表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/126

ケース2 死神の足音㉜

「うん、聞きたい。予想でも良いから教えて。私、何も分からないの。勝手に神にされて、……黒い悪意に操られているだけ」

 やはり、と来世は目を細めた。

「わかった。では、まず浜 勝平について話そう。彼は君と別れを告げた後、劇的な変化を遂げた。具体的には、邪破教を信じるようになった」

 里香が避難がましい視線を投げかけた。手で落ち着け、という意図を来世は伝える。

「そう考えると、辻褄が合う。ほとぼりが冷めたとはいえ、危険を冒してまで帰ってきたのはなぜだ? これに関しては、浜 幸子。君を妹のように可愛がっていたから、で説明がつく。君の墓を建てたかった、君との思い出に浸りたかったなどが妥当だろう。

 だが、なぜそのままこの街に居座るばかりか、会社を設立したのか? これについては深く考える必要がある。浜 勝平は、会社を設立する際、わざわざ古い建物を購入した。さらに、その建物の三階を大幅にリフォームした。……外壁を綺麗にしたり、設備を新調したりするのは分かるんだがな、奇妙なことに彼は廊下を重点的にリフォームしろと業者に依頼したらしい。そう、あの曲がりくねった機能性皆無の廊下だ。これについては、設立当初からいる社員が証言したので間違いない。

 奇妙。あまりに奇妙だ。しかしだ、考えてみろ。浜 幸子にもう一度会うために、そのようなリフォームをした、と仮定すればすんなりと理解できる。

 浜 幸子は幸ノ神となった。ならば、邪破教の教えに従い、神と出会うための儀式を行えば再会できる、と彼は考えたかもしれない。……なあ、浜 幸子。邪破教では、神と対面するには、不浄な場所が必須ではないのか?」

「ええ、必要よ。不浄な場所の穢れによって、神聖な存在である神を呼ぶ。神は穢れを嘆き、穢れによって悪をなす者を滅ぼす。――ああ、そうか。古い建物と掃除の行き届いていないトイレは、不浄なものが溜まりやすい。合理的かもね」

「やはりな。……うん、浜 勝平は、トイレと廊下を幸ノ神召喚の装置として機能させようとした。だが、ここで誤算が生じる。神を呼び寄せるほどの穢れとは、彼が思う以上に膨大な量が必要だった。

 とても彼一人で用意できるものではなかったのだろう。もし、彼が穢れを十二分に用意できるのであれば、とっくに君は再会を果たしているはずだから。……じゃあ、どうやって穢れを増やすのか? そこで彼は一計を案じた」

 来世の頭に、岩崎の会社で行った事情聴取の様子が思い出された。

 その時感じたのだ。心が冷えていくような恐ろしさを……。

「浜 勝平は、社員の一部にある噂を流した。殺したいほど憎いやつはいないか? ならば、呪いの品にありったけの悪意を込めて、社内の三階トイレに置いてくれば良い。神が天罰を与えてくれる、と。

 彼が流した噂なのかはわからない。だが、その噂が実在するのは本当だ。実際、噂は昔からあり、現在まで一部の社員に語り継がれていた。奴らは語ってくれたよ。しょうもない噂だと思ったけど、むかついてうっかり呪いの品をトイレに置いてきたってな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ