カボチャ
「カボチャじゃねえか!どうした、こんな時間に?」
「スタルナ領主、夜分遅く本当に申し訳ありません。それから私は、カボチャではありません、ジョンです。」
「いや、お前はどこからどう見てもカボチャだ。……読めたぞ。俺が寝入って朦朧とした時に、商談に持ち込もうって腹だな。その手は食わんぞ、プラチナオレンジは決して売らん、実も苗もな!」
「いえ、私はみかんの買付に来たのではありません。それに実は……私は青果の卸売業者ではありません。」
「は!馬鹿も休み休み言え!お前はどこからどう見ても、ネイジーの青果卸売業者だよ!」
「今まで嘘をついて、重ね重ね申し訳ありません。」
「じゃ、何だってんだ?肉か?魚か?……読めたぞ。お前は、青果の小売業者だな!全部すっ飛ばしてプラチナオレンジを安く手に入れようと!その手には乗るか!」
「違います。いっそのことそうであったら、スタルナ領主をこれ以上失望させることはないのに、と思います。」
「何だ、何だ?お前は何だってんだ?。」
「私は、セイントレアの諜報です。」
「嘘つけ!!諜報だと名乗る諜報がどこにいる!?」
「本当なんです!事態はそれくらい切迫しているのです!」
スタルナ領主はまじまじとジョンを見つめ、ソファにドスンと倒れ込んだ。
「………………急に始まった戦争か。」
「はい。」
「話せ。」
「ありがとうございます!!しかし、話すのは私の役目ではありません。紹介したい者がおります。」
スタルナ領主は、ジョンの背後にいる二人の人物に目を遣った。
一人は丸々と太った穏やかそうな青年、もう一人は、立ち眩みがしそうな程の美しさを誇る、少年だか少女だか分からない人物だった。ジョンに気を取られて今まで気付かなかったが、こんな美形は見たことがない。
その美の極みが、片手を差し出しながら近付いて来た。
「私はセイントレア国王女、アリアンルーシュキャロルです。こちらはセインティア軍二軍の中将ダインです。スタルナ領主、こんな時間に押し掛けて本当に申し訳ない。面会して頂けて嬉しく存じます。」
スタルナ領主は、あんぐりと口を開けた。




