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第21話 初めての日常 中編その2

「よし、すべての準備は整ったわ!張り切っていくわよー!!」

「「おおー!!」」・・・おー」


舞ちゃんが元気よくそう宣言すると健人さん達も元気よくそれに返した・・・

私もそれに何とか返すことができた。そんな中・・・


「・・・・・・」


優斗さんはとても小さくなっていた。


顔はいまだに真っ赤で口はへの字に、そして視線をそらし誰とも目を合わせようとしない。

正座で座ってはいるけどモジモジとしていて落着きがない。


そんなことを観察していると優斗さんと目が合ってしまった。


「!!!」


目が合った瞬間小さかった優斗さんはピン!と背筋が伸びて耳としっぽがびく!と動いたのが見えた。


「・・ァ・・ッ・・・!」


何か言いたそうに口を開こうとしているがそのたびに顔がさらに赤くなってしまいまた小さくなってしまった。


「ほら、あんた達何してんの?」

「「へ?」」


優斗さんと私の声が重なる。

気がつけば周りの人はみんな持ってきた荷物を持って立っており座っていたのは私と優斗さんだけだった。


「あ・・・ごめんなさい・・」


慌てて立ち上がる私だったが優斗さんはいっこうに立ち上がろうとしなかった。


「何やってんのあんたは?」

「いや・・・その・・・」


両手を腰に当て不機嫌な顔をして優斗さんを叱るように質問する舞ちゃん。

そして怒られている子供のように小さくなり視線をそらす優斗さん。


「くす・・」


その光景はまるで悪いことをして姉に怒られている妹のような感じで少し可笑しかった。


「む、姫ちゃん人の説教を笑うなんて少し失礼じゃない?」

「ごめんなさい・・・くすくす」


舞ちゃんに怒られてしまったがどうしても笑いが漏れてしまう。


「そんなことしてないでさ~早く行こうよ~」


と、ここで今まで黙っていた士郎さんが不満を漏らしてきた。しかし・・


「そうしたいのは山々なんだけど・・・」

「・・・・・・」


そう言いながら舞ちゃんは優斗さんを睨むように見ているが優斗さんはそんなことお構いなし、と言わんばかりに明後日の方向を向いている。


「この調子じゃね~」


困ったようにそんなことを言う舞ちゃん。確かにこの調子じゃてこでも動きそうにない。


「これはまた今度に・・・」

「・・なんだ、そんなことだったらこうすればいいんだよ~」


士郎さんはそう言うと優斗さんの後ろに回り込んで・・・


「!?は、離せ士郎!!」

「どうしようかな~?」


そこから一気に持ち上げて優斗さんを胸に抱く。その姿は俗に言うお姫様だっこだった。


持ち上げられた優斗さんは顔を真っ赤にして暴れているが士郎さんはニコニコと笑いながら優斗さんを見ているだけでそこから何もしなかった。


暴れていた優斗さんだったが全く効果がなく、そのうち抵抗も薄れてきて・・・


「た・・頼む・・・降ろしてくれ・・・なんでもするから・・」

「ホントにぃ~」

「ああ・・・・」


その言葉を聞くと嬉しそうな顔をしながら士郎さんは優斗さんを地面に降ろした。

よく見ると優斗さんは若干涙目になっていたがなんとか泣かないようにこらえていた。



そんな時舞ちゃんが士郎さんに一緒に外に行くようにジェスチャーを送った。


-----------------------------------------


「あんた、ちょっとあれはやりすぎじゃない?」


外に出て舞ちゃんが抗議の声を上げる。とても真剣な顔だ。

舞ちゃんの言うようにさすがにあれは私もやりすぎだと思った・・。


それに対して士郎さんは・・・


「確かにあれは少し強引だけれども、だからと言ってこのまま何もしなかったら優斗は部屋を出ることはないよ?」

「だからって強引にやらなくても・・・!」

「じゃあ、音無さん達はこのまま優斗が外に出れなくなってもいいの?」

「そんなこと・・・!」

「忘れているかもしれないけど今の優斗の体の状態は全く予想できない状況なんだよ?」

「! それは・・・」

「いつどこで何が起こるか誰にも分からない。それこそ・・・」

「・・・・・」

「だから・・・僕は今何もせずに後で後悔するなんていやなんだよ!たとえ優斗に嫌われても!」


士郎さんはいつになく真剣な表情をして私たちに叫ぶようにそんなことを言った。


「・・・・ごめん、少し熱くなりすぎたよ・・・」

「いえ、私こそごめんなさい・・そこまで考えてなかったわ・・」


ふたりは互いに謝罪の言葉を述べる。

・・・私もそこまで考えていなかった・・・何もしないまま優斗さんがそのうち・・・



・・・そんなの嫌だ!私はそんなの嫌だし舞ちゃんだって悲しむ!そん・・なの・・・




「おいおい、みんなそんな時化た面してるなよ」


今まで黙っていた健人さんが苦笑しながら私たちに向かって言う。


「そんな顔をしてると俺達の大好きなやつが悲しむぜ?」


健人さんを見ると親指で後ろを指している。その先には・・・


「・・あ、あの・・みんな・・・」


優斗さんがいた。


顔をまだ少し赤いがしっかりとこっちを見て何かを言おうとしている。唇が震えており息も粗くとても緊張しているようだった。


そんな時・・


 ドス!


「~~~~!?」


舞ちゃんが優斗さんの脳天にチョップをした。


「~~!何すんだ・・」

「もう!行動がおそいのよ!」

「だって・・・」

「だっても何もないわよ!申し訳ないと思うならさっさと行動する!」

「え・・・?」

「そうだよ~優斗~さっさと行こうよ~」

「ああ、こっちは待ちくたびれて困っていたところだからな」


「本当に・・オレなんかでいいのか・・?」

「何をいまさら・・・」


「オレのせいでケンカにもなったし・・・」

「もう仲直りしたよ~」


「まためいわくかけるかもしれないし・・・」

「もう迷惑かけてるだろ・・」


話している内に優斗さんはボロボロと涙を流していた・・・。


「優斗さん・・・」


気がつけば私は口を開いていた。そして・・・


「行きましょう!」


自然にそんな言葉が口からあふれていた。


その言葉を聞いてくれた優斗さんは


「ああ・・・行こう!」


ボロボロと涙を流しながらも笑ってそう答えてくれた。

クロ「どーも、・・・あれ?なんで俺シリアスなんて書いてんだ?と思っているクロです」

ユウト「シリアスなんてこの小説では終盤の終盤くらいしか書かないと思っていたんだがな・・」

クロ「いや、これはマジで予想外。無理して姫神視点で書いた結果がこれだよ!」

ユウト「今回は文章書くのにやたら苦戦していたからな」

クロ「妄想力はあっても表現力はありません」

ユウト「一応小説家もどきではあるんだからそこんところはしっかりしろよ・・・」

クロ「小説とか読んでるとじれったくなって途中で最期を見ちゃうタイプだから無理。次回に続きます・・・」

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