第24話 初めての日常 後編
森から歩いて10分ほど、やっとのことでオレ達は街に着くことができた。
しかし、やっぱりというかなんというか・・・
街到着10秒後
「こ、これは五面ダイバーの!(ry」
健人離脱
街到着30秒後
「あれは確か・・・(ry」
士朗離脱
街到着50秒後
「あ、あれって(ry」
舞離脱
街到着1分後
・・・気がつけば残っていたのはオレと姫神だけでした。
「あの・・・どうしましょう・・・」
「どうしようもないだろ・・・」
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「あ・・・・あの、優斗さん・・?」
「・・・・・・・」
舞ちゃん達と離れ離れになってしまった私たち。
しかし優斗さんは「全員ケータイは持ってるから別行動していてもなんとか大丈夫だろ。・・・うん、大丈夫だよ・・・・つーか別行動させてくださいお願いします、いやマジで。もうオレいろいろ限界なんです・・・」と最終的に土下座までやって私に懇願してきた。
さすがにそこまでやられてしまえば断るわけにもいかず私たちも独自に動くことにした。
そして今、私たちは優斗さんに合う服を売っているお店を探しているんですけど・・・
「少し離れてくれませんか・・・?」
「ごめん姫神それ無理」
右手は私の腕に、左手は自分のスカートにまわしていて痛いくらい力を入れてきている。
まったく余裕のない感じの返事が返ってきて、体もカタカタと震えて顔も下を向いている。
「ごめん・・・少しの間このままでいさせてくれぇ・・・」
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「ごめん・・・少しの間このままでいさせてくれぇ・・・」
きつい、今までで一番きついかもしれない。
ここは街である。
街にたくさん人がいるのは当たり前だ。
しかし今のオレにはあまりにも多すぎるように感じる。
さっきまではあいつらということで何とかなったが今は違う。
みんながオレのことを見ているように感じて怖かった。
みんながオレのことを見て変に思ってないか、実はすでに気づいており見て見ぬふりをしているのではないか・・・どうしてもそんな考えに陥り押しつぶされそうになる。
「大丈夫ですよ」
そんな時
「私が守りますから」
声が聞こえる
「だから前を見てください」
・・そうだ、こんな体にはなってしまったがオレにはみんながいるんだ。
あんな情けない姿を二度も見せるわけにはいかない。
ありがとう姫神、オレはもう大丈夫・・・だ・・か・・ら?
「・・・・・・」
あれ、おかしいな?
なんで姫神さんがオレの目の前にいるんだろうか?
何か言いたそうな感じの顔をしているが何を言えばいいかわからないような感じの姫神さん。
いや、そんなことよりも・・・
今オレが抱きついているのが姫神でなかったならいったい・・
ぎぎぎ、と油の切れた機械みたいに抱きついている人物がいる方向に首を回す。
そこには金色の髪を持った悪魔がニッコリと笑っていました。
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「いや~さすがにここでならなんとかなったね~」
買うべきものは何とか全部買えた。
・・・・え、あの後何があったかって?
あれだよあれ、あれがあったんだよ。
・・・・・・とりあえず言えることは「そろそろ天使が来てもいい頃なんじゃない」これが限界です。
「あの・・大丈夫ですか・・」
「いや、もう駄目です」
心配してくれるのは嬉しいんですがこの状況では何の意味もありませんよー
「健人や舞達はまだなのか・・・」
「待ってね~たぶんそろそろ・・・」
「んだとこるああああああああ!!」
いきなり目の前で怒号が聞こえる。
声の聞こえた方向のその先にいたのは・・・
「うっるさわね、もう少し静かにしなさいよ!!」
「そうだぞ、悪いのはどう考えてもお前らだ!!」
我らがトラブルメーカーズでした。
「いいからさっさと謝れや!!」
「先にぶつかってきたのはお前らだろ!!」
「あん、ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!」
「だからうるさいのはあんた達でしょ!!」
どんどんとヒートアップしていく目の前の空間。そんな時・・
「うるせぇ、ガキはさっさと家に帰りやがれ!!」
「・・・あんた・・今なんてった・・・」
言ってしまった・・・禁断の言葉を・・・・
「あん?ガキはさっさと・・」
「私は子供じゃないっつーの!!」
瞬間、舞が飛んだ。文字どうり。
30センチくらい身長差があったがそんなこと関係ないといわんばかりの跳躍をして相手のあごに飛び膝蹴りをクリーンヒットさせた。
「ぎゃああああああああああ!!」
「っ!?このガキ!!」
「お、おい音無!落ち着け!」
「うるさああああああい!!てめえら全員かかってこいやあああああああああああ!!」
健人の静止の言葉も聞かずに突撃していく舞。
ここが舞の困ったところ、舞は子供扱いされるとぶち切れてしまうのだ。
それだけならまだいいんだが・・・
「うわああああああああああ!!」
「ぎゃあああああああああああ!!」
なぜかその時だけ超人的な強さを発揮してしまうのだ。
そのため舞のことを知っている人の間では舞を子供扱いすることは自殺行為といわれている。
一人減り、二人減り・・・いつの間にやら立っているのは舞さん一人だけでした。
・・・うん、頑張った方なんじゃないかな?さようならー名もなき不良さん達ー。
しかしここは街の中心、そんなことをしていれば・・・
ファンファンファンファン!
「あはは~これはさすがにまずいかもね~」
「んなこと言ってる場合か!」
いくらなんでもこれはまずい。
こんなことしただけでもまずいのにオレ達は無断で「外」まで来てるのだ、そんなことがばれてしまえば退学は確実だろう。
「・・・・あれ?私は何を・・?」
「馬鹿野郎!さっさと逃げるぞ!」
「へ?」
「も、もうすぐそこまで来てます・・・!」
「う、うわあああ!逃げろおおおおぉぉぉ・・・!!」
そんなわけで最後の最後まで災難だらけでネコのオレの初めての休日で終わった。
悪くはない・・悪くはないんだがこんなことが「日常」になってしまうのはさすがに勘弁してほしいところである・・
クロ「どーも、いきなり知らないおっさんに切れられてmyチャリ参号を破壊される夢を見たクロです」
健人「それにしてもやっと終わったな・・」
クロ「長かった・・・」
健人「本当だったら前中後で終わるつもりがその倍でやっと終わりだからな・・」
クロ「みなさんも計画はしっかり立てましょう。次回に続く」




