第45話 嗚呼、騒がしき日々よ その2
「ん〜さっすがネコ君が作ったご飯!早くて、安くて、安心だわ〜・・・あ、おかわりお願い」
頬を緩ませてとても幸せそうな表情で朝食を口に入れていく部長さん。
やはりどんな理由があれ自分の作ったもので人が笑顔になってくれればとてもうれしいものだと感じる。
だが、そのことは口にせず。
「部長さんそれだとお店違います。あと、褒めたって何も出やしません、よ、っと・・・はいどーぞ」
いつもの口調でツッコミを入れながら、差し出された茶碗にごはんをよそって部長さんに渡す。
「ん、ありがと。・・・でもさネコ君褒められてうれしいんなら素直に喜んだ方がいいと私は思うよ?」
「へ?な、なんでわかったんすか!?」
「いや、だってさ、なんとなく嬉しそうだったし、そんなうれしそうに耳としっぽが動いてれば・・・ねぇ」
その言葉を聞いて慌てて耳をさわる・・・が動いている感じはしない。・・・いや、でも部長さんが見ている時は動いて・・・だけど今は・・・いや、もしかしたら・・・
「おーいネコくーん戻ってこーい」
「え?あ、はい!何ですか?」
「まったくもー。人の話ぐらいはちゃんと聞いてほしいよー」
「す、すいません・・」
「まぁいいわ。話を戻すけどさネコ君って実際にすごいことをやってんだからさ、褒められたんなら喜んでもいいと思うよ?」
「いえ、でも別に褒められるほどのことをやったつもりはありませんよ。いつもやってることですし」
実際そう思っている。料理ができる奴なんてそう珍しくもないし、オレよりうまい奴だってそこら中にゴロゴロいそうなものである。
それにさっき言ったように料理なんて昔からやってきていることだ。今さら褒められるようなものでもない。しかし・・・
「そんなことないわよ。だってネコ君さっき『いつもやってること』って言ったでしょ?つまりそう言えるだけネコ君はそれを続けてきているってことなんだから、うまい下手を抜きにしても十分褒めるに値するわ」
箸をこちらに向けいつものような笑みではなく真面目な表情でそんなことを部長さんに言われる。
「・・・・」
「・・?どしたのネコ君?」
「あ、いえ、部長さんからそんなこと言われるなんて思ってなくて・・」
「ネコ君顔に似合わずさらっときついこと言うわね」
「あはは・・すいません。ですけどこうまで言われちゃあ受け取らないわけにはいけませんね。ありがとうございます」
「そうそう、人間素直が一番いいのよ」
そう言ってて部長さんはオレの頭をくしゃくしゃと撫でてくる。
やっぱりものすごく恥ずかしいがたまにはこういうのも悪くはないと思っているオレもいる。
「・・さすがに部長を名乗っているだけのことはありますね。正直少し見くびっているところがありましたよ」
「あはは、そう言われると照れるな。でもネコ君、見くびってたってのはちょっとひどいんじゃない?」
「ははは、すいません。実はさっきのだってご飯を多く貰う為に褒めているんじゃないかと思っていた時がありまして、あははは」
「・あははは、そんなわけないじゃない」
「・・・今なんか妙な間がありませんでしたか?ねえ」
今日も平和?な一日です。
「やれやれ・・・多い多いとは思っていたが、やっぱり実際に取りかかるとすごい量だな」
洗剤のついた皿に水を流して汚れを洗い流していく。
現在、昨日そして今日の朝食で使われたゴミや食器類の処理に追われているところだ。
「ネコくーん、これはどうすればいいのー?」
「えっと・・・それはこっちに、そっちはあっちに持ってってください」
「りょうか〜い」
そしてさすがにこれだけの量を一人で全て片付けるには骨が折れるため部長さんには朝食を報酬に手伝ってもらうことを約束してもらっていた。
が、しかし・・・
「・・・部長さんちょっと待ってください」
「ん?何ネコ君」
「あのですね・・何で部長さんは生ごみを何も包まずに素手でゴミ箱にぶち込もうとしてんですか?」
「え?何かまずかった?」
「まずいとかそういうレベルじゃないですね。はい」
「やっぱ家事って難しいなー」と生ごみ片手に困った表情でぼやき始める部長さん。実にシュールな光景である。
まさかここまでひどいとは正直思ってもみなかった。こんなんで一体どうやって生活してるのか気になる。
「あの部長さん?あとはもう自分でなんとか出来そうなんで部長さんはもう帰ってもいいですよ」
さすがにこの調子では何をやらかすかわかったものではないため脳内会議で部長さんの即時停止を決定、行動に移す。
「いやいや、約束は約束だし最後までやらせてもらうよ」
結果、失敗。むしろやる気にさせてしまったようだ。さてどうした・・・
ピンポーン
この先を考えようとした矢先まるでタイミングをはかったかのように家のチャイムが鳴る。
正直言ってものすごく出たくないところである。
「あ、ネコ君はそのまま作業続けてて、私が出るわ」
「・・・ってはぁ!?」
いきなりのことに驚きの声をあげてしまう。
いくらなんでも部長さんが出るのはいろいろまずい!こんなことで変な噂を立てられでもしたらたまったものではない。
「はいは~い今出ますよ~」
「部長さん!ちょっとま・・・!」
部長さんを止めようと声を出すが時すでに遅く扉が開いてしまった。
ガチャ・・・
「・・・・え?」
「あら」
「あ」
そして玄関に立っていたのは見覚えのある女の子・・・姫神の姿が
「あれ・・・え・・・あれ・・?」
姫神は表札と部長さんを困惑した表情で交互に見比べている。まぁ知人の家から知らん人が出てくればそうなるわな。
「えっと・・・その・・・あなたはいったい・・?」
「え?私?私はね・・・」
そこまで言うと突然部長さんが黙り込む。
そして見てしまった部長さんがニヤリと擬音が聞こえてきそうな笑みを浮かべるのを・・
「私は・・・優斗の・・・いえ、なんでもないわ」
瞬間、空気、凍る。
イマコノヒトハナンテイイマシタカ?プリーズリピートワンスモア。
「別に私は優斗とはなんでもないのよ。いや、ほんとに」
頬を赤くしながら手を当て姫神から目をそらす。そりゃもう迫真の演技でしたとも、ええ。
その光景を見せつけられた姫神は・・・
「・・・ありえません」
「・・どうして?」
「だって・・・だって・・・」
「・・・・・」
「だって今の優斗さんは女の子じゃないですか!」
「姫神ツッコムとこ違う」
※この後しっかりと誤解を解いて片づけを手伝ってもらいました。
クロ「どーも、・・誰かにぶん殴ってもらいたい気分のクロです」
士郎「えーい☆」
クロ「ウボアー・・ってお前からじゃねぇ!」
士郎「でもいいじゃん殴ってもらいたくても殴ってもらえないんだし」
クロ「まぁ確かにそうではあるんだが・・・とにかくホントすいませんでした。言い訳にしかなりませんがリアルで色々(春、パソご臨終、新学期)忙しかったこととこんな駄文ですら書くのに手間取ってしまったことが遅れた原因です」
士郎「文句がある人は感想のところでじゃんじゃん言ってください」
クロ「次回こそは・・・!といきたいところです・・・次回に続きます」