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亡霊に取り憑かれた王女  作者: 曉月 栞


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無人島

 何とか、日没前にぎりぎり無人島へと上陸することが出来た。幸いジョナサン号の見張りはおらず、リア達は大小ある岩礁を避けながら、針の穴に糸を通すように慎重に上陸した。リアとサニーはボートを岩礁に当てないように、最終的には泳いで誘導した為全身ずぶ濡れだ。しかし苦労した甲斐あって、ボートは岩の奥にある猫の額のような砂浜に軟着し、彼等はボートを背負って無人島へ上がった。海辺に置いといて発見される訳にはいかないし、彼等にとっては貴重な移動手段だ。


 ……奴等は島の東側へ回り込んで行ったよ。


 サニーがそう言っていたから、島の東側にはもっと着岸しやすい場所があるのだろう。だからといって、このまま潮の流れに乗って東へ回り込むのはどうしても避けたい。

 兎にも角にも、こんな救命用の極小ボートで無事に上陸出来たことは、有り得ないような幸運だった。


 その夜は、それぞれがそれぞれの思いを抱いて、まんじりともせず一夜を明かした。

 小さな砂浜の先はすぐに山の斜面になっていて、リア達は薄暗い中、緩い勾配を掻き分け掻き分け、漸く見つけた岩の出っ張った場所の地面をならし、ボートを敷いて横になった。蚊が容赦なく彼等を襲い、遠く近くで夜行性の小動物が蠢く音が聞こえるが、地面からの攻撃はない。この小さなボートは、想像以上に彼等に安心感を与えていた。明るくなってみないと分からないが、緊急用ボートなのだから緊急用の装備もそこそこ揃っていることだろう。


 しかし…………。


 取り留めもなくリアは考える。


 はたして、我々は再びセイントレアの地を踏むことが出来るのだろうか?


 漆黒の闇を見据えて小さく溜息をつく。


 帰って来る筈の私が帰って来ない。エクリスタはレスカに問い合わせるだろう。しかし、セイントレア王女はとっくに出立したと告げられる。エクリスタはこの小さな無人島を見つけ出すことが出来るのだろうか?それに……。


 ……リア!!


 頭の中で声がした。


 ……どうした、フローラ!?


 フローラが敵の気配を察知したのかと思い、リアは気を引き締めた。しかし、フローラは言い淀んでいるような様子だ。敵の攻撃はないと判断し、リアはもう一度尋ねた。


 ……フローラ、何かあったのか?


 リアが尋ねると、フローラはちがう、と言った。


 ……では何?


 ……リア、あのね、えっとね…………。不安な夜に考え事をしちゃいけないんだよ。


 フローラは独り言のようにそう言い、リアはフローラの言葉に頷いた。


 ……そうだな。


 ……大事なことを考える時は、お日様が出ている時の方がいいんだよ。悪いことばかり考えちゃう。


 ……その通りだ。お前には、私の考えていることが分かるのか?


 ……え?ううん、分からないよ。だけど……きっと悪いことを考えているんだろうなって思ったんだ。


 ……そうか。お前の言う通りだ。少し頭を休めることにしよう。


 ……その方がいいよ。


 ……うん。


 希望を見出すかのようにリアは暗闇を凝視したが、鬱蒼と生い茂る草木のせいで月の明かりすら見えない。リアはフローラの助言通り、そっと目を閉じた。






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