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第25話 ネコのアルバイト! その1

陽はすでにだいぶ高い。もう少しすれば昇りきってしまうだろう。


天気は雲ひとつ無い快晴で、12月だというのにぽかぽかとしていてとても温かい。



そんな中それはいた。



場所は男子寮のある部屋のベッドの上。隣にある窓からも温かな日差しが差しまさに至高と言ってもよい場所。


そこの中央に小さく丸まった何かがいた。


体は小さく、まっすぐ立っても小学生程度の身長しかないだろう。


頭にはふさふさとした柔らかそうな白髪。


そして、ぴん、とした三角形の耳があるが今は力なくふにゃりとしている。


上には小さなパーカー、下はサイズの合ったジーンズ。その継ぎ目からは白いしっぽが飛び出ておりふりふりと揺れている。


「・・・すー・・・えへへー・・・」


胸は規則正しく上下して、瞼はしっかりと閉じている。口は半開きで笑っており、白いよだれの痕がある。


まちがいなくそれは寝ていた。それも気持ち良さそうに。


時間はどんどんと過ぎていくが目覚める気配はまったくなかった・・・。




ピンポーン♪


チャイムが鳴る。しかし起きようとしない。


ピンポーン、ピンポーン♪


やっぱり起きない。


「・・・ぅーん・・・」


いや、起きない、のではなく、起きようとしない、のだ。


今の状況に加え、昨日のあまりにも非常識な休日があったことも重なり、少年?の気力はほとんど残っておらず、「外にいる人には悪いが今回は居留守を使わせてもらおう・・」と思っていた。


ピンポーン、ピンポーン、ピン・・・べコン!!


・・・・・

・・・


ドカーン!!


何やらいやな音が聞こえたと思った次の瞬間、吹き飛ぶドア(鉄製、ロックあり)


さすがにそんなことがあれば・・・


「・・・くー・・・・」


起きませんでした。




そんな中、そこに近づく人物が一人・・・いや、それは人と言っていいのだろうか?


「あんた・・・私の前で居留守を使うなんていい度胸じゃない・・・」


そこにいるのは近づいただけで無数の拳が見えるようなオーラをまとった人の形をした鬼だった。



「・・・・あれー・・・せんせいどうしたんですか・・・」


ここでやっと目を覚ますネコ。しかしまだ目が完全に覚めておらず、今の状況が理解できていない。


「うふふ・・・・目が覚めたと思ったら第一声がそれとは・・・覚悟はできてるってことよね・・」

「えー・・・なにいってるんですか・・・?」





「お仕置きの時間よ・・・・」









「ミギャアアアアアアアアアアアア!?」








---------------------------------------


「目は覚めたかしら?」


ええ、目は覚めましたとも、それもばっちりと。ただピー(規制)をやるのは少しやりすぎじゃありません?


「あの・・・ドアの方は?」

「ああ、あれ?あんなの明日になればすっかり元どうりになるから安心しなさい」

「・・・いや、どうやったら明日で元どうりになるんですか?」

「世の中には言葉で言い表せない物や、知らない方がいいものがあるもんなのよ?」


不吉な笑みを浮かべながらそう言う先生。・・・いろいろと気になるところだがこれを聞いたら後戻りができなくなりそうだからやめておくことにした。


「えーと・・それでオレに何の用ですか?」

「これを渡しにきたのよ」


そう言って一枚の紙をオレに渡してくる。なになに・・?


--請求書--


請求書?一体何の?

そんな疑問を浮かべつつ紙の下に書いてあった請求額と思われる数字を見る。


いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃく・・まん・・?


「えーと・・先生?」

「何よ?」

「これは何の冗談ですか?」

「私がいちいち冗談言うためにここまで来ると思っているの?」

「それもそうですね・・・・・・いや、そうじゃなくて!」

「いちいち、うるさいわね~、次は何!」

「なんですかこの数字は!」

「これ?これはこの前のあんたの制服代+昨日の不良達の治療代+昨日の騒ぎの口止め料とかの合計金額よ」

「えーと・・・つまり・・・これを払えと?」

「そういうこと」


もう一度紙を見る・・・まちがいはない・・・


「こ、こんな金額払えませんよ!」

「払える払えないとかじゃなくて、あんたは払わなきゃいけないの」

「そ・・・そんな・・・」


目の前が真っ暗になる。

いきなり百万近く払えと言われても払えるわけがない・・・

こんな・・・・こんなことって・・・


「う・・ぐぅぅ・・・・」


自然と涙が溢れてくる。

この問題が明るみに出てしまえば、最低でも退学は確実だろう。

こんな姿のままで「外」に放り出されてしまえばどうなるか分かったもんじゃない。


「ちなみに期限は1週間ね。それ以上は伸ばせなかったわ」


先生の無情の言葉が聞こえる。


「わかった?」

「・・・・はい・・・」


もうどうにもならないだろう・・・このまま「外」に放り出されてみんなの笑い者にされる人生が待っているんだ・・・


「・・・・・・」

「はぁ・・・しょうがないわね・・・私が肩代わりしてあげるわ」

「えっ?」

「聞こえなかったの、私が肩代わりしてあげるって言ったの」

「ほ、本当ですか・・?」

「しつこい」


よかった・・・本当によかった・・・ありがとう先生・・・ありがとう・・


「あ・・・・ありがどうございまず・・・」

「いいから鼻をかみなさい、みっともない。それとあくまで肩代わりするだけだからね、そこんところ忘れないように」

「は・・・はい!」


なにはともあれこれで何とかなりそうだ。


「ところであんた金はどうするつもりなの?」

「どうするってアルバイトをして・・・」

「そんな体で雇ってくれるところなんてあるかしら?」

「あっ」


そういえばそうだった。こんな体で雇ってくれる所は普通はない。

生活を切り詰めて少しずつ姉からの仕送りを貯めていけば払えなくはないがいつになるかわかったもんじゃない。


「うーん・・・」

「悩んでいるようだったらいいところがあるわよ」


これからどうするか悩んでいると先生が声をかけてきた。・・・タイミング良く。


「えっと・・・」

「ここに行きなさい、そうすればきっと雇ってくれるわ」


絶対に何か隠しているのがわかるくらいの笑顔をみせながら1枚の紙をオレに渡す。



さすがというかなんというか・・・利用できる状況は最大限に利用する、そんな先生のやり方を身をもって味わうオレであった。

クロ「どーも、早くに寝ると次の日眠くなるクロです」

士朗「眠くなくても授業は聞いてないけどね~」

クロ「テストの時とかそういう時以外はほとんど頭に入ってません」

士朗「頭の中は8割が妄想で出来ているからね~」

クロ「これの主なネタは授業中に出来ています・・・次回に続く」

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