第36話 美女と野獣と獣と変人と その2
学校を終えた夕暮れ時。
先ほどまで多くの生徒たちでにぎわっていた玄関は現在静寂に包まれている。
すでに多くの生徒たちは場所を移動しており、聞こえてくる音と言えば遠くで部活動をいそしむ生徒たちの声や自販機の無機質な機械音ぐらいだろう。
どこにでもあるような風景の一つ・・のように見えるがそこにはひとつだけおかしな点があった。
耳だ。壁から耳としか言いようのない物が生えているのだ。
その耳は白い毛でおおわれているピンとたった三角耳で時折ピコピコと動いている。
しばらくすると、今度は同じ場所から頭が生えてきた。
その頭には耳と同じく雪のような真っ白できれいな髪。
そして、小さく可愛らしい口と鼻、大きな瞳と幼いながらも整った顔をしている。
その頭・・・少女はキョロキョロと辺りを見渡し誰もいないことを確認すると一気に靴箱のある場所まで走りぬけていった。
「うだー・・・」
大きくなった靴箱に寄っ掛かりその場にへたりこむ。
「まったくなんでこんな目に・・」
十分前
「はぁ、はぁ・・ああーもう馬鹿らし。もうやめにしましょ」
「はぁ、はぁ・・そ、そうだな・・」
言い争いを始めて数分、さすがに時間の無駄だと悟りここで終わらせることにした。
「ふー・・あんたのせいで無駄に時間くったじゃない」
「お前がいちいち突っかかったからここまで時間かかったんだと思うが?」
「なにをー!!」
「・・あの・・これじゃあさっきと同じ流れに・・」
「「・・・・・」」
「・・この話はまた今度ってことで・・」
「まだやんのかよ・・」
「はい!話は終わり!優斗、姫ちゃん行くわよ!」
「・・はい」
「へいへい・・」
歩きながらそんなたわいのない会話をして教室を出ようとするオレ達。
そして舞が教室のドアを開けると目に飛び込んできたのは・・・
「うおおおおおおおお!!超螺旋剣!!」
「馬鹿め!!この俺に同じ技は二度と通用しない!!」
「なんで・・なんであんたがそっちにいるんだ!!」
「ごめんなさい・・でも、私も彼がほしいの!!」
「く!?」
「ねぇ・・・」
「ん、なんだ?」
「この戦いが終わったら・・・いや、なんでもないわ」
「じつは俺も・・・」
教室をぬけるとそこは戦場でした・・
廊下で飛び交うのは怒号と悲鳴、轟音、爆音なんでもござれのオンパレード。
「「「・・・」」」
「・・ねぇ優斗?」
「・・あまり聞きたくないが、なんだ」
「この状況なんとかしなさいよ」
「無理」
「無理じゃないでしょ!これあんたが原因なんだから何とかしなさいよ!」
「無理なもんは無理だ!それにこれは・・・」
その時、オレは気づいた。周りから音が消えていることに。
そして、周りで騒いでいた奴らが皆こっちを向いていることにも。
「「「「・・・・・・・・・・」」」」
「・・・えっと・・」
「「「「見つけたあああああああ!!」」」」
「「「「目標確認んんんんんんん!!!」」」」
一瞬の静寂の後、こちらに突撃してくるみなさん。
「ちょ、ちょっと!どうすんのよ!」
「ゆ、優斗さん・・・!?!?」
「どうするたって・・!」
さすがにこの状況では二人もあせっているようだ。
この状況どうにかできないのか・・?
右を見る、突撃する生徒。アウト
左を見る、突撃する生徒。アウト
後ろを見る、教室。一時的な時間稼ぎ。
前を見る・・・
「これだ!」
「「え!?」」
この状況で生き残るにはこれしかない!
「ちょっと何してんの!」
「まぁ見てろって」
目の前にある窓を開けてそこから・・
「ダイブ!」
「・・・・ってそれはあんた限定の方法でしょうがばかぁぁぁぁ!!」
窓から勢いよく飛び出したオレであったが後ろで舞にそんなことを叫ばれた。
空中で静止しながらそこで一言
「・・・そうだったぜ・・」
で今に至ると、舞達には悪いと思っているが気づいた時にはすでに飛び降りてしまったのでどうすることも出来ず、ここまで逃げる以外にオレが出来ることはなかった。
んまぁちょっとしたミスなわけだしこれぐらいなら許してくれるよな。
そんなことを考えていると
コツ・・・コツ・・・
静寂に包まれていた玄関に足音が響きわたる。
その音を聞いて後ろを振り返るとそこには見慣れた二人が立っていた。
「おお、二人とも無事だったか。さっきはすまなかったな」
謝りながら二人に近づくオレ。だけど何か様子が・・
「・・・何がすまなかったよ、この大馬鹿あああ!!」
「!?!?。いはい!いはい!やめてふれ!」
不用意に近づいてしまったオレは舞に両頬をつねられてしまった。
「あれぬけ出すのにどれだけ苦労したと思ってるのよ~!」
「わはった!わはったから!ひっはんはいでくれ~!」
何とかぬけ出そうと必死の抵抗を試みるがこの体では舞に勝てないことはすでに実証済であるため結局されるがままだった。
「あの・・もう許してあげても・・」
一方的な状況になっている中、姫神が助けをだしてくれた。姫神・・やっぱりお前だけが・・
「駄目よ。まだ姫ちゃんの分が残ってるわ。・・それに今の優斗はいじりがいがあるし」
「ほまえ、ほっちがほんねだろ!」
「細かいことは気にしない!ほれほれ~」
「いはい!いはい!ひゃめろ~!」
相変わらず邪悪な笑みを浮かべている舞。これはまだまだかかりそうだな・・・
クロ「どーも、1万ユニーク・・だと・・?、なクロです」
先生「・・今世紀最大の驚きだわ・・」
クロ「せめて今年度にしてください」
先生「だってこんな小説ともいえないような奴がここまでいってるんだもの」
クロ「それだけこの小説も見てくれている人がいるってことなんでしょ?」
先生「・・信じられないけどそういうことね。これも七不思議のひとつなのかしら?」
クロ「うわ、ひでー言いよう。・・とにかく、1万ユニークありがとうございます」
先生「これからもがんばっていくのでよろしくお願いします!・・・これで終わり?私は帰るわよ」
クロ「せめてその言葉は終わってからいってください。次回に続きます」




