03.真っ直ぐな瞳と夏の太陽。
絵理衣は学校へ着いてすぐ自転車小屋に自転車を止めて、スクールバックを背負う。
昇降口に急いで駆け込み、靴を素早く履き替える、そして足早に図書室へと向かった。
図書室の前にすぐ着いた。
昇降口からそんなに離れた場所にあるわけでも無いので、割とそんなに時間はかからない。
昨日の変な人がいたらどうしようと、少し嫌な気分になる。
が、ゆっくりと、ドアを開けた。
「お、よお!杉野!」
居た。
どっかりと受付の前に腰を下していながら、片手をひらひら振って、馴れ馴れしく話しかけてくる。
……どうも私は雰囲気からしてこの人とは分かりあえない気がする。
無言で突っ立ってると話しかけられた。
「昨日の本探しにきたの~?」
「……。」
「おい、聞いてる~?」
「私に構わないで下さい」
「何でさ?」
そういうと、顔を覗き込んできた。
目が合う。
黒目がちな瞳なのに、奥に深い青い色を宿しているような、そんな瞳に。
「……岡崎くんには関係無いからです」
「関係あるよ」
「?」
「俺も一応、文芸部だもん」
「……っ、はぁ?!」
華の女子高生とは程遠い驚嘆の声を上げてしまった。
まさか、こんなしつこい人が同じ部活に居たなんて。
「ま、俺は部室には顔を出した事1回しかねーけどな」
「あがっ、がっ、がっ?!」
「ん?何?そんなに驚いちゃって。そんなに意外なの?」
「へ?!い、いえ、別に」
「あー、やっぱ面白いな。杉野は」
そうやって、二カッと笑う。
三日月型に目を細め、えくぼを両側につけて、逆光で少し陰っている。
笑い方がとても自然で思わずぼーっと見てしまっていた。
「杉野?おーい?どうした?」
「……っ!!いえ、何にも」
見とれていました。
なんて素直にその状態を述べられるはずもなく、居たたまれない気持ちになり、荷物を持ったまま、足早に図書室の本棚へと移動する。
その後ろを岡崎はしつこく付いてくる。
「変な杉野。昨日の探してた本って何?俺も探すよ」
「ひとりで探せますから」
「いーって、遠慮すんな。昨日、脅かした詫びだと思ってくれ」
「いいです。ひとりで探しますから」
「2人で探した方が早く見つかるとおもうけど?」
「足手まといです。うるさいです。しつこいです。いい加減にして下さい」
「くぁっ!!言ったなツンデレ杉野!!」
「何とでもどうぞ。この s t k 」
「ちょっ、ストーカーはねぇよ!!なんでストーカー扱いなんだよ!!しかも略してるし!!」
あっさりスルーし、昨日探していた本棚の手前に来て、探し始める。
隣でギャーギャーと文句を吐いてる人間がいるが、まぁ、気にしない。
というか気にしちゃ駄目だ。
「シカトですかーおーい」
「……。」
どうやら、参考資料になる歴史類のものはちょろちょろっとあったが、やはり無かった。
この際だ。
想像で書くしかない。
小説っていうのは、若干ファンタジーや作者の改変ってものがあるのが普通であるのだろう。
あんまりリアルを追求しすぎても、読者に理解をしてもらえるかも分からないからだ。
ましてや、10代の年代層に戦国時代の話をくどくどと説明してもさっぱりだろう。
一部の歴史オタクやら歴史マニアを除いての話だが。
溜息をひとつついて、さっきからひとりでべらべら喋ってるやつに返事してやる。
「ねぇ、俺手伝うから、本のジャンル教えてよ?おおーい?」
「……いいや」
「やっと話聞いてくれた!……って、え?」
「もう、いいです。探すの面倒ですし」
「諦めるの早っ!!」
「何とかなりますし……ネットとか使えば……」
「何とかなるんだ……へぇ……」
ふと、隣に突っ立っている岡崎に視線を向けると、なんか関心されていた。
そして、二コリと笑う。
あまりにも綺麗に笑うものだから、こっちが恥ずかしくなる。
気を紛らわすために、そういえばと思って疑問を投げかけてみた。
「岡崎くんも小説書……きますよね。次の部誌用に」
「ああ、まぁなー」
「どんなジャンルの書くんですか?」
「お、よくぞ聞いてくれた!!恋愛とか挑戦してみようかなーって思っててー」
「………………。……さよなら」
「ってええええええ!!聞いといて、それは無いだろおおおおお!!」
目当ての物は無いし、ここで小説書こうとしても、こいつがうるさくてはかどらないから帰ろうと思ったのに。
大声でその場に呼び止められる。
何か盛大な勘違いをされているようだが、勘違いをわざわざ直すのも面倒なので、勘違いのまま通させてもらおうと思う。
「いや、もう用は済みましたし」
「別に誰がどんな話書こうと良いじゃんか!!そんな事されると結構傷つくんですけど!!」
「それじゃ」
「ちょい待てぃ」
むくれている岡崎の前を普通に通りすがり、出て行こうとしたら呼び止められた。
「……その。昨日は、ごめん。驚かして」
「今更ですね」
「いや、ちゃんと謝って無かったし」
「……別に」
「うっ……」
「では」
「杉野!!」
まだ何か話す事があるのかと、面倒臭そうに振り返ると、真面目な顔した岡崎が瞳に光を宿して真っ直ぐ射抜いてきた。
「俺、完成楽しみにしてるから。続き気になるし。その小説」
「……。」
応援された。
書く側としては嬉しい限りなのだが。
その発言からして考えると……。
「じゃあな」
「……昨日の時に読んだのですか?」
「へ……あ、その、それは……」
「最低ですね。流石 s t k 」
「っつぁああああああ!!だからその呼び方は……」
聞き終える前に図書室を出てドアを閉めた。
昇降口を出て見上げた空は真っ青で、それ以外の色は映さない勢いの眩しさだった。
ちょっとだけ口元がニヤけてしまったのは、きっと……。
……太陽の光がまっすぐ照らしてきたから。
うわわっ…。
すごい更新する間が空いてしまった…。
あれっおかしいな………。
3話目で既にキャラがブレ始めてる?