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ケース1 女子高校生失踪事件㉒

 私はそこまでイメージしてみて、やめた。手が痛くて、視線を下に落とすと、ギリギリと握りしめた私自身の拳があった。白くなった指を、ゆっくりと解き、来世さんを見る。

 彼は、私と対照的に落ち着いている。薄情者、と言いたいところだったが、きっと違うんだろうな。目をつむると思い浮かぶ。来世さんが、ボロボロになってまで私と冷夏と皆を助けてくれたこと。

 知ってるからこそ、うん、暖かい人だと信じられる。

「? どうした。話を進めても良いか?」

「あ、はい。すいません」

「ともかく犯人どもは、不安そうな少女に声をかけ、自身たちが釣った魚だと気付いたら、それとなく霊媒師の話を出す。そうやって、拠点に誘導し、霊媒師の女、ほら俺と戦った女だよ」

「はい、覚えてますよもちろん。……でも、よく分かりません。あの女の人に、冷夏たちは洗脳されたんですよね。

 確かに独特の雰囲気がある人でしたけど、だからってあんな何でも言うこと聞く人形みたいに、人を洗脳できる力があるんですか? 正直、信じられないっていうか」

 来世さんは、コクリと頷くと、私のコップに紅茶を注いでくれた。

「ごもっともな意見だ。あの女は確かに洗脳する才能があったんだろうさ。でも、お前の友達は失踪してからわずか数日で、洗脳状態になっている。いくら天才的な洗脳の才能があっても、魔法じゃないんだ。普通は難しいと言いたいところだが、カラクリがある」

 来世さんは、ミリタリージャケットの内ポケットから何かを取り出して、私の前に掲げた。

 粉っぽいものが、透明の袋に入っている。風邪薬かな?

「これは、麻薬だ」

「え! これが」

 初めて見た。こわ、普通の薬と見分けがつかないよ。

 ――え、待って。

 私の頭に、電気が流れた。恐る恐る、来世さんに問いかける。

「もしかして、冷夏が飲まされた薬って、これですか?」

「そうだ。最近ここらで流行っている『ドール』という麻薬さ」

 凄い衝撃が、心臓を駆け抜けた。麻薬なんて、テレビでしか見ないものだ。正直、自分とはどこか遠い世界の話だと思っていた。けど、冷夏が飲んだ。

 そう思うと、地面がどこかに行ってしまったような感覚がして、私はソファのひじ掛けにもたれかかった。


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