第20話 初めての日常 中編その1
「やはり良い・・・」
テレビを見ながらそんなことをつぶやいてしまった・・・
今日は学校がいきなり休校になってしまったので時間はまだたっぷりある。
次を見ようとテレビに近づこうとした時に携帯から軽快な電子音が鳴り響いた。
「はい」
「あ、健人~」
「なんだ、士郎か・・・」
「なんだとは失礼だね~」
電話の主は士郎だった。こんな時間に何の用だろうか?
「ところで、今ひま~」
「残念ながら今の俺は暇ではないな」
「五面ダイバーを見てるんでしょ~」
「な!?なぜわかった!」
「健人の行動パターンぐらいは簡単にわかるよ~」
さすが士郎・・・俺が認めただけのことはある・・・
「まぁ、そういうわけだから今の俺はこれから劇場版五面ダイバーV7、俺たちに明日はあるのか!?を見るので忙しいんだ」
「そうなんだ~。でもね~」
「お前人の話を・・」
「そっちこそ話を聞いてよ~。実は優斗たちが買い物に出かけるんだよ~」
「優斗たちが?」
優斗たちということだからおそらくあの二人も一緒だろう。
「それがどうかしたのか?」
「実は僕も一緒に行こうと思ってるんだ~」
「そうか」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「ああ、わかった、わかったよ!行けばいいんだろ行けば!」
「さすが健人話がわかる~」
ちなみに士郎がどこで優斗たちの買い物のことを知ったかは本人しか知らない。
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支度を終え士郎と合流した俺は今優斗の部屋の前にいる。
「ところでその袋に入ってるのは何なんだ?」
「後のお楽しみってやつだよ~」
士郎は合流した時から紙袋を持っている。
やや大きい袋ではあるが重そうな感じはしない。
「そんなことより早く会おうよ~」
「わかったからそう急かすな」
士郎に急かされ俺は優斗の部屋のチャイムを鳴らす。
ピンポ~ン♪
・
・・
・・・
「ミギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「「・・・・・・」」
返ってきたのは最近になって聞き慣れてきたネコの悲鳴だった。
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「それで、お前たちは何をしようとしていたんだ?」
あの後どうするか悩んでいると中から姫神が出てきて「ちょっと・・・待っていてください・・・」と言われ、しばらくしてやっと部屋に入ることができた。
しかし中には肝心の優斗の姿がどこにも見えず今は俺、士郎、音無、姫神で集まって話をしている。
「それは・・・」
「ごちそうさま、おいしかったよ姫神」
「ありがとうございます・・・」
姫ちゃんの料理を食べて満足そうな優斗。
私も食べたかったがその間私は優斗に着せる服を取りに行ってたので食べることはできなかった。
「ほらほら、食べたんだからさっさと着替える!」
「・・・何でそんなに不機嫌になってんだ?」
姫ちゃんの手料理を食べられなかったんだから不機嫌にもなるわよ!、と内心怒りMAXの私だがそこは抑えて(おさまってないですよー by優斗)優斗に着替えを渡す。
「・・・・・・・・」
「ん?どうしたの?さっさと着なさいよ」
着替えの入った袋を渡したが中身を見て固まる優斗。何をしてるのかしら?
「ッッッ!!こんなの着れるかぁー!!」
「ゆ、優斗さん・・落ち着いて・・・!」
いきなり叫びだす優斗とそれを落ち着かせようとする姫ちゃん。
しかし優斗は姫ちゃんの言葉に耳を貸さず暴れ続ける。
「ふっざけんなゴラー!!」
「お、落ち着いてください!」
あんまりにも長く騒ぐのでさすがの私も堪忍袋の緒が切れた。
「うるせえええええええええええ!!いいからさっさと着ろやゴルァァァァァァァァ!!」
「ちょ、ちょっと・・タンマ・・・ミギャァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「ってわけなのよ」
・・・なるほど、だったら仕方ないな。それにしても優斗も人の恩義を仇で返すとは・・・
「あの・・・その考えはちょっと・・・」
とそんな時・・・
ガチャ・・・・
後ろの脱衣所から扉が開く音が聞こえた。
しかし扉は閉まることがなく優斗が扉の裏に隠れながらからこちらを見ている。
「やっと終わったのね。遅いわよ」
「・・・・・・・」
「優斗~君は完全に包囲されている。大人しく出てきなさ~い」
「・・・・・・」
観念したのか、扉の裏に隠れていた優斗がゆっくりとその姿を現してきた。
上着はボーダーラインのセーターに厚手のパーカー。どちらも女の子用の物だ。
下はスカートに加えタイツまでついている。
そして顔は真っ赤に染まっておりちらちらとこちらを見て・・。
「あ・・あんまりこっちを見ないでくれ・・・」
恥ずかしそうにそんなことを言ってきた
クロ「どーも、中編その1ってなんだよ・・・なクロです」
五面ダイバー「よい子のみんな!ちゃんと計画を立てないとこうなってしまうんだよ!気をつけよう!」
クロ「テストの方は何とか平均点越えしたんで一安心です・・・心臓に悪いよ・・」
五面ダイバー「みんなはこんな無気力人間になっちゃいけないよ!」
クロ「実際そのとおりだと思います。次回に続く」