第12話 敵か味方か?
現在の状況・・・血走った目の女子達に囲まれている。つまりは絶対絶命
「「「「・・・・・・」」」」
まさに一触即発。何か動きがあろうものなら一斉にオレに襲い掛かってくるだろう。
だがそんな時・・・
「あの~ちょっと待ってくれませんか~」
なんとこの状況に待ったをかける者が現れた。
「いや・・・・・でも・・」
「だったら・・・・でどう?」
「それなら・・・・・」
なにやら会話をしているがよく聞こえない。
少しすると女子達がちりじりに別れていき最後に残っていたのは・・・
「結構元気そうだね~」
「し、士郎!?」
オレのクラスメイトで友人の士郎だった。
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「それにしてもすごい格好してるね~」
「な、ななななな!・・み、見んな!」
自分が今メイド服|(首輪付き)であることに今更気づいたオレだったが、時すでに遅くおもいっきり目の前の男に見られてしまった。
「た、頼む!このことは内密に・・・」
「う~ん・・・どうしようかな~」
明らかに今の状況を楽しんでいる。いい性格してるよ・・・
「うん、いいよ」
「そうだよ・・・え!?・・・冗談とかじゃないよな?」
「あたりまえだよ~。このことは未来永劫きれいさっぱり忘れてあげる・・・でも」
「でも?」
「ひとつ、条件があるんだ」
やはりそうポンポンと事は進まず士郎はオレにある条件を出してきた。
「僕の先輩に会ってくれないかな?」
「先輩?」
「そう先輩に、で?回答は?」
この時オレは「この程度でこの事が無くなるなら安いもんだ」と思っていた・・・が、ここはあらゆる意味でとんでもないところということをすっかり忘れていた・・・
「ああ、いいよ」
「そっか、先輩!OKです!」
士郎がそう言うとオレの後ろの茂みから何やら音が聞こえた。
そこにはプロのカメラマンが持っているような大きなカメラを持った女の子がいた。
髪型はぼさぼさとしたショートヘアー。
身長はやや小さいが出ているところはそれなりに出ている。
アクセサリーのような小さなメガネが鼻の上にちょこんと乗っかていた。
「よくやったわ、中村!これで明日の一面は決まったも同然ね!」
「優斗、こちらが会わせたかった人の水橋詩織先輩。僕の所属している新聞部の部長さん」
「し・・・新聞部?」
なにやら最近、急成長をとげているオレのセンサーに何かが引っ掛かった。ネコ耳がびくびくと震え、しっぽが落着きをなくしている。
「あ、あの~何をしにきたんですか?・・・」
「ん?なにって、君のインタビューに決まってるじゃない。「メイド服を着た元少年のネコ少女、強盗を撃退!」・・ん~いいネタだわ~♪」
「い、いや・・その・・」
「ほらほら!時は金なり!さっさと終わらせるわよ!」
水橋さんがそう言うと士郎が突然オレの頸の付け根を掴んで持ち上げた。
「な!?士郎!?」
「ごめんね~部長命令だから~」
必死の抵抗をしようかと思ったがなぜかやる気がでてこない・・・
「ネコは頸の付け根を噛まれるとおとなしくなっちゃうのよ、知ってた?」
そうですか・・・・せつめいごくろうさまです・・・・
結局、抵抗らしい抵抗もしないままオレは二人に連れ去られてしまった・・・
クロ「どーも、さすがにテスト前で忙しくなってきたクロです」
詩織「そのわりにはずいぶんと余裕そうね」
クロ「勉強などいらぬ!滅びるがいい!」
詩織「全国の受験生に謝りなさい!今すぐ!」
クロ「いや、ホントすんません」
詩織「それより、私の出番あれだけなの?」
クロ「今回はあれだけ、次回に期待しろ」
詩織「あんたに期待することなんて何もないわよ」
クロ「・・・・・次回に続きます・・」