プロローグ2オレ・・・?
プロローグはこれで終わりです
風由学園俺達の通う高校の名前。「風のように自由に」という意味からこんな名前になったらしい。
全寮制ですべての生徒たちが学園内で生活できるように日常品からファーストフード店までさまざまなものがあふれている学園。校風は「自由にのびのびと」
聞こえはいいが実態は生徒だけでなく先生まで無断で休んだり、学園の予算が校長の趣味に使われたりと自由すぎてとんでもないところだったりする。
しかし成績はみな優秀で「ダイヤの原石を生産している」と言われるほどでかなり人気のところだったりする。「遊んでいるのに成績が上がる」学園の七不思議に数えられているほどだ。
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「よう!みんな」
「おはよう、健人」
あれから急いだ俺たちは何とか時間内に教室にたどり着くことができた。
「ニャー」
「それが怪我したっていう猫か?」
「あぁ、かわいいだろ?」
その猫は見た目はまっ白でまだ生まれたばかりだとわかるくらい小さく右手には包帯が巻かれていた。
「いやぁん、かわいぃ~」
「かわ・・・いい・・」
たしかにかわいい。見ているだけでなごんできた・・。
「あれ?この子首輪をつけてないかい?」
士郎の言うとうり首には赤い小さな首輪が付いていた。
「誰かが飼っていたのか?」
「わからない。けど誰かが飼っているにせよ道端で怪我した子猫を放っておくわけにはいかないからな。帰りに飼い主を探そうと思っている」
「そうね~でもこんな子をほっぽておくなんて飼い主の顔を見てみたいわ」
そんな会話をしているうちに1時間目のチャイムが鳴り俺たちは席に着こうとした。すると
「ピンポンパンポ~ン♪大島優斗君とそのご友人御一行はすぐに科学室まで来てください。橘先生がお呼びです」
俺にとって悪魔のコールが来てしまった。一部の生徒たちは俺に殺気をぶつけてきて、またある生徒たちは震えるほどおびえて、ある生徒は憐れむような目でこちらを見ている。こら、そこ、合掌しない
「優斗・・君のことは忘れないよ」
「優斗・・<ビシ!」
「ゆ・・優斗ダイジョブダヨネ・・」
「・・・<ブルブル>・・」
こいつらはそのことを知っているため俺のことを案じてくれた・・ああ・・時が見えそう・・・。
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「「「「「失礼します」」」」」「ニャー」
「遅いわよ」
あの後1割の勇気と9割のあきらめをもって科学室まで来た。
そこで待っていたのは美人の皮をかぶった悪魔だった・・・。
橘光 風由学園科学担当
殺人的スタイルの持ち主で何人もの男どもを狂わせてきた。いつも白衣で全身を隠しているため中がどうなっているかは誰も知らない。
頭が恐ろしく良く世界一頭がいいとも言われている。え?どうしてそんな人がこんなところにいるかって?それは・・
「ほらさっさとする私は早くどうなるか見たいんだから!」
俺のことをモルモットにしているからだ・・・。
俺が何でこの人のモルモットになっているかというと俺の姉と先生は学生時代からの親友同士でその姉がオレの事をすきに使っていいと勝手に約束してしまったからだ。
どんなことをされたか思い出すだけで拒否反応が出てしまうくらい恐ろしいことをされてきた・・両親が川の向こうで手を振っているのはきっと疲れているせいだ。うん。
「で、なにすればいいんですか?」
そうやけくそ気味に聞くと。
「これに入ってもらうわ」
そこには2本のカプセルがあった。よく見ると上の部分が折れ曲がった鉄の棒でつながっている。
「ええっと・・これなんですか?」
「ふふん、これはね簡単に言うとワープ装置なのよ」
「「「「「ワープ装置!!」」」」」「ニャゴ?」
ワープってあのワープか別の所に移動するって言う!。・・なぜか猫がすごい不機嫌な顔をしている。
「す・・・すごい・・・」
「すごい!すごい!」
「さすが先生ですね~」
「ッ!感動しました先生!」
いやいや冗談抜きでほんとにすごいな・・でも何だろうこのものすごいいやな感じは・・
「わかったらさっさとしなさい!・・・それともまたお仕置きされたいかしら・・・?」
「!わかりました!!」
恐れを振り払うように大声をあげて駆け足でカプセルの中に入っていく。
「・・・・?先生扉が閉まらないんですけど・・」
「ふん!そんなこと関係ないわ!今は一刻も早くこの実験の結果が見たいんだから!」
そんな無茶な!と言いそうになったが先生の後ろに見えたオーラがそれをせき止めてしまった。
今となってはなぜこんなにもいやな予感がしたのに何もしなかったのだろうと後悔している。
10
カウントダウンが始まる
9
何か機械の動く音が聞こえ始める
8
どんどんと速度が上がっていく
7
周りが光始めた
6
その時なぜか舞が盛大にこけたのがみえた
5
とてもスローモーションにはっきりと見えた空を飛ぶバナナの皮と舞
4
舞が倒れ、ものすごい音がする
3
健人の腕にいた子猫が驚いて暴れだす
2
健人の腕から脱出してこっちに向かってくる
1
そして・・・
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「げほげほ!」
な・・何があったまず思い出せ!舞・・健人・・子猫・・・先生・・実験・・実験!
そうだ俺は実験をして猫が飛び込んできて・・・
周りを見ようとしたが霧だらけで状況がつかめない。
「くそ!どうなってん・・・・だ・・?」
おかしい声がとても高くなっているこれでは女の声だ。実験の影響で耳か喉が一時的におかしくなったのだろう思い今はとりあえず状況を確認するのを優先してその場から動こうとした時再び異変に気づく。
「体が縮んでる・・?」
制服の上も下かなりぶかぶかになってしまっていてかなり動きずらくなっていた。そうこうしているうちに霧が晴れていき出口が見えてきた。
「おい!優斗!だいじょ・・ぶ・・か?」
「ゆ・・優斗さん・・・?」
「ゆ・・う・・・と・・?」
「ええと・・優斗・・だよね」
4人が俺のこと上から見ている。先生はその後ろで気まずそうに視線をそらしている。
「ああ、そうだが」
声は治っていないようだ。すると士郎が右手で左の方を指しているのでそちらをみてみるとそこには・・・
くりくりとしたかわいらしい目があった。
形の整った小さい鼻があった。
ふさふさとしたさわり心地のよさそうな白髪があった。
もちもちとしたまっ白い肌がはあった。
だぶだぶの制服を着た小学生くらいの妖精がそこにはいた。
頭の上にはぴこぴこと動く三角耳が二つあった。
ぴょこぴょこと動くしっぽがその後ろに見えた。
周りを見てみる。そんな美少女はどこにもいない。
他の人を見る。なんていったらいいかわからないような困った顔をする。
もう一度鏡をみて右手をあげる。すると鏡のネコ耳少女も右手をあげた。
「・・・・・・・・・・・オレ?・・・・」