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亡霊に取り憑かれた王女  作者: 曉月 栞


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25/85

 「逃げろ、逃げろ!!」


 ナッカル軍は、戦いながら逃げ続けた。

 本当は一目散に逃げたいところだったが、追ってくれないと意味がない。あくまでも交戦しつつ、逃げざるを得ないという体を成していた。

 ナッカルの目に、ようやく見慣れた丘陵が映った。


 ……良かった……。ゼムビスト軍はまだ来ていない。


 ナッカルは胸を撫で下ろした。西側のミゼッタ山の麓に目を遣ったが、戦っている気配はない。


 ……流石ゼムビスト大将、こちらの状況をよく把握している。もう少し、もう少しだ。もう少しこのまま引き付けるのだ。


 ナッカルは、軍の中央部から声を掛けた。


 「絶対に要塞には入らせるな!!ここで仕留めろ!!」


 と言いつつ、後退した。


 ……要塞からの応援はない。要塞が攻撃出来る可能性を、彼等に気付かせてはならない。


 ナッカル軍はずるずると退いているように、ヘパーリン軍を丘陵へと導いて行った。


 ――――来た!!


 西側から猛烈な捲土が巻き上がった。六千のゼムビスト軍が一斉に逃げて来る。

 ナッカルは皮の盾を高々と突き上げ、兵士に号令した。


 「諸君、ここを破られる訳にはいかない!一歩たりとも入れるな!!」


 「おお――――!!」


 兵士達も皮の盾を掲げると、雪崩を打って追って来たヘパーリン兵に向かって突進して行った。




     ★★★




 向かって来るナッカル兵に、ヘパーリン軍は次々と矢を放った。

 そして、呆気に取られた。


 ……何だ、こいつらは?攻撃してこない……?


 ナッカル軍は、疾風のように通り過ぎただけだった。矢を射掛けてはいるが、急所は盾でしっかりと守られている。考え込みながら夢中で矢を放っているうちに、彼等のポジションは入れ替わっていた。

 そして目の前には、怒涛の如く押し寄せるゼムビスト軍が迫っていた。


 ……挟み撃ちか!


 ヘパーリン軍は、歯噛みする思いだった。


 ……いや、違う、逃げている……?後ろを、ミゼッタ山からのスタルナ、ネイジー軍が追っている!挟み撃ちはこっちも一緒だ!


 「目の前の敵を狙え!後ろは気にするな!要塞に逃げ込まれる前に打つのだ!!」


 どこからともなく声が上がった。


 ゼムビスト軍の走行が変わった。西の山から東の要塞へと真直ぐに逃げて来たが、もう一つの集団が南から突いてきたことで、彼等は北側へ逃げざるを得なかった。




 そして、ヘパーリン軍が丘陵の中央を占拠した時、空から重くて黒い雨が降った。






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