七 創作覚書 佐吉さんとわたし他
ボーナストラック…… というほどいいものではありませんが、
よろしければ読んで下さい。
壱 佐吉さんとわたし(前編)
えー、このたびは佐吉さんこと石田三成様には敵役をやってもらうことになりました。
佐吉さんファンには全くもって、申し訳なく存じ上げます。
いえ、わたくしですね。もともと西軍派なんですよ。はい。
最初の読書がこういうの左右する気がするのですが、私の場合はそれは「真田十勇士」でした。
これに出てくる家康公なんざもう腹黒狸もいいとこでして、同じ西軍の佐吉さんには好意的だったのですよ。
それにワタクシ、シミュレーションウォーゲーマーだった過去がありましてね。ボードゲームです。
コンピューターゲームではないのですよ。
そうなりますと、厨二の一環ですが、関ヶ原とか大坂の陣でですね、「西軍を指揮して、腹黒狸を倒すのが男のロマン」などと思っていた訳です。
分かりやすく言うとですね
「西軍派こそ正義よね!? 東軍派は死ね」
(元ネタはグレゴリウス山田氏のコミック「三丁目雑兵物語」に出てくる歴女・女子高生様のセリフ「南朝派こそ正義よね!? 北朝派は死ね」)
弐 佐吉さんとわたし(後編)
じゃあ、何で佐吉さんにこんな敵役やらせるのさあ? もっといい役やらせればいいじゃん。
おっしゃるとおりでございます。
今回の元ネタはとある市に伝わる「狐が尾を引いて、城の縄張りを示した」。これはちゃんと残っている伝説なのです。
もひとつ言うとですね。その城攻めるのに、佐吉さんが木道敷いて、それが一晩で沈んだというネタも私のオリジナルでなくて、昔の伝説に残っているのですよ。はい。
思うに関東は徳川様のおひざ元でしたからねぇ。佐吉さんの悪口はお上もお咎めなしとかだったんかなーと勝手に思ったりしてます。
最後に城の名前を架空の名前にした理由ですが、伝説って本当にさわりの部分だけなのですよ。これを小説として読んでもらうには、相当量のオリジナルストーリーをぶっこむ必要があったんです。
なもんで、元の伝説を素材にしてますが、これはフィクションですよーと強調したかったのですね。
念のため、元の伝説は江戸時代の書籍に拠ってますので、著作権は全く問題ないのであります。
(「南総里見八犬伝」とか「東海道四谷怪談」とかばんばん翻案されてますもんね)
参 のぼうの城について
ご存知の方も多いかと思いますが、忍城攻防戦を描いた和田竜氏の小説です。
野村萬斎氏主演で映画化もされましたね。
小説も映画も面白いです。とにかく、痛快。
そして、樋口真嗣氏(あさりよしとお氏のいうところの「シンちゃん」)の特撮が素晴らしい。
しかしっ! この作品における佐吉さんの敵役っぷりは拙作以上。映画版は上地雄輔氏が好演してましたね。
忍城攻防戦については、この作品をぜひ読んでねって気持ちもあるので、簡素にしました。
いえそもそも、忍城攻防戦はキツネ関係ないですしね。
肆 要するに……
佐吉さんは悪くないのです。
お狐様伝説とその城を佐吉さんが攻めあぐねたという伝説は、戦国時代からだいぶたった江戸時代の書籍に載っていたお話(いわゆる二次資料)で、信憑性は高くないです。
忍城攻防戦に至っては、作戦失敗の最大の原因である「水攻め」は、佐吉さんの発案でなく、秀吉さんがこうやるようにと指示した記録が一次資料にバッチリあるそうで、えー、つまり、佐吉さんは悪くない!
茂木多弥様 佐吉さんこと石田三成公




