第40話 人生楽なし苦だらけだ その1
「うわあああああ!!やめて、やめてくれぇ!!」
「うふふ・・・大丈夫よ・・」
頭が痛い
「ひやぁぁ・・い・・・いやだよう・・」
「安心してここには私たちしかいないから・・」
身体が軽い
「うあぁ・・も・・もう・・ゆるし・・」
「あら?まだまだこれからよ?」
なんで?どうして?そんな疑問がぐるぐると頭の中を満たすがその答えが返ってくることはなかった。
「ええと・・・優斗・・さん?」
さも困惑した表情でこちらを見る姫神さん。ああ、あなたが何を言いたいか、痛いほどわかりますよ。
「・・・!・・・!!」
対して姫神の隣にいる奴はプルプルと震えながらお腹を抱え地面にうずくまっている。そろそろ帰ってください。
「あは!あははははは!!ゆ・・優斗・・そん・・そんな恰好で・・そんな死んだ魚のような眼をして・・・あはははははは!!」
涙を浮かべながらバンバン!!と地面をたたいて大爆笑している舞さん。笑いすぎだコンチクショウ。
・・・オレって確かここに髪を切りに来たはずなんだよな・・どうしてこんなことになってるんだ?
改めて今の自分の姿を見る。
目に飛び込んできたのは飾り気のない見慣れた男物の学生服・・・ではなくきらきらと光るフリフリの付いたこの上なく派手な黒色のゴスロリ服であった。
・・・ええ、もうこれを最初に見た時はピシリ!と何か嫌な音がしてその後これを舞達に見られた時には何か大事な物が砕け散る音が聞こえましたとも。
だからもう大丈夫、姫神にいくら見られようと舞にどんなに笑われようと何とも思わないし何も感じない。だから大丈夫さ、うふふ・・・あれ?目から塩水が・・・
「あの・・・本当に大丈夫ですか・・?」
「ああ・・心配かけてすまんな」
あれから少ししてオレ達は寮に戻るために月明かりの夜道を歩いているところだ。例のごとくオレと姫神は白と黒のゴスロリのままであるが。ちなみに舞の奴は戦闘不能になってたので置いてった。もう知らん。
「姫神の方こそ変なことは・・・されたよな・・」
「・・・・・・」
「・・・すまん」
ああ、思い出すだけでも嫌な汗が出てきた。
あのいやらしくも洗礼された動きをした腕。
あれだけ派手に暴れて服にも身体にも傷ひとつ付けることなくこれに着替えさせるのだから恐ろしい。
・・それでいてオレ達がされたあんなことやこんなことは誰かに知られれば間違いなくgo to 刑務所行きになるくらい恐ろしいものでもあるんだけどね・・
「優斗さん・・それで・・衣服はどうしましょうか・・?」
「ホントどうしようかね・・」
オレ達のもともと着ていた服と荷物はあれに没収されている。
それについてあれ曰く「あなた達みたいなかわいい子にこんな服を着せるなんて私が許さないわ!」と言って返してくれなかった。刑法235条って知ってますか?
一応明日は休日であるため特に困るようなことはないものの言い方を変えればもう一度あそこに行かなくてはいけないということである。
「舞ちゃんに取って来てもらうというのは・・」
「ああ、ダメダメ。あーゆうのは飽きるか満足させないとまず諦めんタイプだからな。いくら舞でもたぶん無理だろ」
「それじゃあ・・また行かなくちゃいけないんですね・・・」
「姫神・・こういう時は開き直って明るく考えるといいんだよ」
「優斗さん・・・・・」
「・・・・・」
「そんな涙を流しながら笑ってそんなこと言っても説得力がありません・・・」
ナミダジャナイヨココロノアセダヨ。
・・・ええと、新手のイジメですかこれは?
「ネコくーんおーそーいーぞー」
「あら?ずいぶんと派手な格好で来たわね」
「優斗~ずいぶん気合入ってるね~」
「あら~優ちゃん大胆ね~」
「・・・・・」
自分の部屋に戻ってみれば4人がこたつでくつろいでおり一人が黒こげで部屋の隅に放り捨てられてました。あれ?オレの部屋は一人用だったはずなんだけどな・・?
今日はこの後部屋でゆっくりする予定だったんだけど・・・これはなんだ?あれか?オメーの休む時間ねーから!!っていう新手の嫌がらせかなんかなのか?
だがやはりそんな疑問に答えてくれる奴などいるはずがなくただ時間だけが無情に過ぎていった。
クロ「どーも、10万PV!?というバレンタインプレゼントを貰ったクロです」
優斗(男)「まさに奇跡としか言いようがないな・・・こんな小説以下と言える小説がここまで伸びるなんて・・」
クロ「いや、これはマジで驚いたぜ・・・みなさん本当にありがとうございます」
優斗(男)「つってもバレンタインはこれ以外何も貰ってないけどな」
クロ「ふ・・これだけで俺は十分さ・・・あれ?目から汗が・・次回に続きます」