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第44話 嗚呼、騒がしき日々よ その1

「ぬ・・・むぁ・・・」


沈んでいた意識がゆっくりと覚醒していく。

いまだに閉じようとする重たい瞼に抗い、何とかそれを開いていく


「・・・あれ?」


最初に視界に飛び込んできたのは、すでに見慣れたの自分の部屋の白い天井・・・のはずなのだが、なにか違和感を感じる。

状況確認のために首を廻らすと、どうやらここは洗面所のようだ。


「何だってこんな所に・・・?」


だが、何故自分はこんなところで寝ていたのか?そのあたりの記憶がひどく曖昧でうまく思い出せない。


「・・とりあえず起きるか」


眠気で回らない頭では考えても仕方ないという結論に至り、部屋に戻ってからゆっくりとそのことを思い出すことにした。


・・・が、どうやらその必要はなかったようだった。


「・・・・どこだここは?」


洗面所の扉を開けた瞬間ふと、そんな言葉が口から漏れてしまう。

どこ?と言ってもそんなこと自分が一番よく知っている。もちろん自分の部屋だ。

ではいったい何故そんな言葉が出てきたのか?

答えは簡単、いつもの自分の部屋ではありえない光景が目の前に広がっているからだ。


軽く辺りを見渡しただけでもそこに広がっているのは、ゴミ、ごみ、GOMI、ゴミ山ならぬゴミ平原が目の前には広がっていた。もはや、あるべき床はどこを探しても見当たらず、代わりに見えるのは空の酒瓶とゴミの塊だけだった。


その光景だけで今のオレの眠気を吹き飛ばすには十分、そのおかげで先ほどまで不鮮明だった記憶も一気に浮上させられた。


あの買い物の後、オレは休む暇も無くすぐに料理を作れと命令された。

できればここで文句の一つでも言いたいところであったが、ここでヘタに好感度を下げてしまうと即go to マグロルートにご案内されてしまう恐れがあった為、渋々ながらもそれに応じるしかなかった。


だが、これでもこの程度のことは昔から何度もこなしてきた身、それに今回は士郎というサポーターまでついているのだ、余程のことが無い限り問題は・・・。




「ネコくーん。おかわりまだー?」


出来上がった料理のできばえを確認しているとキッチンにそんな声が響き渡る。

作業を一旦中断し意識をそちらの方に集中する。


「・・・えっと部長さん?オレの記憶が正しければ確か数分前にそれなりの量の料理を運んだはずなんですが・・?」

「え?あれならもうみんな食べちゃったんだけど?」


ジト目になりながら質問をするが、きょとんとした表情であっさり返された。

あれだけの量を数分で食べ切ったのかよ・・


「・・・もう少しで出来るんで、あっちで座って待っててください」

「わかったけど・・・できるだけ早くねー」


そう言って部長さんはキッチンから居間に戻っていく。

部長さんが完全にいなくなったのを確認すると小さいながらも大きなため息が口から出てしまう。


「ゴッド・・・確かにオレはトラブルには慣れっこ、とは言いましたさ・・・けどさ、だからといって試練を望んでいるわけではないんですよー!」




とりあえず状況を説明しよう。

今現在問題となっているのはなんと三点もある。すごい!まったく嬉しくない!


一つ目は部長さん。

すでにお気づきの人もいるかも知れないがこの人の問題は大食いであることだ。


あのあまり大きくない身体、それにそれなりのオプションを装備しておきながら食べる、食べる・・・

しかし先生といい、姉さんといいなんでオレの周りの人達は消費が激しいのにスタイルが良いのが多いのだろうか?実に不公平である。

心は男の子でもオプション装備というのは欲しいものナンデスヨ?


・・・話を戻そう。

部長さんの食べる能力についてだが、食べる量、食べるスピード、などすべてにおいて先生達とほぼ同じであった・・・つまり、単純計算してオレの負担は二倍から三倍に増えたことになったのを意味していたのだ。

それにより、このオレは地獄を見るはめになった・・・


二つ目の問題は健人だ。

健人の奴は買い物から戻ってから何か様子がおかしかった。

やたらとそわそわしており、その上挙動不審・・話を聞こうとしても大丈夫の一点張りでまったく教えてくれない。

おかげで、どーにも気になってしまい、調理に集中できない時があった。・・ホント何があったんだろうか?


三つ目は士郎・・・ではなくオレである。

もう少し正確に言えば問題はオレの身体にあったのだ。


「士郎、悪いけど火止めてくれ。今手が離せないんだ。」

「了解~」


てく・・てく・・てく・・むぎゅ!


「ふっっっっっっ・・・!!ぎゃあああああああああああああ!!」

「うわぁ!ご、ごめん優斗!」


・・と、このように狭いキッチンではオレのしっぽを踏んでしまう事故が多発してしまうことが判明。

それにより、オレが戦闘不能に陥る恐れが出てきてしまった為、士郎は早々に戦線離脱させてオレ一人ですべての作業をせざるを得なかった。


今言った三つの問題により、この後オレは皆が帰るまで休む暇なく働き続けることになり、あまりの疲れにこの惨状のまま眠りに・・・


「・・ってあれ?」


これですべてのことを思い出したはずなのだが、まだ疑問が残っている。

なぜオレは洗面所なんかで寝ていたのか?

寝る直前の記憶は疲れのせいであいまいではあるものの、いくらなんでも洗面所で寝るなんて間抜けなことするはずがない。


「う~・・・・む?」


寝る直前の記憶を必死に思いだそうとしているとあるものが目に入った・・・いや、入ってしまった。


「・・・(もぞもぞ)」

「・・・・・・」


視線の先にあるのはベッド・・・とその中で丸まった何か。

・・・もう一度言っておくがここは自分の部屋である。他の誰かの部屋でもなければ、誰かと一緒に住んでいるわけでもない。

つまりだ何が言いたいかというと、いい加減勘弁してください、ということだ。


「とか言っても無視するわけにもいかないしな・・・」


盛大にため息を出しつつも丸まった物に近づいていく。

途中何度かゴミ山に足を引っかけそうになったものの何とかたどり着くことができた。


「さ~て・・そろそろご退場願いましょうかお客さ・・・ん!?」


はぎ取るように布団をめくりあげて、その下にあったものを確認するとオレは驚愕してしまった。


実に柔らかな布団に身体を預け、気持ち良さそうに眠っている部長さんだった。

部長さんが寝ている、その程度のことで驚いたのではない。問題なのは今、部長さんは下着とYシャツ以外身につけていないことが問題なのだ。


「な・・・な・・・な・・・なー!!」

「あれー・・・ネコ君どうひたのー・・・ふぁぁ・・」


こちらに気がついたのか、大きな欠伸をして、眠そうに目をこすりながらこちらに話かけてきた。

しかし体勢を崩した結果、先ほどまで見えそうで見えなかった部分完全に露になってしまい実に危険な状態に陥ってしまっている。


「ぶぶぶぶ部長さん!!いいから身体を隠してください!早く!!」

「ん~・・・ちょっと待って・・今メガネかけるから・・・」


そう言って部長さんはあのアクセサリーのようなメガネを探しているが見つからないようだ。

つーかアレ必要な物なのか・・?


「ネコくーん私のメガネ知らない・・」

「そ、それよりもオレの質問に答えてください!そうしたら探すの手伝いますから!」


とりあえず、部長さんから目をそらすことで何とか会話をできる状態に持っていく。

メガネなんていいから早く身体を隠してくれ!


「うー・・・できるだけ早くしてよ・・・」


やや不満げな表情を浮かべながらもこちらの話を聞いてくれるようだ。

そんなにメガネが大事なのだろうか?


「時間をかけるつもりはありません。こちらの質問はただひとつ、どうして部長さんはこんな所にいたんですか?」

「私がここにいた理由・・・・えっとまず私は部屋に戻る途中で忘れ物があった事に気がついたのよ」

「ふんふん」

「それでネコ君家に戻ってチャイムを鳴らしたんだけど返事がなくて・・・」

「なるほどなるほど」

「そこでドアノブに手をかけると鍵がかかって無かったのよ。・・・ほら、テレビとかでもよくあるじゃない、そういうの?」

「・・・・・」


確かに昨日オレは鍵をかけ忘れていたけど、だからと言って了承も無しに部屋に入るのはどうかと思いますよ?


「そして、家に入らせてもらった私は忘れ物を見つけることが出来たんだけど、そこで限界をむかえちゃってね・・ネコ君のベッドにお邪魔をさせてもらったの」

「・・・あんたって人は・・・もう!!、あと!もしかしてオレを洗面所まで運んだのも部長さんなんですか!!」

「うん、だってネコ君一緒に寝てると何度もベッドから転げ落ちそうなるから危なっかしくて・・」

「・・・・・はぁ・・」


すでに何度目になるか、ため息をつく。

しかし、部長さんはこちらの苦悩にも気づいておらず、眠そうに欠伸を繰り返している。

・・・さて、どうすりゃいいかねこれは・・・

クロ「どーも、毎日がスランプ、クロです」

健人「そんなことより先に言うことがあるだろ」

クロ「いや、ホントすいません・・・遅い+超低クオリティ・・・どうしようもありませんね・・」

健人「だからと言って勝手にいなくなるのだけはやめろよ。それが一番迷惑なんだからな」

クロ「そこんところはわかってますよ」

健人「よし、それじゃあ、さっさと次の話を書く作業に戻るんだ!」

クロ「・・・・」

健人「そんなやる気のない目をしてどうする!気合を入れろ気合を!」

クロ「・・・できるだけがんばります・・・次回に続く・・」

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