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ケース1 女子高校生失踪事件⑭

 部屋に入ると、ムッとした熱気と汗の臭いが女の鼻を刺激した。

 入り口の左側に大きなタンスがあり、床に引っかき傷が伸びている。

 見るからに重そうなタンスだ。数人の女子高校生が、額に汗を浮かべ、荒く息を吐いている。

(フフ、私が洗脳した子らが、こんなに必死になって動かしたのね)

 ゾクゾクとした仄暗い刺激が、背筋を駆け抜け、女はうっとりとした顔で、女生徒たちの頭を撫でていった。

「よくやってくれました。さあ、悪魔はどこに?」

「あそこの床に倒れています」

 少女たちが左右に分かれ、床に男女が倒れている姿が露になる。

 女は、つぶさに観察する。……呼吸はしているが、ぐったりとした様子で動かない。

「なぜ倒れたのかしら?」

 女の問いに、少女たちは首を振るだけだ。理由の分からないザラリと不安に女は苛立ち、さらに追い打ちをかけるように、後方の男が声をかける。

「あーどうでも良いんじゃありませんかね。こいつらは、俺らが片付けとくんで、女たちをトラックに誘導しといてください」

「偉そうな言い草。誰のおかげで、この商売が成り立っているつもり? 下品な男はこれだから嫌いよ」

 女はローブをバサリと鳴らしながら、男たちに道を譲った。

 ゾロゾロと、五人の男たちが部屋に入り、倒れた二人に近づく。

「おい、この女良い女じゃねえ」

「おいおい、相変わらずのロリコン野郎だ。そのうち、ゴリラ面になっちまうんじゃねえか」

「やめてくれよ。もしそうなったら、隣の部屋でのびてるあいつとこもって、ゴリラの真似をしてやる」

 肩を揺らし、男たちはケラケラと笑う。

「なあ、お前ら」

 突然、笑いに差し込むように、鋭い声がした。

「うお! お前、やっぱり狸寝入りかよ」

「俺の目を見ろ」

 倒れたはずの来世が、立ち上がる。男たちは、蛍光灯に群がる蛾のように、来世の目を見る。妖しく光る青い目は、幽鬼的な魅力があった。

 ……だからだろう、男たちは、背後に忍び寄る少女たちの手に、壊れたテーブルの脚が握られていることに気付けない。

「ぐあ!」

「てめえ、あ」

 五人の男たちは、力なく地面へと前のめりに崩れ落ちた。

「罠だったの! うう、くう」

「待て、逃げるな。里香、こいつらとここにいろ。俺が追う」


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