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亡霊に取り憑かれた王女  作者: 曉月 栞


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相次ぐ急使⑤ リアーピックランツーウィンディアージュラムーピズロ 五者会議

 ……痩せたな。


 リアはピズロを見てそう思った。もともと細身だったが、褐色の髪がこけた頬に掛かり、今は窶れていると言っていいくらいだ。或いは慣れない船旅で食事どころではなかったのだろうか?自分は経験ないが、船酔いというのは本当に辛いらしい。


 「ピズロ、大丈夫か?随分顔色が悪いようだが?」


 「大丈夫です。」


 そうは言うもののピズロの顔色は蒼い。


 「まさかお前が急使だとは思わなかったよ。他の者に任せる訳にはいかなかったのか?」


 リアがそう尋ねると、ピズロは怜悧な目を更にきりりと引き上げた。瞳の奥には不穏な光が宿っている。


 「緊急事態です。このことを知る者はあまりにも少ないので、私が参りました。」


 リアは事の重大さを察知し、小さく頷いた。


 「そうか……。話せ。」


 「ちょ、ちょっと待って下さい!!」


 ジュラムが慌てて割って入った。


 「お見受けすると、大変な重要事項だと察せられます。私は退出した方がよろしいでしょう。」


 「いいえ、ジュラム!」


 リアは去ろうとするジュラムを引き留めた。


 「いいえ、ジュラム、あなたはいて下さい。事が大なり小なり、あなたには何らかの説明をすることになる。だったら最初から聞いてもらっていた方がいい。ピズロ、ジュラムは私が最も信用出来る親友の一人だ。この国の宰相でもある。」


 「宰相!?……が!?……何故ここに!?」


 「こっちでも色々あったんだ、後で説明する。ジュラム、彼はピズロ・キーアパル。我が国の宰相の息子です。」


 「そうでしたか!!ローウェン様はご健勝でいらっしゃいますか?」


 「え?あ……はい!!」


 「それは何よりです。」


 「あのっ……父は、あなた様からのお手紙を頂戴しますのをとても楽しみにしております!」


 「それは私も一緒です。それにしてもローウェン様が羨ましい!こんなに立派なご子息がおられるなんて!!」


 「とんでもございません!!」


 「それに、ピズロは物凄く頭がいいんだよ。」


 「ほう!リア様にそう言われるとは、相当な頭脳の持ち主ですな!」


 「うん!!」


 「や……やめてください。」


 ピズロはすっかり恐縮して、顔を赤らめた。


 「ああ、大事なお話の途中なのに腰を折ってしまいましたね。リア、本当によろしいのですか?ピズロさんは、レスカにとって不利な話をお持ちになっている可能性だってあるのですよ?」


 「だったら尚のこと。私はあなたを信頼している。それを証明するいい機会だ。」


 リアがそう言うと、ジュラムは少し潤んだ目でリアを見つめた。


 「あなたは本当に素敵だ、そのように大きな決断を瞬時になされるなんて。ずっとこっちに住んでくださればいいのに。では、この爺も同席させてもらうことにいたしましょうか。」


 「それで構わないな?」


 リアがピズロに目を遣ると、彼は頷いた。


 「あなたがそう仰るなら構いません。それに、レスカ国にとって不利になるような話でもございません。こちらのお二人は?」


 ピズロはピックランツとウィンディアを振り返った。


 「学生時代の親友ピックランツと恩師ウィンディア先生。こっちへ来てからずっと協力してもらっていたんだ。この二人がいなかったら私は何も出来なかった。」


 「そうでしたか。リア様がすっかりお世話になって――。」


 頭を下げようとするピズロに、ピックランツは慌てて手を振った。


 「そんな!お世話になっているのは僕達の方ですよ!!それより、僕達こそ退出した方がよさそうですね。」


 「ダメ!!」


 リアは叫んだ。


 「ここまで付き合ってもらったんだ、どうせなら最後まで付き合ってよ!!」


 「え?本当にいいの?」


 「頼むよ。ウィンディア先生も帰るとか言わないでくださいね!」


 「分かった。」


 「良かった。さてピズロ、皆の了承も得た。セイントレアで一体何があったんだ?」


 リアが尋ねると、ピズロは一人一人を見渡して頷いた。そして声を落として話し始めた。







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