の助けもあって何とか全てを片付けることに成功。

そして今はあるべき姿を取り戻した居間にて休憩を入れているところである。


「あ、そういやなんで姫神はオレん家に来たんだ?」


時間がたち心身ともに落ち着いてくると忙しさのあまりすっかり忘れていた姫神がここに来た目的についてをふと思い出しそれを姫神に聞いてみた。


「・・・・」


その質問に対して姫神はどこか苦い表情をしながら無言でオレに持っていた紙袋を渡してきた。


「こ・・これは・・!」


渡された紙袋の中身を確認すると絶句する。視界に入ってきたもの、それはフリフリの付いた白い布の塊であった。・・もはや語るまい。


「あー・・そのー・・すまん姫神」

「いえ・・」


はあ、と盛大な溜息が二人の口から巻き起こる。


「あのさー落ち込んでいるところ悪いんだけどネコ君達はいったい何の話をしてんの?」


そんな時、今まで黙って話を聞いているだけだった部長さんがいきなり説明を求めてきた。

あのことについてはあまり話したくないが聞かれたのであれば無視するわけにもいかず細かいところを抜きにして簡単な説明だけを部長さんにした。


「なるほどねー・・つまりあなた達は制服を取り戻すためにもう一度そこに行かなくちゃいけない、ってことだからさっき落ち込んでたのね」

「・・」

「・・ネコ君」

「はい?」

「面白そう☆」

「帰ってください」


しかしそんなオレの言葉もむなしく、結局オレと姫神は部長さん(部活動仕様フル装備)と一緒に再びあの店に向かうことに・・・




「♪~♪~」

「・・・ずいぶんと嬉しそうですね」

「そりゃね、面白そうなネタを取材できるんだから♪」


そう言ってカメラを片手に実に嬉しそうな笑顔をこちらに向ける。

先ほどからそんな感じで絶好調である。


「ほらほら、時間は限られたものなんだから急いだ急いだ!!」

「わ、わかりましたからそう押さないでくださいよ!」


そして絶好調であるが故に誰も止めることができないのだ。


「ほら〜姫神ちゃんも早く〜」

「あ、はい・・・ってあれ・・?」


オレ達の後ろを歩いていた姫神の足がいきなり止まり明後日の方向を向く。

いぶかしんでその視線の先を追いかけるとそこには見知った顔が二つ・・


「優斗さんあの人達って・・」

「ああ、ありゃあそうだな・・。おーい!副会長さーん!会長さーん!」

「・・?あら!大島・・・げぇ!?」


こちらの呼ぶ声に気付き振り向いた直後副会長はすごい勢いで顔をしかめる。

何事かと思っていると副会長さんがずんずんと聞こえてきそうな勢いでこちらに向かってきて部長さんの前に立ち止まると・・。


「ちょ、ちょっと何であんたがこんなところにいんのよ!?」

「ん?何でって・・もち取材」

「しゅ、取材!?そんなこと生徒会は一言も聞いてないわよ!」

「だって〜いちいち報告したりすんのめんどくさいし〜」

「めんどくさいし〜、じゃないわよ!」

「おお、その声そっくり」

「うるさい!だいたいあんたは・・・!」


「「「・・・・」」」


オレ達を置いてけぼりにしていきなり漫才のような掛け合いを始めるお二方。


「またか・・・」


会長さんその様を見てあきれた表情をしながら溜め息とともにそんなことを口から漏らす。


「あの・・・中島会長は何かご存じなんですか?」

「ん?ああ、あいつらとは昔っからの付き合いでな・・・言うなれば腐れ縁というやつか?」

「えっと・・それってつまり・・」

「あいつらと俺は知り合い・・ただそれだけだよ」


軽く苦笑しながらもどこか嬉しそうにそう言ってきた。その様子を見ればこの人達がどれだけ仲が良いかなんてのはすぐに分かった。


「会長さん達って仲がーー「だからあんたはいつもそうなのよ!」

「・・・まったく変わった様子はないがな」


・・最後にこめかみに青筋が立ってながら怒気のこもった声でそう小さくつぶやいてしまったが。


「あの・・・優斗さん・・そろそろ・・」

「え?ああ、そうだな」

「つかぬことを聞くがいったいどこに行こうとしてるのかね?君たちのことを信用していないわけではないのだが一応聞かせてもらおうと思うのだが」

「あー・・・えーと・・・」

「?どうしたんだ?」

「いや、そのお店の名前がわからなくて・・・行くところは美容院なんですが」

「美容院!?」


今まで部長さんの相手しかしていなかった副会長さんがいきなり叫びだす。


「うわ!?いきなりどうしたんですか!?」

「え?・・・アー・・・ナンデモナイデスヨ、ハイ」

「・・そんな調子で何でもないもくそもないと思うが」


実際会長さんの言うとうりだ。副会長さんは今冷や汗を流しながら明後日の方向を向いており目を見れば本気と書いてマジの状態になっている。うーん実にわかりやすい。


「いやいやいや!本当に大丈夫よ!ええ!!」

「どう見ても大丈夫そうには見えないんですが」

「というよりお前はなんでそんな過剰反応しているんだ?その美容院にはいったい何があるというんだ?」

「そ・・それは・・・あ」


先程まで宙を泳いでいた副会長の視線がある一点・・オレ達の後方に固定される。それに従い全員が後ろを向くと・・


「あら~みんなで集まって何をしてるのかしら?」


ソコニハアクマガイタ。


その姿は昨日の格好に金髪のカツラという(いろんな意味でありえない)アップグレードバージョンであり、それを見た瞬間、まるで体の中に液体窒素を流しこまれたかの如き寒気を感じ取り体が震え始めてしまった。


他の人を見ると会長さんは「なっ!?・・」と驚いた後少しずつ後退りをはじめており、姫神にいたってはうつむいて「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」と壊れた機械の様にうわごとを繰り返すしまつである。


「あら」


そんなこんなをしている内にこちらにも気づいてしまったようだ。

そしてこの瞬間オレは確信してしまった、「間違いない・・・これは誰か必ず死ぬ・・・っ!!」と。

自分でもいろいろとおかしいことを言っているとは思っているのだが、実際やりかねないのだから性質が悪い。


そして今回それの犠牲になってしまったのは・・・


「あらあらあらあら、駄目じゃないそんな格好をしてちゃ!!」

「え?いや、別におかしくはないと思いますが?」


・・さようなら部長さん。あなたの犠牲は無駄にはしません・・


「いいからこっちにいらっしゃい!私がちゃんとした格好にしてあげるから!」

「いえ、ですから・・・ってちょ、ま!誰かーヘールー・・・!!」

「・・あ、そうそうあなた達のこれは返しておくわね。今日はこの子で忙しそうだから・・・」


そう言ってオレ達に制服を渡すと狂喜の笑みを浮かべながら部長さんを連れ去ってしまった。

・・あの顔はしばらく夢に出てきそうだ・・


すべては終わった・・・部長さんという尊い犠牲を払って・・


「・・・ってあら?副会長さんはどこに行ったんだ?」

「・・あいつなら既にどっかに逃げたぞ」

「逃げた?」

「おそらくさっきのことを聞かれると思って消えたんだろう」


・・まぁいいか無事に制服を取り戻せたことだし。・・え?部長さん?知らんがな。

クロ「どーも、何とか早く?更新できたクロです」

先生「相変わらずつまらないけどね。それに早いと言ってもこの前に比べれば・・・だけど」

クロ「うーん・・そこは勘弁してください。今の俺ではこれが限界・・」

先生「ホント駄目ね。もうちょい何とかしなさいよ」

クロ「ウグ・・!しょ・・精進します・・・次回に続く・・」

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